第十四話 第二王子の謹慎
食事時は、みんなが中央広場に集まる。
ファウスト様は、軟禁されているおふたりに食事を配っていた。
「はぁ……」
アレッシオ様は、表情が優れないようだ。
ブルーノ様につづいて、レアルコ様まで軟禁されて、第二王子派閥は壊滅だからかな。
一応婚約者だけど、愛されて無いのわかってるし慰めようとは思わない。
食事が終わると、ファウスト様が楽しそうに話を始める。
「ブルーノ様かレアルコ様が、王を殺した、この線に不満のある方はいますか?」
「その場合、王女は誰が殺したのですかな?」
ジルベルトがそう突っ込む。
もう、全員敵だと思っていた方がいいよね。
「そこが難しいところなんですよ、それに親である宰相と騎士団長をも殺している」
アレッシオ様は、疲れた顔をして否定した。
「それはないと言っている」
「無いとは言い切れませんが……王女殺しの第一容疑者は、今もずっとファウスト様ですわよ?」
アーシアの言う通りだ。
火とかだったら、偽装のしようもあっただろうけど、氷は無理だ。
液体窒素みたいなのもないだろうし。
魔法の消費アイテムとかなら、もうわからないけど。
「では、王女を殺したのは別の誰かとして、王を殺したのはおふたりのどちらか、もしくは共犯か、そう思いますか?」
「違うと言っている! それに、暗黒竜に操られているのなら、氷くらい使えるかも知れん!」
わたしも、暗黒竜にスキルをもらっているし、無くはないのかな?
でも……。
「犯人の目的はわかりませんが、暗黒竜の手の者なら、わたしも一緒に殺したのではないでしょうか?」
気絶しているわたしは見逃している。
人を選んで殺しているんだ。
「はい、そこもおかしな点ですね、ラファエラ様は殺したくない、もしくは、殺せない事情があったのでしょうか」
言い回しがもったいぶっているけれども、身内であるジルベルトとミーノ、アーシア辺りも含めて怪しいと言っているんだろうか。
「ふむ、我らが怪しいと申されるか」
ジルベルトは、王女殺害に関して、ファウスト様を疑っているようだから、反撃された形だ。
「なんと言われようとも、姉上をしっかりと守るだけです」
「でも、あたし達が犯人じゃないとしたら、後は三人しかいないんですわね」
軟禁されている二人を除けば、フォルトナート様、アレッシオ様、ファウスト様しか残らない。
でも……アーシアは何気なくそう言うけれど、フォルトナート様はシロだと思う。
レアルコ様を捕らえることに、積極的だったし。
それとも、いくつもの思惑が入り乱れてる?
「ラファエラ様が狙われているのは間違いないんですがねぇ、王女の件では逆に見逃されている。犯人は複数いると思っていいのかも知れません」
「確かに言えることは、誰かがラファエラ様に嫌疑を掛けるように動いているということだ。そして、その内のふたりは捕らえている」
フォルトナート様は事実を確認するような言い回しだった。
迂闊に、誰かを犯人だとは言わないみたいな。
「兄上は、ラファエラを贔屓目で見ています、事情さえわかれば……」
乱心した派閥のふたりから、何も聞けていないんだろう。
アレッシオ様は、本当に疲れているみたいだった。
「そうですねぇ、執拗にラファエラ様を殺しに来るのには、意味がありそうです」
「わたしが、この国の人間ではないからですかね?」
「違う! 王が殺される夢を見たと言い出したお前が怪しいんだ!」
アレッシオ様は、わたしが犯人だと決めつけている。
でも、その割には、直接手を出して来ない。
もう、色々な人にか殺されかけているけれど、アレッシオ様は意外に分別があるのか?
「お姉様は、第二王子の婚約者なのですから、いずれこの国の人間になるでしょう?」
「チッ!」
舌打ちされてしまった。
最悪だ……。
「この疫病神めっ! お前との婚約など破棄だ! もうこの国から出て行け!」
とは言われても……。
ジルベルトを見るけれども、目を瞑って首を横に振るだけだ。
「さすがに、この状況で国に帰るわけにも行きません」
「お前が犯人なんだろう!? お前がいなくなれば全て上手くいく!」
アレッシオ様がヒートアップしていく。
分別は……あんまり無さそうだ。
「いい加減にしろアレッシオ、それ以上言うならば、お前を軟禁しなければならない」
フォルトナート様がかばってくれた。
でも、第二王子派閥を全員軟禁した状態で、事件が起こるのかどうかは確認したい気もする。
「兄上! 父上が亡くなられ皆浮き足立っております! この女を追放して、結束を固めねばなりません!」
アレッシオ様に見つめられたフォルトナート様は、力なく肩を落とした。
「任を解く、お前は部屋で休め」
「くっ……」
泣きそうな顔をしてアレッシオ様が退出する。
こういうところを見ていると、とても犯人とは思えないけれど……。
ともあれ、わたしに当たりのキツかった三人が謹慎という状態になった。
もう事件が起こらなくなれば、取りあえずはいい。
でも、起こるようだったら……わたしは静かに考えていった。
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