第十二話 レアルコの呼び出し
「……ん?」
部屋の中で休んでいると、扉の外で話し声が聞こえてきた。
ミーノが守ってくれているから、誰かが来たんだろうか?
「姉上、入りますよ?」
「どうぞ、入って」
ミーノがいぶかしげな顔をしながら、部屋に入ってくる。
その手には、筒状の手紙が握られていた。
「宰相の息子、レアルコから手紙です」
「レアルコ様が?」
なんで手紙なんだろうか?
用件があるなら、直接言えばいいのに。
手紙を受け取って、中を見てみると……そこには、簡潔な文章が書いてあった。
『重大な話があるので、ひとりで隠し部屋に来て欲しい』
「…………」
「何と書いてあるのですか?」
「ジルベルトにも相談しましょう」
「では、呼んできます」
ミーノが、すぐ隣の部屋のジルベルトを呼んでくる。
そして、ふたりに手紙を見せた。
ジルベルトは変な顔をしている。
「怪しいですが、行かないわけにもいきますまい」
「重大な話が何か、確かめる必要はありますね」
「ボクが一緒について行きます、文句は言わせません」
ひとりでと書いてあるけど……大丈夫かな。
ミーノは、第二王子派閥に受けが良いから。
「ここは、フォルトナート様に相談してみましょう、何か掴めるチャンスではありますので」
ジルベルトがそう言うなら、それがいいんだろう。
ミーノはちょっと不満そうだけど。
わたし達は三人で、フォルトナート様の部屋に向かった。
「ラファエラです、少しお話をいいでしょうか?」
部屋をノックすると、すぐにフォルトナート様が出て来る。
「どうしましたか?」
「レアルコ様から、これを受け取ったのですが……」
手紙を見せると、やはりいぶかしげな顔を見せる。
誰が見ても怪しいんだよね。
「わたしが一緒に行きましょう、レアルコに聞きたいことが色々とあります」
「この、隠し部屋というのはなんですかな?」
「聖域には、色々と隠し部屋などがあります。先代の勇者達が暗黒竜と戦うための聖域でしたから、必要だったのでしょう」
ゲームでも、進行具合によって行ける部屋が開放されたりしてた。
アイテムとか魔法とかスキルとか、色々手に入るんだけど、実際にはどうなのか。
隠し部屋は、廊下の突き当たりにあった。
ジルベルトとミーノには待っていてもらい、フォルトナート様と一緒に入っていく。
中は廊下になっていて、更に進むと扉がある。
「レアルコ様、ラファエラです」
「どうぞ、お入り下さい」
フォルトナート様と目を合わせる。
そして頷き合うと、中に入っていった。
レアルコ様は、薄暗い部屋の中で椅子に座って待っていた。
ランプの明かりが揺らめいているが、光量を絞ってあるようだ。
こんなところでなんの話なのか。
「ワタシはひとりでと書いたはずですが?」
「偶然、私が手紙を見てしまってな、同席した」
それでは話はできないというのだろうか?
「そうですか、仕方がありませんね」
いいんだ。
なんか余裕があるように見えるけど……。
「実は、一連の殺人を犯した犯人が見つかりました」
「何故、会議のときに言わなかった?」
「あそこで言えば、取り逃がしてしまうからです」
なんか、雲行きが怪しい話だ。
どうしてそれを、わたしに伝えようと思ったんだろうか?
「取り逃がす? 何故ラファエラ様を呼んだんだ?」
少し強い口調でフォルトナート様が問い詰める。
レアルコ様は、何か知っているような口ぶりだけど……。
「ラファエラ様を呼んだのはもちろん、犯人がその人だからですよ!」
「うっ!」
太ももに、チクリとした痛みがあった。
「どうしました!?」
「あ、足に……」
針が刺さっている。
そこから、急激に何かが広がっていくのがわかった。
毒だ……!
「こ、これは……!」
「はぁ、ううっ……ああぁ……」
息が苦しくなる、気が遠くなる。
フォルトナート様が、慌てて毒針を抜いてくれた。
「貴様! どういうつもりだ!」
「あ……あ……」
「しっかりしろ! 解毒剤を持て!」
今度こそ二回目だな、とわたしは思っていた。




