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第一話 走馬燈

全22話で割と短めですので、サクッとお読み頂ければ幸いです。


「貴様のような奴は追放だ!」


「お、お待ちください、アレッシオ様!」


「婚約も破棄させてもらう! さっさと出て行け!」


「…………」


 これは……第二王子ルートに入ってるってことなのかな?


 モニターの向こうでは修羅場が繰り広げられているけれども、プレイヤーのわたしには縁遠い話だった。


 結婚とか婚約とか、その前の段階にも居ない状態だ。


「これが、追放婚約破棄って奴なんですかね……」


 ちょっと疲れたのでコントローラーを机に置く。


 プレイしているのはアドベンチャーゲームではなく、RPGみたいなシミュレーションゲームだ。


 正式になんと区別されているのかはわからない。


「はぁ……」


 妹にゲームをさせられているんだけど、その妹は友達と旅行に行っている。


 今頃、海の見えるホテルにでも泊まっているんだろう。


 わたしは、夜の孤独な部屋で、疲れた身体をグッと背伸びした。


「…………」


 妹は、読モをしていて人気があり、かわいくてお金持ちだ。


 もちろん、周囲からの反応も推して知るべし。


 わたしに初めて出来た彼氏のようなものも、妹に近寄るためだったと知って、滅茶苦茶ショックを受けた。


 でも、今は、バイトで妹のためにゲームをしている。


 楽な、強くてニューゲームの状態で始めたいらしい。


 だから、まだ情報の出そろっていないゲームで、全てのルートを100%クリアするという苦行に挑んでいるのだ。


「もう二時かぁ……」


 時計は深夜の二時を指している。


 両親は寝ているのか、物音一つ聞こえなかった。


 かわいい妹と冴えない姉。


 両親は容赦なく、分け隔てしてきた。


 妹に代われるものなら……そう考えてしまうけれど……いや、わたしはわたしのままがいい。


 お金を出すからコンビニでアイス買ってきてとか、平気で言ってくるんだけど、断ると不機嫌になる。


 そして、くだらない嫌がらせをしてくるのがいつものパターンだった。


 姉妹仲は悪くないと思いたいけど、あからさまに見下されている。


 なんというんですかね、こういうの……女として下に見られている?


 まぁ、こんなバイトを引き受けているんだから仕方ないのかも知れないけど。


「あーあ……」


 でも、親も酷い。


 妹が可愛がられているだけならまだしも、わたしに辛く当たる。


 そこにきて、わたしも文句を言えない性格だから余計だ……。


 さっさと家を出て行きたいけど、卒業するまでは我慢するしかない。


「アレッシオ様~!」


 コントローラーを握り直すと、ボタンを押す。


 悪役令嬢が追放されるところだった。


 散々嫌味なことをして、場を掻き乱して来たんだから当然か。


 でも、この悪役令嬢は暗黒竜側に寝返って復讐に来る。


 こわいなぁ。


 既に、何周かクリアしているんだけど、コンプリートまであと少しというところだった。


「ちょっとお腹が空いたかな?」


 晩ご飯を食べてから、結構時間が経過している。


「ついでに飲み物も買ってきますか」


 真夜中だけど、髪を軽くとかしてジャージで出かける。


 玄関を出ると、家の前に猫が座っているのが見えた。


 見ない子だけど……野良かな?


 よしよし、可愛がってやろう。


「怖くないよ~、ちょっと触らせてね~」


 猫はすっと逃げて行く。


 人間慣れしてないか。


 まぁ、野良っぽいからね。


「ん?」


 でも、その野良は、こっちを振り返って止っている。


 意外と、構って欲しいのかな?


 もしかして、野良じゃない?


「よしよし、逃げないでね~」


 猫の居るところまで進んだわたしは、急に光に照らされる。


 急ブレーキの音。


 身体に来る衝撃。


 なんだこれ。


 オートバイ?


 こんな時間に、新聞配達?


 お婆ちゃんの家でセミ取りをしたことを思い出す。


 運動会でビリだった、海水浴で迷子になった、お祭りで金魚をすくえた……。


 あ、これ、走馬燈(そうまとう)だ。


 え? 走馬燈!?


 わたし死ぬの!?


 ヤバイ……。


 ここまで一秒もかかっていないだろう。


 そして……わたしの意識は、そこで途切れていた。


本日は5話投稿いたします。

是非、つづきをご覧になって下さい!

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