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発情!桃太郎  作者: Arare
桃犬大決戦編
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2-2 桃太郎農園はナゼ村を支配できたのか

 最初からここまで桃太郎大農園は恐ろしい組織ではありませんでした。

 桃太郎は確かに口は悪かったし、力に対して強いこだわりがある戦闘狂ではありましたが、それは他の人と勝負して、勝った負けたを楽しむ程度でした。決して、他の一族を滅ぼそうとすることなどありませんでした。

 桃太郎は自分の能力を使い、おじいさんとおばあさんの農園の野菜を元気づけ、常に豊作にしました。最初の数年は、おじいさんとおばあさんは、おいしく、大量にとれる野菜を売り、そのお金でいろいろな食べ物は家具、嗜好品を買い、楽しく暮らしていました。桃太郎もそれらを楽しみ、大いに笑い過ごしました。

 しかし、その贅沢に慣れていってしまったおばあさんは、もっと桃太郎の力を使って、この村を支配したいと考えました。

 おばあさんはまず、桃太郎に植物を枯らす能力があるかを聞き出しました。しかし、その質問に桃太郎は、なぜ植物を殺す必要があるのかと怒りを示しました。

 この態度をみて、桃太郎をこの悪事に巻き込むのは簡単ではないと悟ったおばあさんは、戦略を練り、そしてひらめきました。

 まず、おばあさんは、桃太郎に、村の皆が、野菜の中でもキャベツをよく好んで食べているということを伝えました。そうすると、桃太郎は大いに喜び、おばあさんたちの農園でたくさんのキャベツを作ることにしました。

 桃太郎農園でできた野菜は他の農園に比べて、生きがよく、また大量に安く売られたため、キャベツは桃太郎農園が牛耳ることとなってしまいました。そうすると、キャベツを専門に作っていた農園は売り上げがなくなり、明日を生きることすら難しくなりました。

 おばあさんはその危機に陥った農園に赴き、桃太郎農園で破格の給料で働くこと、土地を明け渡すことを条件に彼らを雇いました。そのような行為を他の野菜で行いながらどんどんと桃太郎農園を大きくしていきました。

 このように大きくなっていく桃太郎農園でありましたが、すべてが順調に進むわけはなく、問題が起こりました。それは、桃太郎への不満が溜まった労働者が結束し、桃太郎にストライキを行ったのです。

 この一大事に、おばあさんはさらに悪知恵を働かせました。おばあさんは桃太郎にこう言いました。

「この農園の中で、心、そして肉体の弱い一部の人間が野菜に対して怒りをぶつけ、植物たちを殺したのです。人間は、植物と同じで弱い人間を間引いて、強い人間を育てていかなければなりません。そして、桃太郎と同じように野菜をたくさん食べて、強い人間に成長しなければなりません!」

 それを聞き、桃太郎はうなずき、こう所信表明しました。

「確かに、いままでの歴史の中で、植物は人間にいいように使われ、多くの種は人間に滅ぼされている。俺が、人間を強くし、植物も人間もともに共存できる社会を作っていく必要があるな!!」

 そして、桃太郎農園は菜食主義、弱肉強食を掲げた農園となり、システムは現代でいう資本主義となりました。強い一族は給料が上がり、資産を形成し、弱い一族は滅びました。そして、弱い一族の怒りの感情は桃太郎への一点集中から、各強い一族の長たちへと分散されていきました。むしろ、すべての農園に対して平等に生命エネルギーを分け与えた桃太郎に対して、弱い一族の者たちは感謝の意を示し、桃太郎を崇めるものも増えていきました。一方で、菜食主義により、栄養価が足りなくなった桃太郎農園の人類は筋肉量が著しく低下し、桃太郎が目指す強い人類とはかけ離れていくのでした。

 これはすべておばあさんの策略でした。おばあさんは、偉そうに台座に座る桃太郎に媚びを売りながら、内心では桃太郎を支配している愉悦に浸っていました。

 しかし、この盤石に思えた桃太郎農園の支配体制が、仇となるときが来るのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ツイッターから来ました三寒四温です。 なるほど〜。おじいさんが桃と致したまでは読む前から推測できましたが、これはまた斬新な桃太郎の人物像(笑) 異能の持ち主でかつ暴虐無道。 今から鬼ヶ島の皆…
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