3-7 雉桃猿ナニ合戦
キジと猿の間で同盟が締結してから一週間が経ちました。
キジの森にはキジの全戦力と猿の軍の半数が集結していました。前方にはキジの全軍が、後方には猿の軍が配置されました。これは戦の初期にはキジのみで桃太郎農園に攻め入ることで猿とキジの間に同盟が結ばれ、連合軍になっていることがばれないようにするためでした。また、キジの軍は先頭にきびだんごの効き目が弱く、強いものを配置し、後ろにきびだんごに依存したものを配置していました。これは最初に依存度の高い戦士を送り出し、きびだんごの誘惑から桃太郎農園に寝返られるのを恐れたからでした。
キジの森の軍の中央に陣を取っていたキジの女王はキジの戦士たちを鼓舞しました。
「この戦いがキジの森の正念場になりますわ!この森の未来を守るために、私とともに命を賭して戦ってくださいまし!」
一方、キジの進行から少し経ったころ、桃太郎農園東では、桃次郎とおばあさんのもとに、キジたちの進行を確認した国境警備者が報告に訪れていました。
「阿片など入れるから、キジたちが怒って攻めてきてしまったではありませんか。どうしてくれるのですか。」
キジの進行の報告を聞き、慌て、訴えかける桃次郎を見て、おばあさんは笑いました。
「これこそが私の作戦なのさ。馬鹿なキジめ。阿片に侵されたその身体で、この城を落とすことなどできまいよ。いつまで耐えられるかが見ものじゃ。この戦いで、我々がキジを倒し、キジの森を支配する。」
桃太郎農園北、おばあさんの作戦は籠城による長期戦でした。桃太郎農園は、肉食が解禁され、徐々に兵が力を得てきてはいましたが、依然、兵力が弱い状態にありました。そこで、おばあさんはまず、キジたちに阿片入りきびだんごを与え、兵を依存状態にさせました。次に、徐々にきびだんご内の阿片濃度を下げていき、兵が長期戦を行うことができないようにしました。そしてそれと当時に、桃太郎農園北の城内部に食料と銃をため込んでおきました。籠城し、空から攻め来るキジたちを銃で撃ち落としながら長期戦を行うことによって、阿片が切れ、精神的に狂いだすキジたちを打ち倒すことができるという作戦であった。
戦闘は初期こそ、キジたちが善戦しましたが、徐々におばあさんの策略通り、阿片が切れたキジたちの戦力低下が著しくなり、どんどんと銃で撃ち落とされていき、地面にキジの死体が点々とするようになっていきました。
しかしながら、これはキジたちも想定し、猿たちと同盟を結んでいたのでした。戦闘が開始してから3日が経ったころ、ついにキジの女王は猿の軍に対し、出撃の命を与えました。
「我が猿の誇りにかけて、桃太郎農園の人間どもを皆殺しにするぞ!」
猿の軍は、二メートルを超える巨体を持つ、猿山の王の腹心、剛腕の尾奈猿を中心に、雄叫びを上げ、気合を入れました。