3-6 キジと猿はナニを考え同盟を結んだのか
キジの女王は偵察者の話から、猿たちも桃太郎農園のきびだんごに悩まされているということは間違いないと思いました。そして、きびだんごに悩む者同士で、話し合いを行い、同盟を結び、桃太郎農園に対抗していくべきだと考えました。
一方で、猿山とキジの森はそのとき、ただの貿易関係であり、国交における完全な友好関係ではありませんでした。そのため、キジの女王は先にこちら側から猿たちに対し、きびだんごに苦しみ、国家が回らなくなっていることを開示していいものか悩みました。
キジの女王は猿山への偵察者に向かい、
「猿たちはきびだんごに悩まされているのでしょうか。」
と問いただしました。しかし、偵察者は
「いいえ。猿たちはきびだんごに悩まされている素振りは見せておりませんでした。猿たちは全く悩まされていないか、もしくは悩まされているということを統制し、内部情勢が漏れないようにしているのかもしれません。」
この事実を聞き、キジの女王は危険を感じ、さらに悩みました。しかしながら、前者であれ、後者であれ、キジの森は崩壊寸前であり、猿山に情報を開示しなければ打開の策はありませんでした。
キジの女王は3日ほど悩んだ後、猿山に使者を送りました。
一方そのころ、猿はキジの森の現状をすべて猿側がキジの森に仕掛けた偵察者から聞き、把握していました。キジ側が偵察者を仕掛けていたのと同様に、猿側も仕掛けていたのでした。
阿片入りのきびだんごは桃太郎農園のおばあさんが仕掛けたものであり、猿たちが貢がれたきびだんごには阿片は入っておらず、当然、依存性はありませんでした。そのため、猿たちがきびだんごに依存し、内政が危険になっているということはありませんでした。
猿たちはこのキジの森と猿山のきびだんごの違いを聞き、一見、統一された鎖国終了と貿易関係の締結という桃太郎農園の政策の裏で、実際は桃太郎農園が分裂し始めていることを悟りました。そして、それと同時に、崩壊寸前のキジの森は、猿の森を頼るであろうと考えました。
猿たちは軍議を開き、キジの森へ対する対応を話し合いました。
「キジの者たちを助け、恩義から、我々に忠義を誓わせましょうか。」
猿の一大将は猿山の王にこう提案しました。しかし、猿山の王は首を横に振り、こう言いました。
「なんと生ぬるいことを。我らはキジの森同様、きびだんごに苦しんでいるふりをする。そして、キジの森と同盟を結び、桃太郎農園東を討つ約束を取り付ける。この同盟を利用し、桃太郎農園東とキジの森を同時に討ち、そのすべてを我が手中に収める。」
かくして、猿山はきびだんごに侵されているふりをし、キジの森の使者の提案する同盟と、締結一週間後に桃太郎農園を討つ約束を取り付けました。
キジの森の女王はこの報告を聞き、安堵しました。そして、キジの森の軍の出撃準備に取り掛かりました。猿山からは猿山兵の半数がキジの森に援軍として向かいました。
一方で、猿山の王はこの作戦の最後のカギを握る桃太郎農園北へと向かいました。