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北里の初恋(最終話)


    北里の恋⑦


 それ以来彼女の話し声や髪型や全ての想い出を封印、結婚話もあからさまに断った。彼女の不遇ふぐうを知る由もなかった自分に、怒りを覚え罰した。上京してから仕事も何度か変わったが、23歳の時に今のタクシードライバーに落ち着いた。


 こうして、北里の初恋は完全に終わったのである。


 今尚、残酷な部落差別は続いている。若者は気にもしないが、やがて社会人となり世の中にはどうする事も出来ない悪習が存在する事を思い知らされるだろう。

 同じ人間として、何の差別も無い和楽の人生をすべての人が享受出来る世の中にしなければならない、と北里は思った。

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