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北里の初恋
北里の恋④
小学校では恒例の席替えの日が来た。そして隣の席に彼女が座った。関心が無いという風で教科書やら筆箱を机の上に並べていると、何か目線を感じて彼女の方に目をやると、彼女の眼がこちらに向いていて、少年は一瞬にして目を逸した。
「北里クン! 今日一緒に帰ろうか?」
唯でさえ心臓が爆爆しているのにいきなりの提案に言葉が出ない。
「いいよ、、」
それが精いっぱいの回答だった。その後の時間はすべて「一緒に帰る」ことに専念、思い巡らせた。
そして帰り際、彼女の一言は裏切りと失望感に打ちひしがれるものだった。
「北里クンごめん! サッちゃんと帰るね。」
北里少年は「女は信用ならない」と初めて思った。そして彼の「初恋」は無残に終わった。