美味しい料理新たな居場所
読んで貰えると嬉しいです。
午後6時8分。
目を覚ましたゲイルは、どうして自分がこんな所で眠っているのかと周りを見回し、その横で椅子に座り眠ってしまっているカルロスを見付け、
「カルロスさん、起きて下さい、カルロスさん」
と、揺り起こした。
カルロスは、ゆっくりと目を覚まし、体を起こすと思い切り伸びをし、
「……お、ゲイル起きたか……俺もいつの間にか寝ちまってたみたいだな」
と微笑みゲイルの方を向いた。
「さっきは……その……悪かったな。お前の気持ちも知らずにあんな酷い言い方しちまって」
済まなかったなという顔をして言うと、ゲイルは何も言わずに頷き、再び周りを見回し、
「ここは何処ですか?ボクはどうしてここで眠っていたんです?」
と、カルロスの顔を見た。
「泣き疲れてお前が眠っちまったから、エレーナに頼んでこの客間に寝かせたんだ。そんな事より、腹減ってるだろ?飯出来てるから、食いに行くぞ。今日はいつもより美味く出来たんだ!」
カルロスは嬉しそうにそう言い立ち上がると、ベッドから降りたゲイルを連れ、ダイニングへと向かった。
ダイニングに着くと、すぐにエレーナが二人の傍へ歩み寄り、
「待ってたのよ、お腹空いたでしょう?この人の料理はとても美味しいのよ、どうぞ座って」
とゲイルを椅子に座らせ、その隣に座り嬉しそうにナプキンをゲイルの首元に着けた。
「おいおい、いくらなんでもそれ位は自分で出来るだろう」
ゲイルの向かいの椅子に座り、少し呆れた様にカルロスが苦笑すると、エレーナは、
「良いじゃない、これ位やってあげたって。さ、食べましょう」
と、ゲイルの方を向いて微笑んだ。
ゲイルが少し戸惑いながら、
「いただきます」
と、食べ始めると、カルロスとエレーナは、
「美味しいでしょう」
「美味いだろう?」
と嬉しそうにゲイルを眩しいものでも見るように見て目を細めた。
「あのう、お二人は食べないんですか?」
ゲイルを見詰めたまま動かない二人を見てゲイルが言うと、
「お、そうだったな、俺達も食べようか」
と食べ始めた。
それでも、カルロスとエレーナはゲイルが美味しそうに食べているのを見て、うんうんと頷き嬉しそうに目を細めた。
「あのな、ゲイル、お前にちょっと聞いて欲しい事があるんだ。……その……聞いてくれるか?」
ゲイルが、食事を終えてデザートの手作りケーキを食べていると、急にカルロスが言いにくそうにボソボソと言い出した。
「何ですか?」
ケーキを食べるのを止めフォークを置き、ミルクティーを一口飲んでゲイルがカルロスの方を見ると、カルロスは一度何かを確かめるかの様にエレーナの方を見てアイコンタクトをし、うんとお互い頷くとゲイルの方を向き急に真面目な顔で、
「ゲイル、急な話しで悪いんだけどな、お前、俺達の子供にならないか?」
と訊いてきた。
「……えぇっ!?」
急な事でゲイルが驚きを隠せず、オロオロしていると、カルロスとエレーナは向き合って嬉しそうに微笑み、
「さっき、お前が眠っている間に二人で話し合って、この話しをしてみようという事になったんだ」
と再びゲイルの方を向いた。
「それって同情ですか?同情なら止めて下さい。ボクは同情されるのが嫌いなんです」
「同情?違う違う、そんなんじゃないぞ」
「それじゃあ、祖父と同じでボクの……」
「それも違う、それは絶対に無い」
「違う?それじゃあどうして?……」
カルロスの顔を探る様に見てゲイルが呟くと、カルロスは微笑み、
「それはな、お前を見ていて、こんな子供がうちの子だったら良いのにと思ったからなんだ。まぁ、最初会ったばかりの時には、ただの生意気な餓鬼だなと思ってたんだけども」
と笑った。
「けどさ、ここに来る前に沢山話して、買い物しながら楽しそうに笑ったり、ここで自分の本当の気持ちをぶちまけて思い切り泣いたりしたお前を見たらさ、そんなのどっか行っちまって、ただだだ良いなぁって思っちまったんだよ」
「私もね、貴方とは少ししかお話ししていないけれど、でも、その少しのお話しでとても貴方の事を愛おしく思ったの。守ってあげたいって思ったの」
「で、でも、娘さんが亡くなってすぐなのに……そんな風に言われると、きっと娘さんは悲しみます」
「それは、ちゃんと考えたわ。でもね、私やこの人がロイズの事を忘れずに心の中で愛し続ければ大丈夫だと思うの。それに、ロイズもお兄ちゃんが出来たって逆に喜ぶかもしれないでしょう?」
「で、でも……」
「すぐに答えを出してくれとは言わない。ただ、俺やエレーナがそういう風に考えているっていう事だけは心に留めておいて欲しい。答えはいつまででも待つつもりだ。焦らずゆっくり考えてくれ」
カルロスは、そう言うとそれ以上何も言わずに微笑み、もう遅い時間だからと歩いて帰ろうとしたゲイルを車で家まで送り、
「またな、遅くなるまで起きていないでゆっくり休めよ。あと、戸締まりしっかりしろよ」
と言い、帰って行った。
ゲイルは、家に入るとすぐに部屋の明かりを点け、椅子に座ってパソコンの電源を入れようと手を伸ばし、何かを考えて止めると伸ばしかけた手を引っ込め、椅子を降りて風呂場に行き軽くシャワーを浴びて一日の汚れを洗い流し、歯を磨いてベッドに倒れ込み、首に掛かっているロケットを握り締め、
「おやすみなさい」
と目を閉じ眠りについた。
はじめましての方もそうでない方も読んで下さりありがとうございます。
カルロスパパにエレーナママ、そして息子になったゲイル。
天国からロイズが嬉しそうに、お兄ちゃん!って呼んでる姿が目に浮かびます。
自分で書いてて何か良いなぁと思いました。
良いですよね?(笑)
では、次の作品でお会い?しましょう。
ここまで読んで下さりありがとうございました。




