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バグ  作者: こせ よしこ
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衝突……そして深まる絆

読んで貰えると嬉しいです。

ゲイルは、ジョーンズ博士から渡された今回の変死について今までに判明した事を全て記した資料に目を通しながら、研究所の敷地を門へ向かって歩き、その途中で花壇の傍のベンチに座るカルロスを見付けた。

そのカルロスの表情は、今にも泣き出してしまいそうな、とても切なく寂しいものだった。

カルロスのそんな姿を見たゲイルは、居た堪れない気持ちになり、見ていた資料を鞄に仕舞いカルロスの傍へと歩み寄った。

「こんな所で何してるんですか?ジョーンズ博士が探されてましたよ」

ゲイルが隣に座りカルロスの方を見ると、カルロスは一瞬だけゲイルの方に目をやり、すぐに視線を自分の足下に戻して溜め息を吐き、

「なんだお前か……」

と呟いた。

「ローリング博士はどうした?」

「帰られましたよ。彼の住んでいる所は、ここからかなり離れた所にありますから」

「そうか……で、何の用だ?」

「ジョーンズ博士に頼まれた言付けを伝えに来たんです」

「何だ?」

「カルロス君も色々と大変な様ですし、今日はもう帰って、ゆっくりと休んで下さい……だそうです」

「そうか……」

「……帰らないんですか?」

「……否、帰らないわけじゃ……無い……ぞ……ただ……」

「帰りたくないんですか?」

「そんな訳無いだろう。ただ……帰りにくい……だけだ」

「奥さんが恐いんですか?」

「は?何言ってんだ?」

「帰りにくいのは奥さんが恐いからなんじゃないですか?」

「違う。ただ、娘が死んで、その事で酷く落ち込んでいるアイツを見るのが嫌なんだ」

「逃げてるってわけですか」

「何!?」

ゲイルが、空を見上げ呟くと、カルロスは驚いた様にゲイルの方を向いた。

「俺が何から逃げてるって言うんだ!」

「奥さんから、娘さんの死から、娘さんがもうこの世には居ないんだという現実から逃げているんですよ」

「俺は何からも逃げてない!」

「それなら、何故奥さんの話しを聞いてあげようとしないんですか?」

「それは……俺が話しを聞いたからってどうなるわけでも無いから……」

「違いますね。貴方は恐いんですよ。娘さんがもう居ないという事を認めるのが。奥さんと話しをするという事は、娘さんの死を認めてしまう事になるから」

「違う!」

「違いません」

「お前に何が分かるって言うんだ!」

カルロスが、怒りのあまり立ち上がると、ゲイルは動じる事無くカルロスを見上げ、

「分かりますよ。少なくとも身内を亡くした人の気持ちだけは。ボクも一週間前に祖父を亡くしていますから」

と言い終わると、軽い溜め息と共に目を伏せ俯いた。

「ボクの場合は、育ての親というだけで、血の繋がりは無いそうですから、カルロスさんの悲しみに比べたらボクの悲しみなんて、ちっぽけなものかもしれませんけど……でも、分かるんです」

俯いたまま、ゲイルが目だけ動かしてカルロスの方を見ると、カルロスは言葉を失った様に黙り、力無くベンチに座り込んだ。

「……そういえば、そんな事言ってたな……そうだよな、俺だけじゃないんだよな……悪い」

「いえ、良いんですよ、ボクは気にしてませんから。それよりも、奥さんの話し聞いてあげて下さいね」

「……あぁ……何とか努力してみる」

カルロスがハッキリしない言い方でそう答えると、ゲイルは何かを考える様にカルロスの顔を見詰めた。

「な、何だ?」

カルロスが、急に見詰められた事に驚き、自分の顔に何か付いてるのかと、自分の手で顔を調べる様に触っていると、ゲイルは真面目な顔で、

「カルロスさんの娘さんって、全然カルロスさんに似てませんでしたね」

と言った。

「お前、何が言いたいんだ?」

「だって、カルロスさんの肌は白くて、髪はボクと同じ金色なのに、娘さんは肌の色も髪の色も黒かったじゃないですか。目の色は緑で同じでしたけど」

「あれは女房の方に似たんだ!ちゃんと俺の血の繋がった娘だ!」

カルロスが興奮気味にそう言うと、

「ボクはそこまで言ってませんよ」

とゲイルは笑い、

「そうだったな、悪い」

とカルロスもつられて笑った。

「でも……」

「ん?」

「カルロスさんに似ずに可愛く生まれたんで良かったんじゃないですか?」

ゲイルがニヤリと笑いそう言うと、カルロスもニヤリと笑い、

「煩いぞ、黙れ」

と怒った振りをしてゲイルの額を軽く叩き、二人同時に笑い出した。

「それで良いんですよ。暗い顔をしていても娘さんが悲しむだけ、元気出して下さい」

「えっ?」

「それじゃあボクは帰ります」

「あ……ちょっと待て」

その場から立ち去ろうとして立ち上がったゲイルを呼び止めると、カルロスは少し考え、

「お前、育ての親を亡くしたって事は、今は一人暮らしって事か?」

と訊いた。

「そう……ですけど」

「お前料理出来るか?」

「多少は出来ますけど……」

「そうか……なぁ、お前うちで夕飯食ってけ」

「えっ?」

「今日は俺が作る事になってるんだ。お前一人で飯食うのは寂しいだろ?俺様が、特別に美味いもん作ってやるから、お前も少し手伝えよ」

「でも……」

「嫌か?」

「嫌とかそういう事じゃないんですけど……」

「何だ?」

「……迷惑じゃありませんか?」

「何言ってんだよ、迷惑なら最初から誘ったりしねぇよ!」

「そう……ですね」

「嫌じゃねぇって事は良いって事だな。よしっ!そうと決まったら買い出しに行くぞ!」

「えっ?今からですか?」

「そうだ、行くぞ!」

「昼食もまだなんですけど……」

「そんなの買い物しながら食えば良いだろ。さぁ、出発だ!」

カルロスは、勢い良く立ち上がるとゲイルの手を取り、門の方へと歩き出した。

はじめましての方もそうでない方も読んで下さりありがとうございます。

ゲイルとカルロスの組み合わせが好きです。

書いてて楽しいです。

伝わってると良いなぁ。

では、次の作品でお会い?しましょう。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

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