頼み事
読んで貰えると嬉しいです。
「ジョーンズ博士のお話しって何の事でしょう?ローリング博士はお分かりになりますか?」
研究所の廊下を歩きながら考え込んでいたゲイルは、隣を歩くルークの方を向き囁く様に訊ねた。
「そうですね……」
ルークは、考える様に呟くと、腕組をして、
「何か新たな発見をしたか……もしかしたら、最近ニュースでよくやっている、あれの事かもしれませんね」
と呟く様に答えた。
「あれ?あれって何ですか?」
「あぁ、あれっていうのは……」
「お二人共、こちらです、どうぞ」
ルークがゲイルに説明しようとした時、カルロスが二人に声を掛け、部屋の扉を開け中へと招き入れ、
「ジョーンズ博士、お二人をお連れしました」
と、部屋の奥に居るジョーンズ博士に声を掛け、
「ご苦労様」
と言われると、お辞儀をして出て行った。
ジョーンズ博士は、奥の方からゲイル達の前に来ると、
「遠路はるばるお越し頂きありがとうございます。立ち話しでは何ですから、こちらのソファーにでもお座り下さい」
と二人をソファーへ促した。
「それで、ボク達に聞かせたいお話しとは何の事なんですか?」
ゲイルがルークと共にソファーに座りながら訊くと、ジョーンズ博士はソファーの前に置かれたテーブルの横で車椅子を停め、ゲイルとルークの方を向き、
「キミ達は、最近のニュースの中で気になる事とかはありませんでしたか?」
と訊き返した。
「ニュース……やはり、あの事でしたか」
「えぇ」
「あの事?あのう、さっきもローリング博士にお訊きしたのですが、それって何の事ですか?ボク、最近テレビが見られなかったので分からないんです」
カルロスが持って来たオレンジジュースを飲みつつゲイルが訊くと、ジョーンズ博士は、
「そういえば、キミのお祖父さんが亡くなったのは一週間前でしたね」
と呟き、
「それなら知らなくて当然ですね。では、最初から説明しましょう。まずは映像から見て貰いたいのですが……もう一週間経ちましたから大丈夫ですね」
と言い、ゲイル達のむかいがわの壁にスクリーンを出し、カーテンを閉めて明かりを消すと、スクリーンに映像が流れ始めた。
全てが謎の変死のニュースで、その被害者の姿や発見された場所、家族等の悲しみに充ちた姿と声が流れていく。
「最初、この謎の死で見付かったのは一人でした。しかも、その一人目の人は発見された当初、森で遭難して獣に食い殺されたのだと思われていました。しかし、実際は違っていたのです」
ジョーンズ博士はそう言うと、スクリーンの映像がギリギリ見える位に部屋の明かりを点け、軽く溜め息を吐いた。
「彼の体は外からではなく、内から……体の内側から食べられていたんです」
「内側から?……嘘でしょう?そん……そんな事って……」
「有り得ませんね。しかし、現実にそれは起こっているのです」
ジョーンズ博士は、驚き立ち上がったゲイルの方を向き、落ち着いて座る様に言い、スクリーンの映像の方を見ると、
「私も最初は信じられませんでした」
と呟いた。
「被害者の遺体を実際に目にしても信じる事は出来なかった。こんな事は、今までに一度もありませんでしたから。しかし、被害者の体の内部を見て、私の心の中から疑いの気持ちは消え、確信へと変わったのです。何者の仕業かは分かりませんでしたが、それは明らかに外からではなく内側から食い破られたものでした」
「つまり、何者かがその被害者の体内に入り殺した……と仰るんですか?」
「えぇ、しかもその被害はどんどん広がり、被害者も増えているんです」
「俺の娘もその一人だ……」
部屋の隅の方に立っていたカルロスは、やり切れない気持ちを抑えるように呟き、とても切ない顔でスクリーンを見た。
スクリーンには、まだとても幼い黒人の可愛らしい少女の姿が映し出されている。
「あの娘は……ロイズは、まだ、さん……三歳だったんだ。なのに……それなのに……くそっ」
「カルロス君、もう行っても良いですよ。身内が亡くなって一週間はこういった物は見てはいけませんし、辛いでしょうから」
気持ちが抑え切れず涙ぐむカルロスを部屋から出すと、ジョーンズ博士は溜め息を呟き、
「カルロス君も大切な人を亡くしていた様ですね。私は今まで気が付いて上げられなかった。私も妻を失ったばかりでしたから……」
とスクリーンを見た。
「それじゃあ……博士も見てはいけないんじゃないですか?」
「私は良いんです。妻とは、もう充分と言って良い程一緒に過ごしましたから、幻覚に惑わされる事もありません」
そう言い切り、ゲイル達の方を見たジョーンズ博士の顔に悲しみは無く、とても落ち着き決意に充ちていた。
「それに、私はこの謎の死の原因を突き止める事によって、妻の無念を晴らす事が出来ると信じているんです」
「つまり、変死事件の原因を突き止めて、これ以上被害者を出さない為にボク達をお呼びになったんですね?」
「えぇ、お願い出来ますか?」
「はい、私で宜しければお手伝い致します」
「ボクも、微力ながらお手伝いさせて頂きます」
「ありがとう」
ゲイルとルークは立ち上がり、ジョーンズ博士を加え、三人でガッチリと握手を交わした。
はじめましての方もそうでない方も読んで下さりありがとうございます。
書いてて楽しいです。
それが一番だと思います?
では、次の作品でお会い?しましょう。
ここまで読んで下さりありがとうございました。




