裁判
カルダーは赤く濡れた体のまま法廷に立たされた。人の姿に戻ってからはやせ衰えた体は20の頃の様にたくましい体になり、言葉も発する事が出来た。その姿は目がらんらんと光っており、彼が姿を潜めた村人によく似ていた。
それは兵が手記に残したものを手渡され、王が理解した。
兵は村人を「醜悪で、悪臭が漂い、人々は無ざまで下層の村であった」と残しており、3度開かれた裁判でその一説が読まれたが、カルダーは冷静に
「村人には知性も技術もなく貧しかったが「生き抜こうとする力」をその瞳から感じ、今まで見てきた人間の中で最も純粋で美しく見えた」と訴えた。
王は以前よりも更に煌びやかな装飾で飾られていたが、その表情と瞳からは以前以上の残忍さと冷酷さが見えた。
隣りに座る王妃は、噂によると王以上に冷酷で、何人もの女達を処刑してきたと言われている。
カルダーはこんな冷酷な王国に自分の半生を捧げたのかと思うと自分を呪いたくなった。そして、「こいつは俺が今まで見てきた中で一番醜悪な生き物だ」と理解した。
裁判の最終日、王からロジの名前が出た。
「以前、刀鍛冶をしていたロジという男は、王室に務め出した頃私の大切にしている宝石を盗み、妻であるマエの装飾を整える為にそれを使った。カルダーの仕事は私の力になったが罪人の男の息子は単なる罪人だ、その両の腕を切り落とし国のはじにある牢屋への幽閉を言い渡す。」
カルダーは耳を疑った。ロジは王室に務めた事もなければ宝石を盗んだという事実もない。常にマエが敗れた服を繕ってくれていたし、その服はいつも薄汚れていた。マエが一度として綺麗な服を着たことはない、自分よりカルダーとロジに洋服を作るような人だった。
自分だけではなく安らかに眠って欲しい両親の名誉まで汚された。
抗議の声を出そうとした瞬間、口に針がたくさんある玉を詰め込まれ猿ぐつわをされた。
痛みと怒りでカルダーはおかしくなりそうだった。
「刑を執行しろ」
カルダーは両の腕を無理やり伸ばされた。
大きくて鋭い刃が腕を片方、また片方と簡単に切り落とていった。
「その鋭い刃はお前が作った剣を溶かし作られたものだ、自分で作ったもので自分を切られる気持ちはどうだ。お前のような呪われた者に死の安らぎは簡単にはやらん、罪人の塔の中で腐っていけ。」
カルダーは布で両肩を巻かれただけの状態で薄暗く湿った塔へ幽閉された。




