ファイヤーハンド爆誕
「なんだこの赤ん坊!?」
「あ…熱い!」
ふと気がつくとそんな声がした
なんだろう
体が思い通りに動かないし目も見えない。
「こんな赤ん坊初めてだ」
「どうなっているんでしょう…」
なんだか周りが騒がしい
目も口も見えないが耳だけは鮮明に聞こえる
「おぎゃー!!おぎゃー!!」
真横に赤ちゃんがいるのか?
うるさくてかなわないな
「わたしの子は?!わたしの子はどうなっているんですか!?」
赤ん坊の母親だろうか?まだ若そうだ、あーなんだか眠くなってきた…な
そこで俺の意識は途絶えた
なにがどうなっているのかさっぱり分からない
そもそも俺は誰でどこから来たんだ?
そんなことすら分からない
記憶喪失ってやつだろうか?
次に目が覚めた時もやはり目は見えなかった。
耳を頼りに情報を集めてみて二つ分かったことがある
まず赤ん坊が近くにいるんじゃなく俺自身が赤ん坊だということ
驚きはしたが目が見えなかったり体が自由に動かせないことなんかを考えると辻褄が合う
幸い俺には記憶がないから新しい人生を始めるにはうってつけの状況だ
まして知識を持ったままというのは最高だ
強くてNEWゲーム状態だな
もう一つ分かったことは俺の右手が燃えているということだ
何を言ってるか分からないと思うが俺にも分からない
とりあえず燃えている。
命に別状はないらしい。燃えてるのに命に別状ないってどういうことなんだろうか
さっぱり分からないのでせめて目が見えるようになるまでは大人しく待つしかないか
半年後
「ほーらタケル、高い高ーい!」
髪は薄い茶色、短髪、背はかなり高く、体格もよく、右目に十字傷のある男が俺を持ち上げたり、下げたりする
「きゃはは!きゃはは!」
意識はしてないのに自然と声が漏れる
「こらっ!タケルはまだ赤ちゃんなんだからあんまり揺さぶらないの!」
髪は同じく薄茶色、セミロングで艶やかな髪を片側にまとめた小柄で小動物的な可愛らしい感じの女性がしかめっ面をしている
「いいじゃないか!タケルだってこんなに喜んでるんだし」
どうやらこのふたりが2人が俺の両親らしい、美男美女、まさにそんな所だ。こりゃあ将来の俺の顔も期待できそうだ
にしても腹が減った。
「おぎゃー!おぎゃー!」
腹が減ったときは泣くしかない、声を出したくても声帯が発達していないせいか
「ぶー」
「あー」
こんな感じにしか発音できない
「あらあらたけるー、お腹空いたのー?今おっぱいあげますからねー」
そういうと母?と言っていいのだろうか?まぁいいか、母は恥ずかしげもなくそこそこ大きなおっぱいを俺の目の前に出した。
最初はおぉ!と思ったが親子だからなのか赤ん坊だからなのかは分からないが全くなんとも思わなくなった。
幸いにも俺の両親は人が良さそうだ、だが俺が記憶はないにしても精神年齢が大人だということを知ったらどう思うのだろうか?
きっと悲しむだろう、自分の子供に知らない人間が乗り移ったように感じるだろう
当初は事情を話して自分の都合のいいような関係性を作っていこうと考えていたが半年で考えは変わった。
子供を演じよう。それは両親への気遣いもあるが俺のためでもある、やはり大人になるまでは両親の援助は絶対不可欠だ。
その為には俺はこの人たちの子供になり切らねばならない
おっぱいを吸いながら俺は硬く決心した。