いらつき
だいぶ遅れました。
すみません。
「ざるそば一つお願いします。」
「はいよ。」
カナタは、一階の食堂の席に座ってにいた。
カナタは、スイラと同室と決まって気まずくなり食堂に降りてきたのだ。
今、大体七時位なので人が多いのは当然と言えば当然であるが。
「多いな。」
ほとんどこの学年全員いるのではないかと言う人の多さであった。
しかし、ほとんどの人が列に並んでいるため座席は大体空いているので座る所はある。
カナタは、一つの席に座り、さっき来たざるそばをたれに付けずるずると食べ始めた。
あ、うまい
そう思った瞬間だった。
「おい、邪魔だ。」
ざるそばが誰かの手によってテーブルの台からはたきだされた。
ざるそばがテーブルの外に飛ばされる。
ざるそばは空中を舞い、床に落ちる寸前でカナタはざるそばを取り、ずるずるとまた食べ始めた。
「オイ聞いてんのか」
この食堂いっぱいに響く声が聞こえた。
「ん?」
無視を図っていたがいたしかたないだろう
「お前に言ってんだ!!」
いかにも乱暴者という顔をした男がこちらを向いていた。
耳の金色のピアス、鼻にもピアス、指にもピアス…
ああ、指は指輪だった。
カナタは、ずるずるずると麺を食べ口を空にした後
「はい、何でしょう?」
「テメェ!!」
カナタは訳も分からず拳を振るってくる男の拳をよけながら。
「何でしょう?」
「そこは俺の席だ!!」
「そうですか?ここは公共の場所ですよどこでもすわっていいじゃないですか?」
何故だろう、こんなときに丁寧な言葉使いになるのはやっぱいいように見られたいから?
そんな事を考えていると
「うるせぇ!!」
男はとうとう足まで繰り出してきた。
男が足を繰り出した時、男の足がテーブルに当たり。
「カランカラン」
ざるそばが落ちた。
「あ…」
・・・俺のざるそば…が
何人かの女子の悲鳴が聞こえる。
男の弱々しいパンチやキックをよけながらカナタは立ち上がり。
「黙ってくれません?」
カナタはおいしかったざるそばを落とされてダメにされたことに少々怒っていた。
カナタは、試験官に出したくらいは出さなかったが殺気を少々出した。
そう、少々だったのだが・・・
一瞬で周りが凍てついたように固まった。
13歳の生徒には強すぎる殺気だった。
食堂全体の数人以外全員止まってしまっている。
いや止められたのだ、カナタによって。
硬直している男のみぞおちに軽く膝を入れた。
つもりだったが
それでも男は、数メートル先にある壁に強く当たった。
「ふう」
ひとまず殺気を解いた。
「あ~あ」
ざるそばが……
「そこの『くず男』さんかたずけて置いてください。」
そして、カナタは、食堂を後にした。
その男、クライル・ジベルはあばら六本と言う骨を一撃で砕かれ痛みのあまり気絶してしまった。
そこにいた同学年の者たちはこう思っただろう
”鬼畜がやってきた”と
実際は鬼畜ではないのだがカナタはちょっと『イラッ』とした時にこの性格が出てしまう。自覚はあるのだがなかなか直せないでいる。
カナタは、せっかく食堂に来たがなにも食わずに出て行ってしまった。
「ヤベ…戻ってきてしまった。」
カナタがいたのは306と書いてある部屋の前だった。
「トントン」
一用ノックはしてみた。
・・・
何も帰ってこなかった。
人の気配を見てみるか。
カナタは部屋に人の気配があるか見てみた。
「いないな。」
どうも彼女は食事に行ったらしい。
その証拠に部屋に入ったら靴はなかった。
もう八時だ。
窓から月の光が入って着て部屋は薄暗くても足元ははっきり見える。
「何をしようか?」
んー・・・
「そうだ!」
カナタは刀|(燐火)を取りだした。
形は、日本刀の様で良く見たら薄く刀身の中心に竜をかたどった桜色の模様があった。
剣の手入れの仕方は自己流だが自分が作った手入れの仕方の方が綺麗になってると思う。
砥石を布で包み布の半分に水をしみこませて丁寧に拭いていく、隅々まで拭き終わったら水を含んでいない方の布で水分をふき取る・・・終わり
これは単純作業だがその分丁寧に手入れをしている。
ハイツの手入れは雑だからな、その分俺は丁寧に道具を使う。これでハイツが使っていた道具も長持ちする。
「よし、出来た。」
しばらく自分の磨いた刀を見てうっとりしていたら。
ガチャ
どうやらスイラが帰ってきたようだ。
カナタは、刀を直し
「おかえり。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そう、もう俺は割り切ることにしたのだ。
男女が同室と言う現状に俺は割り切ることにした。
俺はちゃんと受付のおっさんに「部屋変えてください!!」と頼み込んだんだが…
『あはは、すまんそれはしょうがない事だ』
のんきに無精ひげをさすりながら言うのだ
『何でですか?』
俺はその笑顔に負けじと返答した
『いやぁ~、この学校はクラスの分裂が激しいんだ初等科はそんなにないが中等科からは激しくなるんだ。その原因は、”クラス対抗たすき大会”や”クラス対抗魔技武道大会”にあると言われている。』
たすき大会って駅伝みたいなもんだよな。
『それでなんで男女が同室なんですか?』
『303~306号室までがAクラスの部屋になってるんだ。男女が同室になるのは緊急処置みたいなもんだ』
『じゃあ僕はどうなるんですか?』
『どうなるって…多分来年には男との同室になるだろう丁度Aクラスにはあと一名男子がいるようだし。』
そう、同居は来年までだ。
だから俺は割り切った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
優しく「おかえり」と声をかけたつもりだったが。
「ひゃいっ」
スイラはびっくりしてしりもちをついた。
「なっ、なにっやってんの?」
カナタは笑いをこらえるのに必死だった。
「す…座った…だけ。」
そしてこの追い打ち
「ぷっ、ははははっはっ」
とうとうカナタは吹き出してしまった。こんなに笑ったのはいつ振りだろうか?
「わ…笑わないで。」
スイラはしょんぼりとした顔でこちらを向いた。
「あ、ごめん」
どうもスイラはちょっと恥ずかしかったらしい。
俺も気を使わなきゃな。
「た、ただいま」
カナタは、ほとんど人と会っていなかったためこの『ただいま』で少し照れくさくなった。
スイラはそう言うとベッドとクローゼットの間に体操座りで縮こまった。
カナタはその場所に漂う空気にたえかねて
「大浴場ヘ入ってくる。」
下の階には大浴場がありそろそろ入ろうと思っていた。
部屋にも風呂はあるがやはり同じお湯につかるのはスイラも嫌だろう。
カナタは風呂へ入る準備を済ませ部屋から逃げるように大浴場に行った。
(ヤッパ割り切れん!!)
大浴場はだだっ広いが人数は5、6人いるくらいだ。
入る前に体と頭を洗い大浴場の湯につかった。
カナタは湯に入ると今日あったことを振り返る。
まえの島でもやっていた事だ。
まあ、島では小屋の近くの川だった。
夏はいいが冬は川の水面に氷が張ってしまって入れないので”グランドエリア”の川に行った。あそこは冬でも春並みの温度はあったから水は少し冷たいって感じだった。
・・・ああそう言えば、グランドエリアは当然モンスターはいるから川にすむ”ラーデトー”に一回食われそうになったけどね。あ、ラーデトーはアリゲーターのようなワニだから口を開けたらとてつもなく大きかった。
超ビビった・・
それに比べてここは安全だな神経をとがらせなくても何も襲いかかってはこない。
そんな事をカナタは考えながらさっさと反省をした。
(今日は…離れすぎたな)
せっかく目の前に護衛対象がいるのに逆に逃げ出してしまった。
これはもしも護衛対象が危険にあっても助けられないという事であり任務失敗と言う事で自分も死んでしまうおそれを避けるためにもう少し近づくかないけないんだが。
(俺にそんなことできるかな)
まあできると信じておこう。
反省と言ってもこのくらいだ。何もなかった日には”うん、良かった”で終わらせてしまう雑さだ。このくらいでいつも終わらせてしまうので少しの間風呂でゆっくりすることができる。
「上がるか」
カナタは、三十分くらいお湯につかり上がった。
上がった後は髪を乾かすのだがあいにくとドライヤーはこの世界には無くバスタオルで水気を切る事しか出来なかった。
微妙に湿っている黒髪は水が光を反射してキラキラと輝いていた。
「外に出るか。」
気分を変えるためにカナタは寮の外に出た。
外は夜だからだろうか昼の温度と比べ気温が下がっていた。それでも外の気温は風呂から上がったカナタの体の温度と調和して心地いい気温になっていた。
(今日はこの環境に慣れることを基本としてきた。大体、ここの環境は把握できた。明日からは本格的な護衛に入るか)
カナタにもこの先の事をどうするかは具体的には決めていない。大体決まっているのは護衛しながらギルドで金を稼ぐと言ったところかな。
ギルドには事前に入っている。
(まあ、焦ってもあと六年あるんだ気楽に行こうかな)
そんな事を思いながら寮の中に入った。
ガチャ!!
カナタは自分の持っているカギで部屋のドアを開けた。
「すぅ」
中は真っ暗で聞こえるのはかすかな吐息だけであった。
「寝たか」
だいぶ暗闇に慣れてきた目で確認した所、彼女は静かに寝ているようだ。
武器の類は先に手入れして置いたからもう何もしなくていい、したがって何もすることが無い。
「寝るか」
カナタはベッドに入った。
…
……
………寝れない
ふかふかなベッドはいいんだが島(向こう)では敵が来た時備えてほとんど刀を座って寝ていたから体を横にして寝る事は寝にくいんだよな。
カナタは座って刀を持ち静かにまぶたを閉じる。
この体制はいつも警戒出来る。特に殺気などに敏感になる。
数分経つと糸を切るように睡魔と共に夢へカナタは落ちて行った。
”もそもそ”
カナタの隣のベットが少し動いた
「ふう。」
ふかふかのベットから顔を出したのは、白いもふもふのパジャマに身を包んだ女の子、
そうカナタと一緒の部屋になったスイラだった。
「…寝むれない…」
今日新しく一緒の部屋になったのが男の子だから?
寝るときに近くに人がいるから?
二つとも否である。
(今夜はどう過ごそうかな…)
このセリフからわかるように彼女は毎晩眠れないのだ。
(ここで何かをしてしまうと彼が起きてしまうかな?)
キィーパタン
そう思うと彼女は部屋を出た。
夜の道はそう悪くは無い、今が春と言う事もあってか風は寒いというよりすずしいに近かった、空には月も出て目の前の道ははっきりわかるくらい明るかった。
「どこにしようかな~今夜」
スイラは道を歩きながらぼそりと呟いた。
スイラは一人の時は、普通に喋れるのに人前で話すとなると喋りにくくなる癖がある事を理解している、だから一人の時はいっぱい喋ろうと心に決めているのだ。
「これから何しようかな~」
そう言いながら道を進んでいると目の前に小さな広場が見えてきた。
「そう言えばあそこ公園だったはず。」
スイラは迷わず公園の方に足を運んだ
「ここ、きれいね」
その公園は木に囲まれて月が出ているためか薄暗い幻想的な公園になっていた。
「多分誰も来ないし、始めようかな。」
スイラは、いつものように始めた。




