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小人の国  作者: 夏野ゲン
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 小人という種族は、世界の覇者でありながら、地球上で最も弱い生き物であると言っても過言ではない。彼らの街は強固で透明な樹脂によりドーム状に隅から隅まで覆われている。なぜなら、そうしないと彼らの街は簡単に崩壊してしまうからだ。彼らの街は人間の街と比べて質量や密度が小さく、台風やその他の外的要因により簡単に崩壊してしまう。

また、彼ら自身は外敵に対する対抗能力を持たないため、ネズミの群れや、猫の一匹でも街に入ろうものなら、たちまちパニック映画のような様相になってしまう。

 小人化導入初期に造られたとある街では、人間が整備した下水インフラを活用して、下水路の整備を行った。確かにインフラを整備し直す手間は省かれ、経費は削減された。しかし、従来の下水路との接合部に問題があり一部が崩壊、結果、ネズミやゴキブリが大量に入り込み、多くの小人が襲われて犠牲になるという事件が起こった。

 この事件を受けて、小人の街づくりは外環境の脅威に対する考え方がよりシビアに変わり、ついには外環境から完全に隔絶されるようになった。

 よって、彼らの世界での「旅行」とは、樹脂によって囲まれたドームからドームへと移動することを指しており、ドームの外への興味は薄れている。

小人の世界の生物学者や、あるいは冒険者、人間時代の考古学者や歴史家でもなければ、ドームの外の世界に興味を持ち、外の世界に出てくることはなく、事実、ボクもこれまで一度も小人の実物を見たことはなかった。

 ここまでの説明を見てもらってわかるように、ただの人間の農場に、小人が一人で紛れ込んでくるという状況は、ただひたすらに「異常」だった。




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