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小人の国  作者: 夏野ゲン
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 スチュワートが食事をする映像はその後しばらく目の前に流され続けたが、その映像は唐突に終わりを迎える。

 何か硬いものがぶつかりあったような音が森の中に聞こえる。その音は小さな音、大きな音を織り合わせて繰り返し響き合い、そして消える。

 明らかに森の中に響くには見合わない音だった。人工物がどこかから落ちてきたようなそんな音だ。

 私たち人間の耳にも聞こえたくらいだ。猫の形態をとっているスチュワートにとってはさぞかし大きな音に聞こえたことだろう。映像でわかるほどにスチュワートはびくりと驚き、そして音の下方向へと鋭い視線を向ける。


 しばらくその場で警戒するように音のした方を眺めていた彼だったが、今度は別の音が混じって聞こえてくる。


……ぽつぽつ。


 森の中に響きだしたのは雨が落ちる音。しかし、そのぽつぽつは、あっという間にノイズのように強い、ザーッという音に変わってしまう。


 スチュワートは一度雨の降る空を見上げ、しかしすぐに元みていた不審な音のした方向へと向き直る。まるで何かの気配を探っているようだ。


 そして、彼は雨の当たらない木の下から、一歩前へと踏み出した。途端視界は雨で遮られる。

 猫は雨が嫌いな生き物だ。雨に濡れ、体温が奪われれば、生死にかかわる。そうしたネコとほぼ同じ思考回路を持っている有機アンドロイドであるスチュワートにもそれは共通である。

そういう意味で、音が響くほどの大雨の中、木陰から一歩前へと踏み出したスチュワートの行動は驚くべきものだった。


 何かを決心したように、彼は一心に前へと進んでいく。

 そして、その行きついた先には、ボクのすぐ隣にいる彼女が横たわっていた。




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