35
曇天のもと開けた視界のなか、シアター状に映し出された映像は少しずつ前へと歩みを進めていく。どうやらスチュワートが歩きだしたようだ。画像を変換したことによるラグや違和感もないし、どうやらスチュワートの見てきた記憶をうまくたどることができそうだ。
彼の進んでいく先は西の林の方。小動物が多く、彼はよくそこで狩りをしているようだった。今も恐らく狩りに向かっているのだろう。
順調に歩みを進めていた彼だったが、不意にその歩みが止まる。映像だけではわからないが、どうやら彼の耳は獲物をとらえたようだ。彼の上体はグッと下にさがって藪の中に隠れこみ、相手に見つからないようにスリ足になる。じりじりと近づいて行き、藪の隙間からのぞきこんで、ようやく獲物の姿を視界でとらえる。どうやらどこにでもいる普通の小鳥のようだ。
小鳥を視界に収めてから、彼の視線はわずかも動くことなく相手を見据えている。映像からでも彼の緊張感が伝わってくるようで手に汗握る。
止まったような時間。動かない視界。しかし、決着は一瞬。
停止していた視界が一気に加速し、上下に振れる。人間用に加工していない状態で今のシーンを見たなら、激しすぎる動きで気分が悪くなってしまったかもしれない。
飛び出した彼は瞬時に小鳥に爪を立てる。彼に気が付き飛び立とうとした鳥は、反応のわずかな遅れによって彼の爪によって羽を引き裂かれる。
そのまま彼の両手はしっかりと小鳥を地面に取り押さえ、そのまま首筋にかみついた。
ビクッビクッと痙攣していた小鳥は、わずかに血を流すと動かなくなった。
彼にとっては普通の光景。命を奪って糧とする、ごく普通の光景。
しかし、この映像を見た小人の彼女は真っ青な顔色をしていた。
生態系から外れて生き、僕ら旧人類から供給される食べ物を食べて生きる彼らには、生き物が目の前で死ぬという光景そのものが異常だったのだ。
長らく休止してましたが、今日から復帰しますよん。
目標は今年度中の完結。
……無理かww




