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小人の国  作者: 夏野ゲン
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 結局石渡さんの案が通り、ネットワークに接続しガラパゴスでショッピングをしながらスチュワートを待つことにする。

ホストであるコンピュータからネットワークへと接続する。普段使っていない機能だが、頭の中でネットワークへ接続すると意識するだけで、勝手にネットワークへの接続手続きを進めてくれるのだから便利なものだ。

 しばし待つと、頭の中にネットワークへ接続するか否か、頭の中へと直接問いかけられる。それに対して「Yes」と頭の中で念じる。それと同時に、コンピュータが一時沈黙する。この沈黙の時間の間に、ボクの脳内が悪意ある誰かにハッキングされないように何らかの防御プログラムが施されているらしい。

 石渡さんの方をちらりと見ると、石渡さんも同じようにこちらを見ていた。彼女もきっと脳内のプロテクト処理を待っていているのだろ。彼女はいたずらっぽく笑って返し、ボクはなんとなく目線をそらした。


 しばらくまって、ようやくプロテクト処理が完了する。


「さて、それじゃあガラパゴスに接続しましょうか?」


「ええ、そうしよう。ところで芹沢君。接続するのはいいが、パブとプラどっちで接続しようか?」


 パブというのはパブリックモードのことだ。ネットワーク上の仮想の街で実際に陳列されている商品を見ながら買い物ができる。利用者は仮想の街の上でアバターとなり、買い物を楽しむことができる。こうした仕組みで、ネットワーク上にありながら、まるで市場で買い物をするような雰囲気を味わうことができるらしい。ちなみにボクはこの機能を利用したことはない。

これに対して、プラとはプライベートモードのことだ。ネットワーク利用者に干渉されず、個人で買い物を楽しむことができる。個室に必要な商品を取り寄せて買い物をするような仕組みになっている。

一般的なネットワークでの買い物はプライベートモードが主流だと聞く。


「えっと、よくわからないのでお任せします」


 ボクの返答に、石渡さんは少し悩んだ後、すぐに答える。


「ああそうだな……特にこれが買いたいってものもないし、せっかくだしパブにするか? ブラブラウィンドーショッピングするなら、プラで商品取り寄せるよりも、パブで見た方が楽しいし」


「わかりました。それじゃあパブで接続しますね」


「ああ、それじゃあいこうか?」


(パブリックモードでガラパゴスに接続)


 ボクは石渡さんと決めた通りに、頭で接続するように念じた。

そして次の瞬間、目の前の景色は一変する。

 目の前に広がるのは街並み。古いレンガの町並み。

人類が最も栄えていた時代だと呼ばれている、20~21世紀を意識した街並み。その中をいきかう小人……いや、人間たち。そしてその中にあふれる、色と商品。

 話には聞いていたが、足を踏み入れたことはない街。生まれて初めてみた、小人が作った、小人のための仮想の街。

 これまで触れたことのない膨大な情報量を前に、ボクは少しだけめまいを感じた。


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