21
階段を勢いに任せて登ると、ものの数秒で2階についてしまう。
せっかく楽しかったのに水を注されたような気分になる。
「はははっ、ああっ、びっくりした!!」
石渡さんはいまだに歓声をあげている。本当に楽しそうだ。
「そうですか。それはよかったです」
ボクの皮肉交じりの返しに、
「ああ、よかったよ。まったく」
彼女も皮肉で返してくる。なんとなくおかしくなって、またクスリと笑ってしまう。
「さて、ともかく2階に着いたので、次は屋根裏にいきますよ。スチュワートはたぶんそこにいるので」
ボクがそう言うと、彼女は一瞬キョトンという顔をしてから、何かに気がついたようにうなずく。
「あっ、ああ、そうだね。例のアンドロイド、すぐに見つかるといいね」
「石渡さん?」
「へっ!? 何?」
「今、スチュワートを探していること、忘れてたでしょう?」
ボクの核心のついた問いかけに、石渡さんは焦ったように首を横に振る。
「いやいや、そんなことないって!! 人にものを頼んでおいて、本題を忘れてるなんて、そんなことないって!! いやだなあ、もう!!」
完全に図星をつかれて焦っている石渡さん。あからさま過ぎて、思わず苦笑してしまう。
素直な人だな、と心の中で思うが、実際に言ったら怒られそうなのでやめておく。
「はいはい。そうですね。忘れてたなんてそんなことないですよね」
そんなことを言いながら、屋根裏への梯子がある寝室へと足を進める。
ボクのそんな態度に文句ありげな雰囲気が、胸ポケットの中から伝わってくるが、それには気づかぬふりをして、梯子に手をかける。
「ここから梯子がありますから、さっきより揺れると思います。きちんとつかまっていてくださいね」
「……ああ、わかった」
ボクの呼びかけに少し間を開けて彼女が答える。それと一緒に胸ポケットの布地が、誰かにギュッと握りしめられたのが分かった。




