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小人の国  作者: 夏野ゲン
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 階段を勢いに任せて登ると、ものの数秒で2階についてしまう。

 せっかく楽しかったのに水を注されたような気分になる。


「はははっ、ああっ、びっくりした!!」


 石渡さんはいまだに歓声をあげている。本当に楽しそうだ。


「そうですか。それはよかったです」


 ボクの皮肉交じりの返しに、


「ああ、よかったよ。まったく」


 彼女も皮肉で返してくる。なんとなくおかしくなって、またクスリと笑ってしまう。


「さて、ともかく2階に着いたので、次は屋根裏にいきますよ。スチュワートはたぶんそこにいるので」


 ボクがそう言うと、彼女は一瞬キョトンという顔をしてから、何かに気がついたようにうなずく。


「あっ、ああ、そうだね。例のアンドロイド、すぐに見つかるといいね」


「石渡さん?」


「へっ!? 何?」


「今、スチュワートを探していること、忘れてたでしょう?」


 ボクの核心のついた問いかけに、石渡さんは焦ったように首を横に振る。


「いやいや、そんなことないって!! 人にものを頼んでおいて、本題を忘れてるなんて、そんなことないって!! いやだなあ、もう!!」


 完全に図星をつかれて焦っている石渡さん。あからさま過ぎて、思わず苦笑してしまう。

素直な人だな、と心の中で思うが、実際に言ったら怒られそうなのでやめておく。


「はいはい。そうですね。忘れてたなんてそんなことないですよね」


 そんなことを言いながら、屋根裏への梯子がある寝室へと足を進める。

 ボクのそんな態度に文句ありげな雰囲気が、胸ポケットの中から伝わってくるが、それには気づかぬふりをして、梯子に手をかける。


「ここから梯子がありますから、さっきより揺れると思います。きちんとつかまっていてくださいね」


「……ああ、わかった」


 ボクの呼びかけに少し間を開けて彼女が答える。それと一緒に胸ポケットの布地が、誰かにギュッと握りしめられたのが分かった。




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