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少しむくれた顔で出てくる小人。しかし、先ほどまでのヒステリックさはなく落ち着いた様子だ。
「どうやら介抱してもらったようだね。状況がよくわからずに混乱していたんだ。すまない」
彼女はボクに向かって頭を下げてくる。ボクは不思議な気分になりながら、
「いえ、元気そうで何よりでした」
ボクの答えに彼女は薄くほほ笑んで返す。
「不思議な感じだ。巨人といえばもっと粗暴で気性の荒いイメージだった。君は全然イメージと違うな」
ほめことばなのだろか? とりあえず笑ってごまかしておく。
「ところで、私の荷物一式はないだろうか? あれの中には重要なものがたくさん入っていたのだが……」
「えっと、そのことなんですが、申し訳ないんですけど、貴方の荷物はここにはないんですよ。あなたは、うちの有機アンドロイドのスチュワートがここに連れてきたんです。その時にはずぶぬれのあなた一人を加えているだけでした。『小人』の……いえ、『人間』の方を見たのは初めてで、しかもひどく弱っているようでしたので、少し動揺してしまいました。無礼なふるまいをしてしまいましたね。すいません」
ボクの謝罪に彼女は頷いて笑う。
「いや、動揺してしまったのは私も同じだ。こちらこそ騒ぎ立ててすまなかった。君のように話がわかる相手ならば、あんなに騒ぎ立てることもなかったな」
ボクは首を横に振る。
「いえ、ボクのほうこそ気が利きませんでした。すみません」
「いや、私のほうこそ」
「いえ、ボクが……」
謝罪を繰り返しているうちに、いつの間にかおかしくなってきた。
そしていつの間にか笑ってしまっている。そんなボクを見て、千絵さんは困った様な顔のままで固まっている。
ボクは思う。なるほど。これが本物の『会話』か。




