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大きな驚き
「いっとくけど、オレ何も聞いてないよ。」
幸谷は南湖ちゃんの様子がいつもと違うと感じたのか、安心させるかのようにそう言った。
「本当に?絶対?」
「ああ」
「良かったぁ〜」
南湖ちゃんは力つきたようにヘタッと椅子に座りこんだ。
「でも、女子がこんなに必死になるってことは……どうせ恋バナだろ?」
「まあね」
南湖ちゃんの目があたしになんでいっちゃったの?と言っている。
幸谷は、あたしたちのいる机の近くに椅子を持ってきた。
顔をちょっと怪しげにして。
「んで、誰なんだよ。南湖の好きな人は」
やっぱり。聞くと思った。
「…教えない」
「いいじゃん!」
「かっ…神坂………卓也先輩……」
「えぇ〜〜マジかよ!!!」
「なんでそんなに驚いてんの!?」
「…意外だったから」
口を開けたまま、ずっと驚いている。
「ねぇ、本当に誰にもいっちゃダメだからね!」
…何も言わない幸谷。そして、ダッと教室を飛び出していった。
ポカンとするあたしと南湖ちゃん。