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夜は僕  作者: イヌモグル
2/5

○○

 食事中も、彼らのおしゃべりは止まらない。


ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


昨日のテレビがどうだの、あのアーティストがどうだの。

彼女がどうだの、車がどうだの。

講義がどうだの、教授がどうだの。


ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


うるさいな。

そんなこと、別に興味はないよ。


 「栗さんは?昨日見た?」

「いいや、見てない。どんなんだった?」


そう言えば、あとは勝手に話してくれる。

僕は適当に相槌うって、言葉を軽く受け流す。

内容なんか、覚えていない。


ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


僕は聴くだけ。

語らせておけば、相手は幸せ。


「それで、アイツが出てきてさ」

「山任、言葉じゃわからんだろ」

「アレはウケた。すげぇ笑った」

「場違いすぎて言うことなしだな」


あとは彼らが、勝手に進める。

僕は適度に頷きながら、頭に言葉を通過させる。


 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。

ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


どんな番組観てようが、それは自分の勝手だよ。

合わせる気なんて更々ない。

僕は僕だけ、それだけだ。

 どんな音楽聴いたりするの?

好きな音楽をよく聴くよ。

どんな音楽が好きだったりするの?

良いと思ったら音楽が好き。

 どうせ誰にもわからない。

他人のこともわからない。

僕は僕だけ、それだけで、一通り事は足りてるよ。


 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


「そろそろ予鈴がなるんじゃね」

「新堀、次はメディア論か?」

「社台も同じだったよな」

「山任一人でドイツ語か」

「隣が女で楽しいぞ」

「よこせよ」

「代われ」

「それから栗東なんだっけ?」

「栗さんあれだろ、二限まで」

「花金、花金」

「新堀、なんか親父くせぇ」


どんな時間割作ろうが、そんなの僕の勝手だよ。

彼らは彼ら。

僕は僕。

それで十分じゃないかな。


 「ところで、今日は金曜だし、どっか食いにでも行かないか?」

「ラーメンそろそろ飽きてきた」

「俺はどこでも構わんよ」

「栗東どっか行きたいか?」

「俺はバイトがあるからさ」


そんな都合の良い嘘で、僕は誘いを切り抜ける。

付き合い悪いと言われても、そこまで嫌われるわけじゃない。


「一人暮らしはやっぱりキツいか」

「そうでもないよ、余裕はないけど」

「無理はすんなよ苦学生」

「苦しいほどではないけどね」


じゃあまた今度、誘うから。

彼らはそう答えるけれど。

別に誘ってくれなくていい。

僕の世界を侵されたくない。


 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。

ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。


そしてようやく、予鈴がなった。

彼らも席をたち始める。


「そんじゃ栗さん、また来週」

「はいはい」

「バイナラ」

「新堀そろそろ死語やめろ」


 そうして彼らは去っていく。

これでようやく、僕一人。

 素敵だ。

とても素敵だ。

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