3.ツァーリとオレグ
オレグというイーゴリ大好きの飼い犬系騎士
(※皇帝視点、ただしやや現代語混ざり・皮肉100)
吾輩は猫である。
名前はツァーリである。
館の皇帝である。
しかし、この館には――
吾輩の玉座(=イーゴリの膝) を
密かに狙う若造がいる。
名はオレグ。
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✦ 一、オレグの奇妙な習性 ✦
あやつは人間のくせに、
吾輩と同じく“膝”を好む。
普段は険しく無表情であるが、
イーゴリの姿を見ると尻尾が見えるほど嬉しそうになる。
(実際には尻尾はないが、吾輩には見える)
「おーい、オレグ」
「……はい」
無表情だが、
声がワンコなのだ。
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✦ 二、吾輩の玉座を巡る争い ✦
今日も吾輩は堂々と
イーゴリの膝の上に座り、
顎を撫でられていた。
うっとりする吾輩。
まさに皇帝の時間。
そこへ――
廊下からオレグが執務室に入ってきた。
一見いつも通り無表情。
だがその目だけが細くなっていた。
ジトーーーーッ
(ふん……嫉妬の匂い……)
オレグは言った。
「この猫……嫌いです」
「は?」
「イーゴリ様の膝を……
独占しているからです」
「お前かわいいなオレグ。
よしよし」
ガシガシガシガシ!!!
イーゴリがオレグの頭を豪快に撫でる。
オレグの髪が乱れる。
しかし本人は無表情のまま。
(※ワンコなので内心はめちゃくちゃ嬉しい)
「………」
オレグは嬉しそうに下を向いている。
(なにを嬉しがっておる……)
(我が玉座を奪う気か、小僧)
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✦ 三、皇帝 vs ワンコ、宿命の睨み合い ✦
イーゴリに撫でられながらも、
オレグはチラチラと吾輩を見た。
ジトジトジト……
吾輩も負けじと睨み返す。
キリィィィ……
(ふふん。
羨ましいのか?
羨ましいのだろう?
小僧め)
「……イーゴリ様、
その猫、どかしませんか?」
「は?なんで?」
「……嫌いだからです」
「そりゃお前の都合だろ。
ツァーリはここが好きなんだよ」
(聞いたか、小僧。
我こそが正室である)
オレグは無表情のまま、
しかし殺意のない嫉妬でいっぱいの目で言う。
「……イーゴリ様に可愛がられるのは…
俺だけのはずなのに……」
(イーゴリは我のものだ!)
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✦ 四、イーゴリにはわからない関係性 ✦
イーゴリは二匹の睨み合いを、
よく分かっていない。
「おい、なんで睨み合ってんだお前ら。
仲良くしろよ」
「……できません」
「(シャーとだけ鳴く)」
「ほら、ツァーリ優しくしろ。
オレグ泣くだろ」
「泣きませんけど……
猫がどけば嬉しいです」
ツァーリは一歩も引かず思った。
(お前がどけ)
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✦ 結論 ✦
吾輩は猫である。
オレグは人間である。
しかし――
吾輩とオレグの関係は、
どちらがイーゴリの“最愛の膝”に座るかの戦いである。
勝つのは当然、皇帝である吾輩だがな。




