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脊髄反射でガン見したい彼女  作者: 可愛い杏仁豆腐


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09 これからの話

最近は歌いながら作品を書いています。

 10月下旬。

 昼休み終わりの五時間目には弁当の満腹感から眠くなり、授業に集中できない生徒が多い。


 そしてそれは生徒に限らず、教師にも勿論あり得ることだ。大成達の担任かつ数学教師の男教師、功刀くぬぎはあくびを隠すことなく堂々とかいた。


「最後にこの前の期末テスト返すぞー、出席番号順に取りにこーい」


 大成は自らの席から立ち上がり、教卓に向かって進んだ。


「浅見ー」


 テストを受け取ると、まだ点数を見ずに、小さく会釈して大成は自分の席に着いた。


「ふぅ」


 一つ息を吐いて慎重に紙を裏返していく。表面に書かれていた点数は


「96点、、ね」


 今回のテストの最終問題、大問6には理数科大学レベルの問題が紛れており、現在高校三年生の大成はその問題を解くことが出来なかった。だがそれ以外は全問正解。十分な点数と言えるだろう。


「大成は何点だった~?湊は100点だったけど」


「あいつはなんでとけるんだよ。咲茉はどうだった」


「強いていうなら大成より下かなぁ〜?」


「当たり前過ぎるだろ」


「テストの解説は次。授業はこれにて終了。挨拶はスキップだ。浅見、話がある。着いてこい」


 功刀くぬぎはそれだけ言い残し、教室から出ていった。


「後で何怒られたか教えてーね」


 咲茉はドンと背中を押して大成を送り出した。


「なんで怒られる前提なんだよ」


 大成には何も心当たりがなかったため、功刀から言われることは何も予測が出来なかった。


 廊下に向かうとパソコンを持っている功刀くぬぎが大成を待っていた。大成がそのまま功刀についていくと、到着したのは進路相談室だった。


 功刀は回転する椅子にダボっと座り大成も促されるまま、向かいの椅子に座った。


 静寂の中、秒針の動く音がはっきりと聞こえた。功刀は、その時計に一瞬視線を移し、話し始めた。


「で、話したいのはお前の将来について、だ。事実、今のお前は大学進学を希望している。だがこの紙には将来の職業について書くのにも関わらず、お前は決まっていないと答えた。本当に何も決まっていないのか?」


 担任として、一生徒の進路は把握しておきたいものだ。


「今のところは、何も」


 大成は幼少期から今まで、将来の夢、なんてことを考えたことがなかった。なぜなら大成は、ずっとこのまま、学校生活を繰り返していたいという気持ちをとても大きく抱えていたためだ。その執着心が今の大成にまとわり付き、ずっと、考えるのを放棄してきた。


 時間は止まらず、進み続けていくというのに。


「正直な話、俺もお前ぐらいの年齢の時は今の浅見みたいなもんだったんだ。進路のことになると、頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。」


 そうなった理由は功刀本人にしか分からないだろうが、大成は少しの共感を持った。


「そんな俺に、手を差し伸べてくれた人がいたんだ。その人は高校の時の担任で、教師になれって言ってくれた。最初はそんな仕事したくないと思ったが、見ての通り、現に俺は今教師をしている」


 大成にはまだ功刀の言っていることが理解できていなかった。


「仕事ってのは、やってて楽しいですか」


「なって良かったと思ったことなんて数回しかない。だがその数回のために頑張ろうと思える。それが仕事ってもんだ」


 功刀は目にかかった髪を後ろにかきあげた。


「あの人が言ったように教師になれ。とは言わないが、お前も少しは考えてみてくれ。俺も一応担任だからな。出来る範囲のことならしてやれる」


「まあ、じゃあ少しは頼りますよ」


 なんとなく理解は出来た。後は大成が実行に移すことが出来るかどうか。


「やっぱ少し俺に似ているんじゃないか?」


「似てません」


 進路指導室から解放された大成は、残った功刀を置いて、急いで教室に戻った。授業には間に合ったが、他のクラスメイトに「なにをやらかしたんだ」な目で見られるのは苦痛であった。


 帰りのホームルーム。


 功刀くぬぎは最低限の連絡をした後、まだ未来のある生徒たちに仕事の愚痴をこぼした。


「もう知ってる奴もいるだろうが、10月31日。この学校ではハロウィンフェスタが開催される。各クラス一つ出し物をやってもらう。週末までに意見を固めておくようにな」


 ハロウィンフェスタ。他の高校の文化祭のようなもの。クラスごとに出し物をするお祭り、ただ他の高校と違う点があるとするとコスプレが必須ということと、15時から9時まで開催していること。


 学校側がハロウィンと同時に楽しんでほしいという願いが込められているらしい。


「んじゃ一同に解散」




 ハロウィンフェスタの話は、結月と杏のクラスである2年3組でも出ていた。


「先輩はなんのコスプレするのかな、」


 結月は頬杖ほおずえをつきながら呟いた。


「なんか言った?」


 後ろの席から杏が囁いてくる。


「なんでもないっ!」


 結月は外を見た。四階から見える景色。駅の方角にはベージュ色の高い建物が見えた。


 大成が卒業するまで、残り数ヶ月。それまでには、、、


いつも見てくださっている方々、本当にありがとうございます。


大成と結月の両片思い。ハロウィンフェスタでどう変化するのか、、、楽しみにしておいてください!

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― 新着の感想 ―
今回の話は大成の進路と夢についての話でとてもとても真剣に考えていると感じさせる描写が多くてとても話に飲み込まれました。例えば、一息飲む や、頭が真っ白になるなど緊張感と苦悩の感情が所作から伝わってきま…
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