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6話「ヴァイオレンス★エンジェルリリア様?」

「お、これツンデレ天使リリアちゃんじゃねぇか!」


 扉の前に張り付けられていた張り紙に描かれていたキャラを指差し、デビッドがはしゃいでいる。

 それは、黒を基調とした少しだけ露出度の高い衣服を身に纏っており、背中には天使の翼が生えている。髪はツインテールのブロンドカラーでリリアちゃんの外見と酷似している。また、ニコニコとした嬉しそうな表情をキャラクターだ。

 そう言えば昨日リリアちゃんが何かを書いていたのだけど、それはきっとこれなのだろう。この張り紙には部員募集とも書いてあり、早速リリアちゃんは部員募集の為に手を打ってくれたのか。

 リリアちゃんにやる気を見せられると俺も頑張らなければならないって気にさせられる。


「知ってるのか?」

「知ってるも何も、有名なアイドルだぜ? むしろ知らない方が珍しい位だ」

「そうだったのか、それは意外だ」

「カイル、勉強以外の事にももっと目を向けた方が良いかも知れねぇぞ」

「だろうな」

「この絵があるって事は、まさかリリアちゃんがここに居るのか!?」


 デビッドの奴、妙に察しが良い。


「まぁ、そうだけど」

「おお! だったら俺もこの部活に入れてくれよ!」


 やっぱりそうなるか。

 まぁ、リリアちゃんには副部長権限で却下して良いって言っているから問題無いだろう。


「いや、俺含めて人の悩み事の相談とか無理だろ。俺はカオス学長に言われたからやるしかないけどさ」

「はっはっは、そんなの気合があれば問題ねぇ! 俺に任せてくれ!」

 

 自信たっぷりに言うデビッドだ。

 他人悩みを気合で解決出来る訳無いと思うが。


「まぁ、リリアちゃんが良いって言えば良いんじゃない?」

「なんだ? カイルが決めれるんじゃねぇのか?」

「決めれないな、部員を採用する権限はリリアちゃんが持ってるから。人を見る目は俺よりリリアちゃんの方が上と思うからな」

 

 勿論リリアちゃんが人を見る目が俺より上と言う話はいい加減に言った事である。


「まっ、俺なら大丈夫だろ!」


 物凄く前向きなデビッドだが、リリアちゃんから木っ端微塵にされた事を覚えていないのだろうか?


「ははは。入る時はノックしておいてくれ」


 俺に言われ、デビッドは部室の扉をノックする。

 中から、リリアちゃんから入って良いわと返事が来た。

 その声を聞いたデビッドが安心して扉のを開ける。

 部室の中に一歩踏み出すとそこには……。


「いやああああ!!!! 変態消えろ! 死ね……?」


 今日もまたお着換え中なリリアちゃんの姿が目に映ったのだが。

 貴女、確かに入って良いよって言ったよね? にもかかわらず着替え中って、これもう俺に見せたいだけなんじゃって疑うんだけど。


「待て、リリアちゃんは入って良いって言ったよな?」

「………………」

 

 俺の問い掛けに対してリリアちゃんは黙って何も言わない。

 鋭い眼差しでデビッドを睨みつけながら口元が動いている。

 待て、これは何か魔法を詠唱しているぞ!


「カイル。貴方魔法防御力上げる魔法は使えるよね? 私加減できる自信が無いわこのツンツン頭に掛けて頂戴」


 嫌な予感しかしない。

 俺は言われた通りデビッドにレジストの魔法をかけ魔法防御力を上昇させる。

 それを見たリリアちゃんがデビッドの元にゆっくりと近付くと、


「こんの、変態がーーーーーーー」


 デビッドに向け、彼の至近距離でエアバーストの魔法を放つ。

 リリアちゃんの魔法を受けたデビッドは入り口の扉を越え、廊下の遥か先目掛け大きく吹っ飛ばされた。


「リリア、ちゃん?」

「フン。変態の扱いなんてこれで良いのよ」

 

 白い下着姿のまま腕を組みながら鼻を鳴らすリリアちゃんだ。

 リリアちゃんの魔法で派手に吹き飛ばされてしまったデビッドだけど、アイツはタフだから多分大丈夫だろう。


「否定はしないけど、デビッドに何か恨みでも?」

「あるに決まってるじゃない? 純白天使のアイドルリリア様の下着を見やがったのよ? 本来だったら万死に値しても可笑しくないの。だから風魔法の1発で済んだ事だって有難く思って欲しい位」


 確かにリリアちゃんの言い分もわかるが、まぁ被害者はデビッドだからどうでも良いか、勝手について来ただけだし。


「それもそうだな」


 俺はリリアちゃんの意見に賛同し、次の話に進めようとするが。


「納得してもらえたところ悪いんだけどさぁ、なんでよりによってあのツンツン頭を連れて来たわけ?」


 当然そこを突っ込まれる。

 昨日リリアちゃんがデビッドを敵視する旨を言っていた以上やっぱりそうなるのは当然か。


「教室からでたら勝手に着いてこられた。この部に入りたいと言われたが、リリアちゃんからダメだと言われれば諦めると思った」


 リリアちゃんが少し押し黙り、


「仕方ないわね。部員の採用権を与えられた以上追及しないわ。ただ、あのツンツン頭が悩み事相談とか言い出したら対応は任せるわよ」


 あの脳筋に悩み事なんかなさそうだけど。


「分かった、その時は俺が対応しよう」


 と思ったが、リリアちゃんとの接点を求める為に無理矢理悩み事がある事にするくらいはやってくるかもしれない。

 その時は適当にあしらおうと思ったところで、


「うおおおおおお」


 遠くからデビッドの雄たけびが聞こえて来た。

 まぁ、奴の性格なら遥か彼方に吹き飛ばされた程度で諦める訳が無いか。

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