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焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!  作者: 雷覇


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牙を剥く焔

――夢幻島。南方の峡谷地帯。


深い霧の中、静寂が支配する岩場を、焔木海人は歩いていた。

手には、自身の魂から生まれた真紅の刃――**奪焔神刀だえんしんとう**が握られている。


「……さて。魔獣でもなんでもいい。相手になりそうなのは――」


そのとき、霧の奥から不気味な唸り声が聞こえた。


「……来たな」


霧を割って姿を現したのは、**“双角岩獣そうかくがんじゅう”**と呼ばれる島でも上位に位置する魔獣だった。体高は4メートルを超え、両肩に岩のような角を生やした獣型の異形。

通常の刀など、一太刀では傷もつかない。


だが――


「試してみるか……この刀の力を」



魔獣は咆哮を上げて突進してきた。

地を割るような勢いに、普通の人間なら意識を失うほどの圧だ。


海人は一歩も退かず、ゆっくりと構えを取った。


「来い……俺の“餌”になれ」


――ズバァァッ!


一瞬。

まるで炎そのものを斬撃に変えたかのような、灼熱の一閃が走る。


魔獣の巨体が、止まった。


だが、次の瞬間――


ドォン!!!


岩獣の胴体が中心から灼け、真っ赤な炎と共に内側から崩れ落ちた。


「……効いたか」


その瞬間、海人の胸に、ある感覚が流れ込んだ。


――力が、満ちる。


体中を流れる氣が、さっきまでより遥かに濃く、重く、鋭くなっていた。


「……氣が……増えてる?」


ゼロの声が後方から飛ぶ。


「マスター……今の一撃、ただの斬撃ではありません。

 “奪焔神刀”の能力が発動しています」


「能力……?」


「はい。解析中……確認。

 斬った対象から“氣”を吸収・転化し、自身の力に変える能力です」


「……氣を、奪う……」


理解した。

この刀の本質は、“切る”ことではなく、“奪う”こと。


奪った氣は、自身の活力となり、あるいは次の斬撃の燃料となる。


「……いい力じゃないか」


さらに霧の中から、次の敵の気配が現れた。

群れだ。小型魔獣――数は十以上。


「よし。いい機会だ。試させてもらうぞ――!」


海人は刀を肩に担ぎ、唇を吊り上げた。


「まとめて、喰らい尽くしてやるよ」



彼の氣が再び高まり、刀に炎が巻きつく。


海人が踏み込んだ瞬間、大地が赤く染まった。

彼の周囲数メートルが、灼熱の氣場に包まれ、踏み入れた魔獣が次々と燃え上がっていく。


悲鳴。爆音。焦げる獣肉の匂い。


すべてが静まったとき、炎の中心に、刀を収めた海人の姿があった。



「……これが、俺の力」


荒れ狂っていた氣は、今や己の意志で操れる“炎”へと変わっていた。


「ゼロ」


「はい、マスター」


「この力があれば、俺はもう、誰にも奪われない。……全部、取り返してみせる。いや奪いつくす!」


焔木海人――かつての“無力な囚人”は、いまや“力を奪う刃”として、

夢幻島にその名を刻み始めていた。


――そして、その報は、静かに焔木本家へと届こうとしていた。




――焔木本家・中枢結界塔。


「……報告いたします。夢幻島南域にて、強大な氣の爆発反応を検出」


張り詰めた空気の中、術監視部門の者が静かに頭を垂れる。


結界板に記録された揺らぎは、今までに見たこともない規模だった。

それは明らかに、“自然現象”ではなかった。


「数値を……読み上げよ」


結界塔を預かる長老が厳しく問う。


「はっ。火属性反応、特異拡張型。

 該当箇所、夢幻島南峡谷……確認された氣の波形は、“心氣顕現による斬撃属性”と推定されます」


「……心氣だと?一体何が起きているんだ?」



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