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焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!  作者: 雷覇


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紅蓮の解放

「心氣顕現――それなら、制御不能なあなたの氣を正しく扱えるようになるでしょう。

 私の補助があれば、十分に可能です」


ゼロはそう言うと、静かに両手を前に差し出した。


手のひらに集束されていく氣の波動が、空気を震わせる。


「心氣顕現――ガーディアンスター」


次の瞬間、彼女の手に円形の小型盾が顕現した。

左右それぞれに浮かぶそれは、まるで夜空に並ぶ双星のように淡く光を放っていた。


「それが……お前の武装か?」


「はい。私は“守護”に特化した型です。顕現能力は《防壁展開》。

 衝撃、暴走、氣の流失を抑制することに特化しています」


「なるほど……確かに心強い」


「さらに、心氣顕現には“能力”が宿ることがあります。

 使用者の内面、記憶、欲望に応じて、独自の特性が顕現するのです」


「……自分の欲望、か」


「あなたにも、きっとふさわしい能力が現れるはず。

 さあ、始めましょう」


海人は深く息を吸い、目を閉じた。


「ただし、ひとつ言っておく。爆発するかもしれないぞ」


「そのためのバリアです。――全力で、どうぞ」



刀の形。重さ。手に馴染む感触。

海人は、これまで幾度となく握ってきた“武器”を、心の中で明確に描き出した。


氣を両手に集中させる。

だが、やはり氣は暴れ、形を定めきれず揺らぎ続ける。


「ぐっ……くそっ……!」


「《防壁展開・強制安定》――外部拡散を遮断。制御、補助に入ります」


ゼロの盾が青白く輝き、海人の手元を包み込んだ。


――そして、彼の脳裏に過去が蘇る。


(……俺はずっと、奪われてきた)


家族に、仲間に、力に……

そして何より、“生きる意味”そのものを。


(なら、今度は――)


「俺は奪う。奪い返すんだ!! 全部……この手で!!」


激情が氣を突き動かす。


抑えられた怒りが、渦を巻いて刃の形へと凝縮されていく。


「来い……! 俺の力――俺の“武器”!!」


ドゥオン!!


氣の衝撃がバリアを震わせた。


「……ッ! バリアにヒビがっ……! マスター、停止を!」


「駄目だ! このままいく!!」


ゼロが必死にバリアを維持する。だが、ヒビは広がっていく。


そして――


パアァァンッッ!!


バリアが砕け、赤黒い爆風が洞窟内を吹き荒れた。


ゼロは咄嗟に再バリアを展開し、爆炎を弾いた。

視界が煙に包まれる中、センサーが一点を指し示す。


「……マスター……?」



煙が晴れたその場所には、海人が立っていた。


――微動だにせず。

そして、手には一振りの紅い刀。


血よりも濃く、炎よりも深い。

それは彼の氣が実体化した“存在”だった。


「……ふっ……ハッハッハ!

 やった……ついにやったぞ!! 心氣顕現、成功だ!!!」


「……おめでとうございます、マスター」


ゼロが彼の氣の流れを再確認した瞬間、思わず言葉を失った。


暴風のようだった氣が――今はまるで、静かな湖のように安定していた。


完全な制御――ついに、成されたのだ。


「その刀の名前は?」


海人はゆっくりと目を閉じ、答える。


「“奪焔神刀だえんしんとう”。

 顕現の瞬間、頭の奥に焼き付いたんだ。そう呼べってな」


「奪い、焔で裁く神の刀……素晴らしい名です」


「……ありがとう、ゼロ。お前がいなかったら、ここまで来れなかった」


「私の存在意義が、あなたの力の補助です。感謝いただけて光栄です」



刀を握りしめた海人の目が、洞窟の外へと向く。


「……この力、試してみたい」


「魔獣狩り、ですか?」


「ああ。俺の力で――この島に“存在”を刻み込む」


もはやその瞳には、諦めや迷いの影はなかった。


焔木海人。

かつて“無能”と蔑まれ、幽閉された少年は今――


己の欲望を刃に変え、

“奪う者”として、再び歩き出す。


――その先にあるのは、奪還か、破壊か。

焔の運命が、動き出す。

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