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22話:過去、今、未来の生きる伝説

すいませんでしたァァァァ!!!

この一週間体調を崩し、記憶がほとんどありませんでしたァァァァァ!!!!


インフルではないのに何故か続き、やっと体調が戻りました!


遅れてしまいごめんなさい!!

割と良いところで切ってしまい、申し訳ありません!!

──白銀の騎士たちの立場について語ることにしよう。


 彼ら、白銀の騎士の平均年齢は最年少でも500歳に達し、その実力は塔の各勢力と比肩すると言われている。塔には様々な勢力が存在するが、中でも『黄金の軍勢』は特筆すべき一派だ。


 この軍勢は、上層に君臨するジュリウスの護衛をはじめとする多岐にわたる役割を担っている。その中でも、代表格の者たちは自らの世界を創造する能力を持つとされている。


 最初は都市伝説的な扱いだったが、ジュリウスの持つ権能の一つとして彼らの家族たちが住まう星、『ステラ』と呼ばれる物が今もなお存在していることから、塔の共通認識として認知されるようになった。


 ステラは、生活に必要な衣食住をすべて保証する、豊かな世界であるとされている。戦いに明け暮れる者たちにとってはまさに楽園だ。


 だが、その楽園にも条件がある。

 通常の星と同様、税を納める義務が住民に課せられているのだ。


 ステラ特有の食べ物には、黄金の加護が施されたイチゴのウイッシュベリーや、お米の上位互換とされるフルードがある。


 ジュリウスのレベルになれば、それを生み出すことが可能だが、神にそんなことをさせるわけにはいかない。

 もちろん、それくらいなら誰もが行うが、それだけでは参加者が限られてしまう。


 ジュリウスにも利益がある案が提案されたのが⋯⋯黄金の軍勢の結成だった。


 ランクは次の順で設定されている:『荷物運び・雑用』、『見習い』、『見習い騎士』、『騎士』、『男爵騎士』、『準男爵騎士』、『子爵騎士』、『伯爵黄金騎士』、そして『大公爵黄金騎士』。


 これはマルタとロビンが決めたものだが、子爵と伯爵の間、ここまでで数百年の下積みを得てからなれる役職であり、その役職を知る者は、その重要性の大きさを理解していると、ステラでは言われている。


 ここで白銀の騎士という派生役職が待っている。このまま順当に進めば、大公爵騎士まで上り詰めることができるが、それだともう先がない。

 

 ──だが、白銀の騎士は、子爵と伯爵の間で特に優秀な者に声が掛かる特別優れた役職である。


 白銀の騎士になれば、たった一つの役職としての自負は失われるが、羨望の眼差しで見られるというほど優れた役職のため、その実⋯⋯稀に大公爵騎士と並ぶ権力を手にするものが現れたりする。


 長話はこれくらいにして、要約すると彼らには常にこのように言われてきた。


 『天才』だの『優秀』だのと、賛辞の言葉が永遠と言われるくらい。

 そんな彼らにプライドという単語が焼き付くのに、そこまで時間は必要なかった。


 白銀の騎士。

 彼らは過去の伝説くらいで何を驚く必要があるのだと思っていた。


 ⋯⋯36層。36層はちょっと毛が生えた程度の子供と大差がない。


 ほとんどの36層プレイヤーは、それくらい強くないのだ。


 彼らは相手を甘く見ていた。

 何故なら──


 36層プレイヤーの過去の伝説くらい、大したことないだろうと。


 

 「《白炎》(ユグ)」


 複数の戦士が同時に叫びながら、剣を振るう。剣から繰り出される白炎が渦を巻き、全方位を包み込む。


 「相手は伝説だ──油断するんじゃないぞ」

 

 マルタとロビンは鬼のような剣幕でそう白銀の騎士たちに背後から伝える。しかし、彼らは相手を過小評価していた。


 「⋯⋯⋯⋯」

 

 彼らは剣を持つ手首を返し、男に向かって一斉に攻撃を仕掛ける。

 

 舐めるなと。

 こっちはどれだけの時間費やしてこの立場までやってきたかと。


 「危険だ! 正面攻撃は避けろ!」


 マルタとロビンは、焦りを隠せないまま叫んだ。彼らは内心、軽視していた。ただの36層の戦士だ、と。


 「おい!さっさと援軍を呼べ!!」

 「し、しかし⋯⋯」

 「アイツらはもう死んだ!! さっさと次を呼べ!!」


 背後で待機していた男に怒鳴りつけ、溜息をつくマルタ。


 「マルタ様、さすがに相手は36層ですよ。そこまでする必要がありますか?」

 「あの男は別なんだよ」

 「⋯⋯別?」

 

 マルタの側近である男は、疑念を抱きながら首を傾げた。


 「あの男は、次元が違うんだ。36層で我らと戦って時間差で負けかかっているのだ。そんな男が普通の男だと?」

 「しかし、こっちは白銀ですが⋯⋯」

 「お前たちは見たことがないからそんなことが言えるのだ。あの男の一撃は──ジュリウス様の力を一瞬超えたのだから」


 マルタの視界に映る数人の騎士が斬りかかる姿と、迫る騎士たちを見て嗤う男の姿。マルタ謎の納得した顔でこう言い放ち、背けた。


 「奴は──人間で唯一、最強という大それた名に相応しいだろう」



 『ふんッ!』

 『白炎(ユグ)!』


 空中から男に向かって勢いよく白炎を渦巻かせ空間を震わせる数人の騎士。


 「未来のお前たちは中々強いじゃないの」


 男はそう言うと、腰を落とし、両の拳を腰に当てた。


 親指は外に。左足は半身ほど前へ。

 その構えから繰り出される一つの技。

 オリジナル──謎の男だった男が放つ必滅の拳。


 





















 「極真空手──正拳突き(王牙)


 煌星の時とは威力がまるで違う。こっちは山二つ爆発させたかのような轟音が響いた。


 空間を裂き、騎士たちの体を貫通し、彼らの肉片を一片残らず吹き飛ばす。見ていたマルタとロビンは黙ってを目を瞑り、彼らがどうなったのかを予想出来て溜息漏らした。


 空へ弾け飛ぶそれは、全て飛散した騎士たちの血と肉片だ。


 「なっ⋯⋯!?」


 他の騎士たちはその衝撃的な光景に目を丸くし、一瞬の出来事が信じられず、現実を疑うような表情を浮かべた。彼らの中には、今までの自信と確信が崩れ去る者もいれば、未だに事態を完全には理解できずにいる者もいた。


 ポケットに手を入れて佇む一人の男。

 白銀の騎士達を背に男はアイオリアに言葉を紡ぐ。


 「コイツらが未来の白銀の騎士とでも言いたいのか?」


 ライターの開閉音が響き、男の静かな呼吸が伝わる。


 それは人間という領域の外。

 言葉を発する度に増える男の圧迫感。


 アイオリアは数千年ぶりに感じるこの目の前に確かに存在しているこの一人の人間を見て、畏怖に近い感情が表情に現れていていた。


 「⋯⋯本当に化物ね、貴方」


 絞り出したアイオリアの悲鳴に近い一言。

  

 「そうか? お前達は随分老けたようだが、未来の俺は当然上層で奇想天外にはっちゃけているだろう?」

 「貴方は負けたわよ」


 ⋯⋯歴史を知っているアイオリアは当然未来を知っている。


 ──神城仁。

 その後誰とも組む事なく、黄金の軍勢相手に40層で再戦したとき、こちらの完敗。


 50層まで登り、彼は他の勢力とひと悶着起こす。


 60層。彼を相手取ることができたのは星座、星雲と呼ばれる高次に存在している神やそれに連なるものしかおらず、大聖戦を起こす。

 

 ⋯⋯結果は星雲たちの敗退。


 70層。そこからは私もあまり正確な情報は持っていないけど、とりあえず化物になったという情報は持っていた。


 つまりアイオリアは、今嘘を過去の伝説に伝えている。


 「⋯⋯ハッ」


 男は嗤った。そして感情が収まるとすぐに、こうアイオリアに言葉を返した。


 「俺が負ける?冗談だろ? 俺が負ける訳ないんだから勝って上層にいるさ」


 獰猛な笑みを向け堂々とそう言い放つ男に、アイオリアは苦笑いを返す。


 その間、騎士たちは当然待つわけもなく、背を向けている男に恥ずかしくも攻撃を仕掛ける。

 

 『俺達の仲間を!!』

 『悪魔がぁっ!!』

 『過去の伝説がなんだってんだよっ!!』


 「なァ?アイオリア?」


 掠れた声で男はそう一言呟き、ポケットに手を突っ込む片手を抜き出し、見てもいないのに騎士たちの剣を避け、振り返ったと思えば正確に繋ぎ目の部分にボディブローが炸裂した。


 一人は致命傷に陥り、一人は上半身が泣きわかれ、一人は剣を振る直前、恐怖で振り下ろすことができなかった。


 「コイツらは長いこと従軍させてた騎士なんだろ?なぜこんなにも弱い? なぜこんなにも戦いの基本も知らない?」


 避けながら呟いた男の言葉が終わる頃には、足元には数十の騎士の甲冑と肉片が落ちていた。

 

 「駄目だ。コイツらの年齢と技術が釣り合ってない。500年、はたまた1000年生きたからなんだ。大したことねぇカス共が」


 龍族以上に感じる鋭い紅い眼光は、背を向けている白銀の騎士数百人に向けて言い放たれた。

 

 踵を返し、男は騎士たちの方へ向いた。


 「なんだ?たかだか15歳のガキ一人に傷一つも浴びせられないってか? おいおい程々にしろよ。恥ずかしくて夜も寝れねぇんじゃないか?」


 彼らの自尊心をぶっ壊すには丁度いい言葉。

 そして今知った情報では、そうほざく彼の年齢は、15歳だと。


 白銀の騎士たちは最年少でも500。赤子以下の年齢に講釈を垂れられることなど、ほとんどといってない。


 気持ちよりも先に、体が動く。


 だが、それと同時。男は軽く飛んでポケットに手を突っ込んだまま騎士の方へと足を構えた。



 ──テコンドー。

 ──躰道。

 ──カポエイラ。

 ──サバット。

 ──キックボクシング。

 ──空手。

 ──シラット。

 ──散打。

 ──ハプキドー。


 .......他事前登録スキル1000以上。


 次の瞬間、この場に響いたのは、華麗⋯⋯いや、美しくて何も発せられないほど優雅で戦いとは思えない足技が騎士たちをねじ伏せた。


 各撃毎に生じる衝撃波が広範囲に波及し、その重い響きは、人間の能力の範疇を超えている。


 「⋯⋯っと」


 今のはあくまで1回飛んで着地した間のこと。再度迫り来る騎士たちを華麗なステップで避けて遂にはポケットから手を抜いて拳に紫色のエネルギー体が男の抜き出した拳に宿った。


 ─天魔拳法、第一招式・餓死手雨。


 纏いし美しいアメジストのエネルギーが雷の如き速さで駆け抜けた僅か後。騎士の体に直撃してはその体は霧散し、連続して特殊な歩法で次々騎士の体を爆発させるように突きを入れていく。


 「終わりだ」


 大海に佇むような紅い瞳がマルタとロビン、そしてアイオリアの順番で向いていく。


 「誰がなんの目的で俺を呼んだのか⋯⋯」


 歩き始めてそう言いかけた刹那、すぐ真横にウインドウ現れる。


 「ん? ⋯⋯ハッ、なるほど」


 ウインドウを読み終えた男は笑って周りを再度見回した。


 「このSS冒険者ってのは誰だ? マックスって奴とエレバっていう二人組は」


 ──残り召喚時間:6分


 男の問いに誰も返事が無い。

 しばらくの静寂を破ったのは、ご本人だった。


 「お、俺っす」

 「わ、私も」


 現れたご本人達は降参と両手を上げた状態で男の前に現れた。少々意外だったのか、男は顎を触ってウンウン頷いている。


 「どうやら俺を召喚したご本人は、お前たちをどうにかして殺して欲しいから喚んだらしい」

 「「⋯⋯⋯⋯」」

 「その様子から見るに、何か戦っていた最中だったようだな。⋯⋯お前達は、多分外人だろ?お前たちの召喚した奴への目的は一体なんだ?」

 「囲いと、理想は優先的にアメリカと取引をしてもらいたいということ、そして本人との厚いパイプを築くつもりでした!」

 「なるほど」


 全力で嘘を吐く事なく叫ぶマックスに男は煙草を咥えながらの返事で返す。


 「約束なら、お前達を殺すのが正解だろう。事実、お前たちもそれをわかっているからこうして死を覚悟で前に出てきたのだろう?」

 「はい!」

 「正直でよろしい。ならどうだ? 召喚した奴は日本人か?」

 「勿論です! 現在の情勢上、日本はとんでもなく弱い国なので、それ相応の対応をすればなんとかなると思いました!」


 男は嗤って脳内思考を始める。

 ふん。そうだな⋯⋯であれば、アイツらが呼んだか、それともクソッタレの上層部が呼んだと考えるべきだろう。地球の奴らは相変わらず俺を金を生む奴か永住権を押し付けてくるクソどもしかいないわけだから、ここは他国の奴らを借りよう。


 「そこのお前、名前は?」

 「マックスです!」

 「よろしい。ではマックス、お前達は今後、この召喚主に出来るだけ付け。側にな」

 「⋯⋯問答無用ですか?」

 「当たり前だ。例えば──」


 遠くで見ていたマルタとロビンは男の言動に目を大きく開けて急いで我先に逃げ出す。


 「こうすれば──あの老害二人は泣き叫ぶはずだ」


 男は片腕を抜き出して手刀の形を作り、その周りには紫色のエネルギー体が変形していた。振り返ると同時に、手刀を斬撃にして飛ばし、我先に逃げる二人へと飛んでいった。


 すると数秒もかからずして、老人二人の泣く声が降ってくる。男は二人へ視線を向けながら言い放つ。


 「ほらな?」

 「貴様⋯⋯!儂らを誰だと思ってお──ッ!」


 グキャッと漫画のような踏み付ける音が何やらしたから聞こえるが、マックスとエレバは男を見上げたまま視線を逸らさない。


 ──逸すと死が約束されているからだ。


 「お前らさぁ、なんでアイオリアの嬢ちゃんですらあんな神々しくなってんのに、お前らはなんで、こんな老人の見た目になっちまってんだか⋯⋯まぁいいや」


 「いいか? 短時間しかいなかったが、とりあえずこの老人共が後はなんとかしてくれるはずだ。とりあえず、殺さねぇかわりに⋯⋯」


 ──その時、二人は死を見た。

 

 恐怖を見た。

 頂点を見た。

 全知を見た気がした。


 圧倒的な肉体から溢れるその茈と赫の対極のオーラが半分ずつ漏れでるその男は人間を超越し、自分たちとは格が違いすぎて、こっちがどれだけの戦力を有していても、まるで勝てる気がしない。


 「お前達には、なるべく日本側に付けって優しく言ってるだけじゃねぇか。なっ? 何も問題がねぇだろ?」


 口調は優しいが、顔つきは脅迫的だ。まるで当然のように。


 「わ、わかってはいるんですが⋯⋯さ、さすがに⋯⋯ど、どうしようエレバ、俺頭悪いからわからんぞ!?」

 「出来るだけで駄目ですか? 私達も家族や様々な事情がありますので」

 「あぁ、それで構わん。ただ⋯⋯他よりも確実にこちらを優先することを約束しろ。じゃないと次は──」


 [召喚時間終了:神城仁のデータを塔に返します]


 「殺っちまうからよ⋯⋯」


 男はそう言い消えていく中、近くで見ていたアイオリアに目を向けた。


 「ふっ、あん時の奴が頑張ったようだな。頑張れよせいぜい」



 男は霧のように消え去り、その魂は天に昇っていった。

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[良い点] 体調が良くなって良かったです。 かっこよすぎるなぁ、また出てきて欲しい
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