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13話:黄金くん、色んな意味で暴走を始める。

 「おかえりなさい、煌星」

 「ただいま〜ぁぁっっ」


 言いながら、長時間の外出に神経を使い果たした俺は、帰ってきてそのままの足取りで⋯⋯奥の馬鹿広いリビングにあるソファへとヘッドスライディング。

 見ていた友梨さんも思わず苦笑い。


 「づがれだぁ」

 「煌星って⋯⋯本当、外に出たがらないよね」

 「そりゃそうじゃん! 体力もほとんどないし、人目とか、やる事もない中で立たされるのが本当嫌なのよ!」

 「そ、そう⋯⋯」


 あまりに迫力のある俺の捲し立てに、友梨さんが押し負け、ブラブラとしている俺の手を優しくアルコールティッシュで拭いてくれる。

 ⋯⋯めちゃくちゃ優しい友梨さんだ。


 「広場に行ったんだっけ?」

 「⋯⋯うん、結構な世界だね」


 本当凄かった。

 民度といい、価値観といい、酷いなんてもんじゃなかった。


 「私も行ったことあるんだけど、煌星は珍しいよねぇー」

 「え? なんで?」

 「普通(・・)学生の時に広場の見学とかするじゃん? だけど、煌星は行ってないみたいだから、なんか理由があるのかと思ってた」

 「へぇーそうなんだ。確かなかった気がするけど」

 「不登校なんだ?」

 「いや?行ってた気がするんだけど⋯⋯」

 「え? オジサンじゃないんだから、たった数年前でしょうー?」


 笑う友梨さん。あれ? マジで覚えてないんだが⋯⋯あれ? 学校行ってたはずなんだけどな。


 朧げに学校の記憶は出てくる訳だから、確かに行ってたはずなんだけど。


 「行ってたはずなんだけど、あんまり覚えてないや」

 「まぁ覚えてない事もあるしね。今日はもう予定なし?」

 「うん、また──ビリヤードでも行きますか?」

 

 と、俺は棒で突く仕草を見せながら悪い笑みを浮かべると、友梨さんもその悪ノリに付き合ってくれる。


 それから着替え終わった俺達二人は、下へ向かう廊下で会話を続けた。


 「それじゃあ行こうかな?」

 「よっしゃ! そう言いながら準備を終えて着いてきている時点でチョロいもんすよ。今日俺が勝ったら耳掻きの権利貰います」

 「はぁー!? ハグとかより難易度高いことを要求するじゃないの! じゃあ私が勝ったら、ラーメン食べに行きましょう」

 「やっぱり、ラーメン食いたいだけっすよね?」

 「そっ、そんなわけないでしょう!?」

 「あー! ていうか、ラーメンはいつでも行きましょうよ」


 噴き出しながら言う俺に、友梨さんも釣られている。それから俺達はエレベーター前に到着して、夜までビリヤードを楽しんだ。

 

 ⋯⋯勿論、耳掻きと下から眺める勝者の景色というのは──やっぱり最高だった。

 我ながら思うが、おっぱじまらない俺達二人は中々変わり者であることは間違いないな。

 イイ感じの距離感から更に縮めようとしない性格が綺麗に合わさっている気がする。



◇◆


 

 「いやー、ラーメン美味しかったっすねぇ⋯⋯」

 「結局全敗! 煌星本当に初心者!? 前も思ったけど、一回教えたら全部出来るようになってるじゃない!チートよチート!」


 まさかゲームのげの文字も知らないような友梨さんが、まさかチートなんて言う日が来るとは。


 「さぁどうぞ! 天才とお呼びくださいませ!」


 優雅な動きでダンスを披露しながら自慢の限りを尽くす。 


 「はいはい、スゴイスゴイー」

 「すげぇ棒読み⋯⋯」

 「あ、そういえば煌星」

 「ん? どうしたの?」

 「明日ってなんか予定とかある?」


 確かなかったはずだけど、念の為スマホを開いて予定表を開いてみる。


 「ないっすね」

 「なんかね? 五香さんから連絡が来てて」

 「五香さん? またなんで?」

 「サポーターのりゅうっていう子は知ってる?」

 「契約した子ですね」

 「どうやら煌星がおむすびをあげたこの兄がりゅう君だったらしいのよ」


 ⋯⋯あぁ、確かに兄弟にぎやかだったなぁ。


 「そうなんだ」

 「そう、それでね? このりゅう君がどうしてもお礼が言いたいということで、契約日とは別に時間が欲しいって連絡が来たみたい」

 

 律儀だなぁ。俺がりゅうくんの立場だったらタダ飯もらってバンザイー! くらいしか思わなかったはずなのに。


 「それでどうする? 本来はこんな事無いんだけど、りゅう君の要望は受ける?」

 「まぁ⋯⋯受けようか」

 

 ちょっと気が変わった。


 「友梨さん、ちょっと追加でりゅう君に連絡できる?」

 「何を?」


 不思議そうにキッチンに向かおうとする友梨さんが振り向く。


 「彼らにとっては嬉しいことさ」


 ニヤリとしながら決め台詞言った後、それぞれのお部屋に移動。俺にとっては、ここからがメインタイムであり、最近サボっていた確認作業をしなければならない。


 ゴソゴソ。


 「あった」


 手にしたのはステータスカードである。

 ここ最近、このクソチートシステムばっかり目安にしてたせいで、このカードをまるで見なくなっていたんだよね。


 そんなお陰で黄金くんはまるで使っていない。

 さて、どんな成長を遂げているのか──楽しみでござる。


 カードは裏返してたまんま。カウントダウンの末に表に返す予定だ。


 「いっせーのっ!」


 表にする。結果はどうだろうか。


 




────

黄河煌星(22)

レベル16

職業:ランサー

スキル

《極真空手Lv7→不完全な※※流極真空手Lv1》

《障壁Lv1→3》

《気配察知Lv2→4》

《槍術Lv2→4》

《痩せ我慢Lv1→3》

――ジュ***・*************・レオード。

《黄金Lv16》(詳細はタップしてください)

黄金Lv16

Lv1《黄金生成》

⋯⋯

Lv5《黄金操作》

⋯⋯

Lv10《黄金融合》

⋯⋯

Lv15《黄金変化》

《黄金操作》熟練度60%

└生成した金を操作する事ができる。

・熟練度の差によって出来る事が変わる。

・全ての熟練度が一定値になりました


 〈一覧〉

 《形状変化操作》

 ・複雑な形状変化が可能になりました。

 《密度と硬さの操作》

 ・硬度と密度を変えられるようになりました。

 《表面操作》

 ・滑らかにしたり粗くしたり、模様をつけたりできるようになりました。

 《生成物空間操作》

 ・生成した金を浮かせたり、動かしたりすることができます。


 《黄金融合》

 黄金を他の物質やエネルギーと融合させ、全く新しい形態や機能を持つ物体や物質を創造する事ができます。


 ※熟練度によって融合成功率が変わります。

 熟練度0%


 《黄金変化》

 黄金を使って他の物質や元素に変える能力。

 熟練度0%


───


 待って待って。終わってない?

 ⋯⋯なんやこれ。


 見ない内にとんでもないことになってるんですけどぉ!?


 えっ? この融合なんて、新しい物体の創造?

 ⋯⋯?


 「駄目だわからん」


 とりあえず、この黄金君⋯⋯駄目だ。暴走を始めてる。

 

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[一言] 馬鹿みたいなスキル…
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