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22話:ロックオン

あ、ランキング入ってたらしいです!

皆さんのおかげです!ありがとうございます!

 そう。例えるならこれは、偶然だった。

 能力や素顔を隠して私は活動している。


 私の名前は佐々木翔太。

 ⋯⋯精錬士だ。


 今日はたまたま依頼とギルドの上層部との会談があったから寄ったはいいものの、相変わらずあの情報は未だに見つからない。

 その情報とは──金を送り付けてきたバグのような初心者冒険者の所在である。


 あの金を貰って以来、常連の数人が私の作った武器の使用感と上がった伝導率のおかげで攻略と依頼のスムーズさが大きく変わったという。

 まぁあの純度100%とかいうこの世に存在していることが馬鹿げている素材を使ったわけだから仕方ないだろう。


「しかし、あの冒険者の名前で調べても何の検索に引っかからない」


 あれから様々な角度から試していった。

 結果は惨敗。

 確かに、活動している事がバレたくない自分みたいなのを含め、全部一緒にしている方がレアケースだから問題ないわけだが──今回はそうも言ってられない。


 仮にあの金をあれだけ用意できる馬鹿みたいな存在がいるとして、接触できることに成功した場合⋯⋯世界のパワーバランスが確実に変わること間違いなしだ!


「その為なら多少の支出は仕方のないこと」


 しかし一向に何の動き見られない。

 あれから彼(不明)のプロフィール欄を確認したところ、取引履歴もないし、辞めた可能性もあるな。


 いや、それはない。

 おそらく彼は金欲しさに取引した確率が非常に高い。

 俺の用意した金で一旦満足したと言ったところか?

 

 "だとしたら次現れるのはだいぶ先になってしまう"


 それだけ避けないと。

 あの伝導率を知った上では、常連たちが騒ぎ立てて大混乱になってしまう。


 あのSSクラスの馬鹿たちに与えたステータスカードの存在は性格が悪いとしか言いようがない。


 黒龍の騎士青木悠香、白薔薇の魔導師天堂司。


 まぁ勿論他にもいる訳だけど、例えばこの青木は⋯⋯優れた容姿をしているにも関わらず、性格残念。

 性欲の権化、気に入った男がいたら一目散に犯そうとするくらい本能に忠実である。


 しかもおまけに狙う男はほぼ確定で凄い男。

 ちなみに俺も狙われた事がある。

 勿論? 丁重にお断りさせていただいたよ?


 そして天堂の方はもっとタチが悪い。

 同じく気に入った奴を必ず身内に囲う。


 手段を取らなくなってくるから一時期国が敵対する程だ。


 と、まぁこんな感じに酷い顧客先な訳なんだけど⋯⋯伝導率のうんぬんかんぬんで暴走した場合──国中のクランが大騒ぎする事間違いなしだ。


 国を守る為、自分を守る為、こうして日々あの金を送りつけた主を必死に探しているというわけだ。


 理解してもらえたか──


 ガンッッッ──!!!


 ギルドから出ようとした瞬間、突然大きな音が響いた。

 思わず振り返って人並み程度の心を持っているため、音の方へと急いで近付いた。


 その時、俺は目の前の信じられないモノを見つけて口を必死に押さえつけた。


 あ、あれは⋯⋯!!

 精錬士である自分は素材の重さを受けない。

 そして家にある工房の机たちも同様だ。


 "あの輝き、あの重さ!"


 間違いない、あの時の金だ!


 すかさず俺は取引している相手を見つめた。

 年齢は若そうだ。

 ちくしょう、かなりイケメンだ。

 金髪か、中々日本で珍しいな。

 

 この人は何かを握っている。間違いなく。


 「ごめん、ちょっといいかな?」



***



 この人何者だ? 何を狙っているんだろう?


「あの、用件はなんでしょうか?」

「あの素材をどこで手に入れた?」


 え? やべ、なんて答えよう。

 まだあの金の所在を言うわけにもいかないだろうし。

 それにこの人、見た感じ普通な感じしないしね。


「いきなり呼ばれて開口一番にそう言われましても⋯⋯見ず知らずの人に言うわけなくないですか?」

「ま、まぁ確かにそうだな」


 妙に静かになったりするのが全くわからない。

 何が目的なんだ? 素材か?


「それでクランの勧誘とかじゃないんですか?」

「え? いや、他に理由はいくつかあるが⋯⋯」


 ん? 何に困っているんだ? 喋りかけてきたのはそっちでは?


「れ、連絡先を交換できないでしょうか?」

「れ、連絡先ですか?」


 ま、まぁここで断るのも微妙だし、適当に交換するか。


「あ、これが普段使ってるスカイのアカウントです」

「あ、黄河さん!」


 俺が紙の切れ端に書いたアカウント名を渡したとき、三神さんから呼ばれた。


「あ、すぐに行きます! あ、これ俺の連絡先ね!」

「あっ⋯⋯」


 呼ばれてすぐに戻った俺は、三神さんから詳しい話を聞く。


「黄河さん、査定結果の方なんですが⋯⋯」


 嫌だ。嫌な予感しかしない顔を三神さんがしているぞ。


「ちょっと上の方に来ていただけますか?」


 ですよねー⋯⋯。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 手段を取らなくなってきてる×  まともな手順を踏まないから○
[気になる点] 主人公と三神さんはギルドの別室で話してたように思うのですが、何故にギルドの出入り口から出ようとしてる人が気付けるのか、そして別室まで入ってこれるんでしょう? また、何故に三神さんも招い…
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