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2023年1月21日 みよたみのりのこのはなだより

 この小説は、作者が「星空文庫」で執筆している『宗教上の理由』シリーズの世界設定を使ったスピンオフです。読みたい方は、星空文庫にて作品名または作者名「儀間ユミヒロ」で検索をお願いします。

 もちろん、この小説単体でも話がわかるようにしておりますので、安心してお読み下さい。

 山奥にあるという設定の、架空の小さな村、このはな村。この村にあるコミュニティFMを舞台に、DJのおしゃべりを文字でお送りする、ちょっと変わった形の小説です。

 架空のラジオ番組の文字起こしという体裁のため、文法や文中記号の使い方が本来のルールとあえて異なった形になっている点をご了承願います。原則として地の文はメインパーソナリティのおしゃべり、カギカッコ内は他の登場人物のおしゃべりです。

また、この小説は言うまでもなくフィクションです。

 ひっさびさー!

 あ、新年明けましておめでとうございます。


 みなさんこんにちは、みよたみのりです。今年初めての番組でーっす、って年が明けてからけっこう経ってますけど、改めて! 新春放談なんつーものをやってみようかと思いましてですね。いつものメンバーであるところの、松山さんごと伊佐リサ、そしてボク、みよたみのりが新年にあたって、世相を斬って斬って斬りまくろうという趣向でございます、ってえらそうなことを言ってるとだいたい口だけになっちゃうので、ほどほどにしておきまーす。

 それでは、コノハナサクヤヒメが守りし神の村、このはな村からお送りする、みよたみのりの、このはなだよりー。


 というわけで、新年の、みよたみのりのこのはなだよりはスタジオからお送りしています。

 スタジオの外の風景は、すっかり雪景色です。今年は例年より気温が高めのようですが、それでもしっかりパウダースノーがふわふわになって積もってます。

 さんごちゃんとリサちゃんは、沖縄からこのはな村に移り住んで、どうですか? 寒くない?

「寒くないかって言われりゃそりゃ寒いさ。あ、松山さんごちゃんでーっす。いー正月(しょうがち)でーびる! 今年もゆたさるくとぅうぬげーさびら! 日本語に訳すと、良い正月ですね。今年もよろしくお願いいたします、ってトコでーす!」

 はーい、で、寒いは寒いけど、なんだっけ?

「あっそうだ。寒いは寒いけど、アタシは二年目だし慣れてきてるよ。つーか雪が積もると、しにテンション上がるから、寒い寒いとか震えてるヒマなんてないもん」

 さんごちゃんは、まーそーだよねー。リサちゃんは? 

「私は、内地の冬は初めてだけど、それなりに覚悟してたから。それに年末、東京の親戚のところに遊びに行ったんだけど、東京の方がなんとなく寒い気がした」

「うそー? このはな村と東京だったら、東京のほうがあったかいに決まってるばー! 気温マイナスになんかならんでしょ?」

「うん、気温は高いと思うんだけど、雪が積もってないと足元から寒さが上がってくる感じがある。あと風が冷たい。んで、肌がどんどんカサカサになってくる」

湿度低いと寒く感じるってのはよく言うよねー。雪積もってるほうが湿度上がるから体感温度が上がるって。

「それだけ、からだの水分がもっていかれちゃって、体温が奪われるってことじゃないかな」

 そっかー。水が蒸発するときに寒くなるのと同じリクツなんだねー。


 「あっ、でもさー、寒いとこではちゃんとした防寒着を着るからあんまし寒くないってのもあるんじゃない?」

「うわー、さんごったら、身も蓋も無いこと言うー」

うーん、それもちょっとはあるかもねー。だって東京では子どもでもスキーウェアで通学とか近所に遊びに行くとかしないでしょ?

「うん、しない。私はダッフルコートと裏起毛のパンツとブーツでしっかり防寒してたけど、東京の子はスカートにスニーカーとかで、沖縄とそんな変わらない子どももいた」

 沖縄と同じ服装? それいくらなんでも寒くない? もしかして、冬でも半袖とか?

「みよた君、それは県民への偏見だねえ。沖縄県民はここから寒いという基準が違うから、冬は長袖のジャケットとかパーカーとかも着るわけさ。沖縄つっても冬はわりと気温下がるからさ。十五度より下がることもあるし、そしたらダウンジャケット着ることもあるし」

そうなの? そっか、そうなんだー。

「そう。そうすると、東京とぱっと見それほど変わらない服装になる。よく見ると中に重ね着してたりするんだけど、でも、もう少し厚着しても良くないかな? って思う人もいるね」


 「このはな村はその点、子どもはスキーウェアって決まってるみたいなもんだから、とても楽。あったかい」

初めてスキーウェア着た時ってどうだった?

「んーと、下に色々着てることは、自分で着てわかったけど、インナーとか、フリースとか、すごく身体にぴったりだから、最初はちょっと縛られてるみたいな感じだった」

そっかー。タイツとかって、なかなか普通ははかないもんね。

「え、タイツ? アタシはレギンスとデニムの半パンだけど。そしたらこのままウェア脱いでもへーきじゃない? アタシ、家の中だとすぐ脱いじゃうから」

さんごちゃんは薄着のほうが好きだもんねー。

「好きー。アタシだけかもしんないけど、ずっとわりと薄着で過ごしてきたから、肌を全部覆ったり、厚みとかのある服が疲れちゃうことがあってさ。もこもこのウェアってずっと着てると、疲れちゃうことあるよ」

「でも、思ったより動きやすかった。やっぱりそこはスポーツウェアだし」

「それは同意かな。動きやすいのはすっごく助かる。コートとかより、そういうとこは好き」


 ウェアの形はどう? ボクは引っ越してくる前から一応ウェア持ってたけど、そのままじゃ着られなかったな。ウエストが低くて、雪が入ってきちゃうの。

「言うねー、それ。雪がサラサラだから、スキーで転んだりするとウェアの中から入ってくる事あるよね。このはな村だとウエストが高いやつ? サロペットみたいのとかが人気だよね」

うんうん。でも最近ってわりとウエスト低いウェアが多いみたいで、昔のウェアに慣れた人は困るって言ってた。ボクも前から持ってたのはお直ししてウエスト足したもん。

「ワンピース、いやオールインワンだっけ? いいよね、リサの着てるやつ。上下一緒のつなぎになってて」

「あ、うん。でも温度調節が難しいことがあって。上下別なら上だけ脱げばいいけど、オールインワンは上脱いだら袖をお腹のところでしばることになるから。でもそれがよくほどけたりするし、暑いと思って上脱いだら寒すぎたりすることもあるし」

上はだけちゃったら、雪が入ってくるとか関係ないもんねー。

「うん。でも、暑くなったりしない限りは、これとっても便利。着るのが簡単だし、あと腰のあたりが冷えないのがいいな」

冷えないのと、あとお姉ちゃんが言ってたけど、守られてる感じがするんだってさ。

 「守られてるって、どういうこと?」

んーとね、お腹から腰のあたりが布でくるまれてると、なんか安心感があるって、お姉ちゃんのお友達が言ってたみたい。で、言われてみれば、お腹とかって冷やすと良くないから、腹巻きとかするじゃない? 弱いところを守ってくれてる感じがいいのかな、って。

「そう言われると、なんかわかる。つまり、お腹や腰が冷えないよう守ってくれてるってことなんだ」


 ボクたち子どもの服装って、ほかにも特徴あるよね、このはな村って。

「あるあるー。雪用スパッツもそうだよね?」

うん。雪が降るたくさん降るところの子どもはスキーウェアが普段着なこと多いし、スパッツも付けてる子が多いみたいだけど、このはな村は特に着用率高いんじゃないかな。

「だと思うー。だってパンツとブーツの間に雪入ると冷たいしー」

だねー。やっぱ、雪の質が関係してるんだねー。

 「うん、それに、このはな村の人って雪かきほとんどしないから、すぐに足が雪に埋もれるから、スパッツは必須だと思う」

それもあるよねー。すねのあたりまで埋もれるくらいの雪なら普通にほっとくもんね。この方がかえって滑らないってお父さんとかは言うけど。

「そうだよ。雪ってスコップでよけても少し残るし、それが凍った方がかえって滑るもん。ふかふかのところに足跡つけて、その上を歩くほうが滑りにくいと思うよ?」

「さんご。おおかた合ってるけど、あれは要注意。新雪を踏みしめたら底のアイスバーンまで踏み抜いちゃってツルン。油断してるとこ突かれるから、かなりびっくりする」

「え、そんなことある? でもそれって気をつけたら分かるんじゃ? 一度それで滑ったら、その日はそれに用心しながら歩けばいいんだし」

さんごちゃんさんごちゃん、言うほど簡単じゃないよ。一度滑るとクセになって、少し気が抜けたときにまたツルンと行くから。

「え? みーちゃんも? つまり、二人とも」


 「経験者」

経験者。


 みよたみのりのこのはなだより。今日は新春ガールズトークらしく、このはな冬のキッズファッションの紹介でしたー。って急に思いついたテーマ、なんかしっくりくるかも〜。

 まだまだボクたちの冬服の特徴はいっぱいあります。ゴーグルとフェイスマスクと、帽子かヘルメットは必須アイテムって話とか。寒さよけとかもあるんですけど、晴れたら今度は紫外線が強いから、特に目は守らなきゃってことなんですよねー。ギラギラの乱反射、ほんっとにまぶしいですから。

 ですが、そろそろお時間です。それでは、みよたみのりのこのはなだより、また次回で〜す!


 

 


 








 

 ようやく連載再開しました。

 ラジオ番組を文字に書き起こした体の小説というのは、書きやすいといえば書きやすいんです。おしゃべりしてる感覚で書けますから。

 ただ、やってるうちだんだん話が込み入って来てしまって、かえってラジオ番組っぽさを出すという縛りができちゃった感じです。


 今回はそのへんを割り切って、ガールズトーク回にしてみました。

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