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みよたみのりのこのはなだより 2022年2月26日

 この小説は、作者が「星空文庫」で執筆している『宗教上の理由』シリーズの世界設定を使ったスピンオフです。上記小説を読みたいという方は、星空文庫にて作品名または作者名「儀間ユミヒロ」で検索をお願いします。

 もちろん、この小説単体でも話がわかるようにしておりますので、安心してお読み下さい。

 山奥にあるという設定の、架空の小さな村。このはな村は火の神、木花咲耶姫の伝説に基づく穏やかな村。この村にあるコミュニティFMを舞台に、小学生DJのおしゃべりを文字でお送りする、ちょっと変わった形の小説です。

(この小説は言うまでもなくフィクションです)

 こんにちは。みよたみのりです。

 今日もボクの住んでいる村、このはな村の情報をお送りします。そして、今回から、この番組もネット配信が始まりましたー! ぱちぱちぱちー! でもなんか、全国でボクの声が聴かれちゃうって、なんかドキドキです。えっ、世界中? うわーキンチョーするー。

 というわけで、このはなFMから全世界にお送りする、みよたみのりのこのはな村だよりー!


 コノハヤサクヤヒメに守られし神の村、このはな村からお送りします、みよたみのりのこのはなだより。まずは、村からのお知らせです。

 木花村では、無料PCR検査を引き続き実施中です。対象となるのは、村内に在住・在学・在勤・および一定期間滞在するすべての方、また業務・見学等の目的で村内にお越しのすべての方が対象となります。

 実施会場は木花村役場駐車場などの四ヶ所。検査の結果は同日中に判明し、陰性の場合、証明書も即日発行可能です。また待ち時間が発生する場合には整理券を発行し、その順に検査を行うことがありますので御了承ください。

 なお、陽性反応が出た場合、その濃厚接触者と判断される方を含め、速やかに村内の指定宿泊施設に待機していただいたのち、保健所等との連携により入院等の措置をとります。なお、希望および症状により村内指定宿泊施設での待機を継続することもできます。指定宿泊施設には看護師が常駐し、医師による毎日の往診や、容体に変化があった際の迅速な対応が可能となっています。

 以上、村からのお知らせでした。


 BGM二ばん、あ、声はいっちゃった。

 みよたみのりのこのはなだよりー。ひとりごとが入っちゃって失礼しましたー。初めてお聴きの方に説明すると、このはなFMはBGMとか全部話しながら自分で入れる、ワンパーソンコントロールスタイルでお送りしていますので、時々こういうこともあります。ご了承お願いしまーす。

 さて、近況トークでーす。あのー、村のお知らせにありましたPCR検査、皆さん遠慮なく受けて下さいね。検査キットは充分用意してあるそうですよ。薬局とかで売ってるやつがまだ余ってるみたいでそれを買い集めたし、あとは検査キットを作ってる工場に直接注文してるみたいですよ。なんかお金出せばどうとでもなるってことらしいですよー、って、あっ、これ言っちゃダメ? うん、うんうん、はい。

 えーっと、このはな村には、大学とか会社の研修所とか保養所とかがたくさんあるんですけど、医療関係の会社もあって、その中にPCR検査のキットを作ってる会社があるんです。それでそこの社長さんが、工場を夜も動かせば、キットをもっと作れる。でも夜に働いてくれるほどの人はいない、というお話だったので、えーっと、村のほうで人を集めて派遣するってことになったそうです。それで今、大学は春休みだからいっぱいパートタイムワークを希望する人がいて、それでずっと検査のキット作ってるんです。検査キットが足りなかったら作っちゃえ、って、発想がすごいですよね。

 おかげで、検査はいつでも受けられます。ボクも学校行くと、村の幼稚園も保育園も小中学校も全部そうなんですけど、プール式検査とかいうのをやってます。最初、えーこんな寒いのにプール? って言っちゃったんですけど、そうじゃないんだって先生にツッコマれました。あはは。

 プール式というのは、んーと、教室の入り口に箱があって、そこんとこで鼻の中に綿棒を自分で突っ込むか、つばを試験菅に入れるかして、それを学年とかでまとめて検査するんです。いっぺんに済むので簡単だし、学科の日は毎日やってますよ。

 学科とかではみんな陰性ですけど、これを会社でもやってるところ多くって、一度ある会社で陽性が見つかって、そこに通う人たち全員を一人ずつ検査したら他の町から通ってる人が陽性だったみたいです。症状は出なくて、今は元気だそうです。でも、このはな村に住んでいる人の陽性者はゼロの記録更新中でーす。すごい!

 学校ある日は毎日やりますけど、その代わり、検温しなくていいから楽です。

 あ、いやーあ! もう! あっごめんなさいごめんなさい、えっと今、このはなFMのサテライトスタジオからお送りしているんですが、ガラス張りで外が丸見えなんですよ。だから、そこにお友達が笑わせにきて、や、やめてってばぁー。じゃなくて、し、失礼しましたっ!

 えーっと、こないだはバレンタインデーでしたね。ボクもチョコレート作ろうって思ってたんですけど、ないよー、このはな村にそういう習慣はー、ってお友達に言われました。ボクは、このはな村に引っ越してきたのが最近だから、これまで住んでたとこと違うものがいっぱいあって、びっくりしました。そこで今日は、初めてこの放送を聴く方もいるので、このはな村の紹介をしようと思います。


 このはな村は、もともとは、とっても小さな村でした。ところが、明治時代になって外国からたくさんの人が日本にやってきました。

 外国の人たちにとって、日本の夏はとっても暑かったようです。そこで夏休みになると、涼しいところの別荘ですごすようになりました。このはな村も夏はとっても涼しいので、外国の人たちが別荘を建てるようになったのです。

 なかにはそのまま、この村に住み始める人もいました。そして、その人たちが伝えてくれた外国の習慣が今も村には残っています。

 バレンタインデーもそのうちの一つです。女の子が男の子にチョコを贈るのは日本で生まれた習慣なので、ボクたちの村では女子とか男子とか関係なく、お花とかカードとかお手紙とかを送ります。

 あと、ホワイトデーはやりません。バレンタインデーは、昔、ウァレヌンティウスさんという神父さんがいて、その頃は兵隊さんは結婚することが禁止されてて、でもその神父さんは逆らって結婚式をしていたので罰せられました。だからその日を人々が愛を確かめ合う日になったそうです。かっこ、諸説あります。あわわ、間違えた、台本そのまま読んじゃいました、カッコは読まなくていいんですよね。ごめんなさい。

 で、ホワイトデーはそういう教会とかの行事じゃないので、このはな村ではやりません。プレゼントもお返しも、バレンタインデーで全部終わりです。


 そろそろ時間ですね。ボクにバレンタインの贈り物してくれた皆さま、ありがとうございます! それではまたお会いしましょう。おしゃべりは、みよたみのりでした。それでは、さようなら〜。


 ふえ〜〜〜、つかれたぁ〜。え? 楽しいけど、キンチョーするのは変わらな、あ、カフ上がったままだっ

 小説書きで色々と迷走している昨今のワタクシ。困ったときには、前に書いた小説の中身を流用しちゃえ、ということで、以前に書いた小説の舞台、木花村を舞台にしようと思いつきました。

 架空のラジオのオンエアを書き起こしたような形にしたのは、あえて奇をてらおうとしたのもありますが、この書き方が単に一番書きやすいからというのもあります。たぶん同じやり方の小説は幾らでもあるでしょうから。

 『宗教上の理由』もそうですが、世相を小説に反映させるスタイルは相変わらずです。極力こまめに更新していきますので、また見かけた際にはなにとぞよしなに。

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