神様に選ばれたらしい
「ん........。はっ!」
...........ここどこだ?さっきまで俺は自分の部屋にいたはずだけど。
微かに土の独特な匂いがする。
【おはようございます、マスター。」
「ひゃっ!?」
びっくりした!誰だ?
声の主を探そうと周りを見渡したが人1人いない。
「.....ドアがない。」
土でできているのか、部屋全体が茶色い。
監禁か?いや、俺みたいなやつを誘拐したってなんの特にもならない。
「一体なんなんだ.....。というか。」
俺は部屋の中央にある宙に浮いている球体を見た。
「これ、DBOのダンジョンコアにめっちゃ似てるな.....。」
【ダンジョンコアですので。】
「うおっ!」
喋った.....。なんだこれ.......最新のロボットか?
「本当にダンジョンコアなのか?」
【はい、マスター。】
いやいやいや、ゲームじゃあるまいし.......。
「そういえばさっきからなんで俺のことマスターって呼んでるんだ?」
【............聞いてないんですか?】
へ?
「いや聞くも何も、気がついたらここにいたんだけど.......。」
【........はあ。管理者様はほんとにもう......。】
さっきから何を言ってるんだ?
「まあ細かいことを気にしてもしょうがないか。」
【マスターって適応能力高いですね....。私が代わりに説明しましょう。】
「ありがと。」
情報がないと何も始まらないからな。分からないことばかりだ。
【まずは基本的なことから説明しましょう。この世界には神というものが存在します。】
いきなり胡散臭いな.....。俺そういうの信じない派の人間だったからな〜。
【地球にも神々は存在しており、人類を見守っていました。しかし人類は、森林を壊し、動物を殺し、挙げ句の果てには互いに殺し合いを始めました。】
う〜む。改めて聞くと人間ヤバいな。
【神々は今までそれを見過ごしてきましたが、遂に行動を起こしました。】
まあ流石に黙って見てるわけにはいかなくなったんだろうな。でもそれが今の俺の状況とどんな関係があるんだ?
【神々は地球への直接的な干渉は禁じられているので、関節的な干渉を考えました。】
ふむふむ。
【それが、『悪者殺し合わせよう大作戦』。】
.......神様ってネーミングセンスないんだな。
【かと言ってコロシアムのようなものをつくり殺し合わせるわけではありません。】
「え、ちがうの?」
完全にローマのコロッセオ思い浮かべてたんだけど。
【ダンジョンマスター陣営と冒険者陣営に分かれて行う、ゲームです。】
「ゲーム.....。」
人に殺し合いさせるのもただのゲームか。流石だな、神様。
【実際に異世界ではすでにその仕組みを行なっており、その効果は実証されていました。しかし地球の人類は強力な文明を築いており、いきなり地球全体での実践は危険と判断されました。】
「......え、異世界?」
さらっと言ったけど異世界ってあったんだ....。
【そこで一つの国に絞り、計画を実行することにしたのです。】
無視された......。
「その国って?」
【日本です。】
「やっぱりぃぃ.....。」
状況から考えてそうだと思った!
「なんで日本が選ばれたんだよ!」
国なんていっぱいあるだろ!ローマにしとけよ!
【マスターがいたからですよ。】
「は?」
俺がいたから?
【ダンジョンマスター陣営と冒険者陣営のバランスなどは神々の予想、言い換えれば直感で決められました。なのでバランスが崩れ、計画が成り立たなくなってしまう可能性があります。】
直感って......。全知全能じゃねえのかよ神様。
【しかし神々は人類への直接な手出しはできません。そこで神々の代わりにパワーバランスを調整する人間が必要となりました。それがマスターです。】
ふむふむ。
「はあっ!?」
なんで俺なんだよ!もっと適任いるだろ!こんな引きこもりゲーマーなんかじゃなくてさぁっ!
【神々は適任者を見つけるべく、実際に計画を実行したときのシミュレーションゲームをつくり、地球でそれを販売しました。】
「もしかしてそれって...。」
【DBOです。】
あぁ。なんとなく分かってきたわ.....。
【神々は世界ランクというものをゲームに取り入れ、期限の日に1位だった人間を選ぶことにしました。そして見事選ばれたのがマスター、月代楓様です。】
最悪だ.....。
「で、俺は何をすれば良いの?」
【切り替え早いですね。】
まあそれだけが取り柄ですから。
【マスターはいわゆる、調停人です。】
調停人?
【言い換えるならばバランサーでしょうか。】
あ、それならわかりやすいかも。
【ダンジョンマスター陣営が優勢ならダンジョンバトルを行い勢いを止めさせ、冒険者陣営が優勢なら攻撃を仕掛け勢いを止めていただきます。】
「へ〜。結構楽しそうだな。」
【楽しそう.....ですか。かなり難しいと思いますが。】
まあちょうど退屈してたからな。こんな楽しそうなことができるなんて運がいいと思うことにしよう。
「ダンジョンの機能とかはDBOと同じって考えていいのか?」
【はい。もともとDBOはこの計画に合わせて作成されたので、大体は同じです。】
いいね。DBOが元ってことは俺が考えた最強ダンジョンも作れるってことだろ。最高じゃん。
「役割は調停人だけどダンジョンマスターとして動くってことでいいんだよな?」
【はい。その認識で合っています。】
よっしゃ。冒険者よりダンジョンマスターの方が面白いんだよな。
「期限は?」
【残り30日です。】
初期ダンジョンをつくるには十分な期間だな。
「まあ初期ダンジョンで満足するつもりないけど。」
【はい?】
最高効率で一から最強ダンジョン創り出してやる。
「世界ランク一位舐めんなよ。」
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