表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1話 腹式呼吸がわからない

   

「歌うときは腹式呼吸だよ! お腹から声を出すんだよ!」

 大学に入って合唱サークルに入った僕は、先輩のこの言葉に、まず困惑した。

 お腹から声を出すとは、どういう意味だろうか。

 声というものは、口から出るのではないだろうか。

 巨大変身ヒーローの特撮番組に出てくる怪獣ではあるまいし、僕の口はお腹にはついていないのだが……。


 そもそも腹式呼吸という言葉からして、よくわからない。

 まあ『()式』と言うくらいだから、やはりお腹が重要なのだろう。

 横隔膜を動かしてどうのこうの、という話も聞いたが、そもそも横隔膜というものは、意図的に動かせるものなのだろうか。


 令和の現在では、例えばウィキペディアにも書かれているように、「横隔膜は随意筋である」と定義されているらしい。

 定義上の概念だけでなく、最近の僕は、しゃっくりが出た時にそれを実感している。「しゃっくりは横隔膜の痙攣だから」という理屈で、横隔膜を意識的に押さえつけることにより、しゃっくりを止めているのだ。それこそ、合唱活動をやっていた頃に学んだ『腹式呼吸』の賜物だろう。

 しかし、この物語は、平成の初期の話だ。当時の僕は「横隔膜は不随意筋」と思い込んでおり、腹式呼吸という言葉も、お腹から声を出すという概念も、理解し難いものでしかなかった。

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ