死骸探し
本から出てきた方の“私”の回想シーンです。
「えーと、なんやっけ…あっ、まずはなんか鳥になるんやったな」
私は青い本を胸に抱えて森の中をただひたすらまっすぐ歩いていく。
この本には現実世界で覚醒している“私”のスライムとしての体が入っている。
と言っても、本の間にグチャッと挟まっている訳じゃない。
本のあるページに空間魔法の魔法陣が描かれていて、そこから(仮)神様の用意した空間に繋がっているのだ。そこに安置されている。
で、“私”が倒れる前に私たちが話し合ったことを本のメモページにまとめておいた。
・人に擬態している以上、この世界の人との接触の可能性あり
→名前を決める
→アリム(先に異世界に来た方)
オリム(本から出た方)
・今後の活動はどちらにせよ隠密能力が必要
→擬態の能力を活かし小動物への擬態を可能にしたい
→自力での擬態は厳しい
→ゴーストスライムとしての特性で小動物の死骸を使う
→死骸の捜索が必要
・生きていく以上、拠点が必要
→拠点の条件 …川、湖、池、わき水のあるところ、もしくは湿度の高い所
そこまで決めたら日が傾いてきたので、取り敢えず後ろの森を探索しようとして、アリムがいってしまったんだが…
「あれ?」
そうこう歩いているうちに森が開けた場所に出たみたいだ。そして川幅2メートル程の小川が流れている。
探していた拠点としてはまあまあ良い土地だが、
「えっ…死んでる…?」
川の横には小さな小鳥と赤毛の女の人が倒れていて、周りの小石は真っ赤に染まっていた。