プロローグ
オリジナル投稿始めてみました。
マイペースにいってみよう。
薄暗い店の入口から当たる光に埃が舞っている。おれの周りには何種類かの本が積み上がって一部の埃の終着点となっていた。
ここはソルダン王国の地方都市ガイナ。その魔導書を売っている店だ。
この世界では魔導の才能がある人間はうちのような店で才能に見合う魔導の書物を購入して己の扱う魔導の種類を増やしていく。だけどうちの店に置いてある魔導書のランクは下から数えた方が早く種類も少ない。
そもそもこの町は王都からわりと近い位置にあって町を行き交う旅人は大抵王都で同じ魔導書を購入しているものだ。よって本日も客の入りは良くない。
ぼおっとカウンターに肘をついて店の外を眺めていると近所の道具屋のおばちゃんが駆け込んできた。
「ケント聞いたかい?また魔族退治に徒党が組まれたって。ついこの間も勇者召喚とか騒いでいたじゃないか。物騒だねぇ」
手作りの焼き菓子を手土産に道具屋のおばちゃんはよくおれの所にダベりにくる。ご近所情報から商業ギルド情報までおばちゃんネットワークは侮れないのだ。
「確かにここ数ヶ月、外の様子が変だね。おばちゃんとこも物価上がってるんじゃないの?」
カウンター前に置いてあるほぼおばちゃん専用の椅子におばちゃんが腰掛けている間におれもお茶をカウンターに提供する。
うちの店は素通りだけど最近やたらと兵士やら冒険者やらを見かける。逆に商人のキャラバンを見掛けなくなり外国商品の市が建つことがなくなった。
「うちはまだ大丈夫だけど武器屋や防具屋が補充が滞ってきたって。王都に優先して回すからって商業ギルドの連中の血圧が上がりっぱなしだよ」
「王様は一気に魔族と決着着ける気なのかな」
なんでも数ヶ月前に王家と枢機院で異世界召喚とやらを行ったらしい。一人でも多く究極魔導の使い手を増やす為に。たぶん。知らんけど。
「でもあたしらに魔族のとばっちりが来たら嫌だねぇ。あいつら見境ないんだろ?」
「魔族なんて見たことないから知らないよ。おばちゃん見たことあるんでしょ」
この店の主がまだ先代の頃、この町にも襲撃があったと先代から聞いた。こんな辺鄙な田舎にも魔族は容赦なかったらしい。
「あたしがまだ学校に上がるくらいの歳だったかねぇ。おっかない羽の生えた魔族がわんさか押し寄せてさ。この町を離れたのはあの時だけだったよ。西のライザルに避難してね。ここに帰ってきたら残ってたのは教会とこの店だけだった。あとはみんな焼き付くされて真っ黒けだ。そういや何でこの店無事だったんだい?」
「さあね」
知ってるけど言えない。この店の売り物は低ランクの魔導書だけど扱ってるのはこの世界唯一無二の魔導書もあるのだ。
先代のじーさん曰く。先の魔族襲来はその魔導書目当てだったらしい。
……ということはおれもマズイ感じ?
次は主人公説明できたらいいな