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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
一章 閉じ込められたのダンション
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期待はいつでも高いもの



 目覚めた三日目。昨日の疲れからそれなりに眠っていたようで、どこかすっきりしたいる。


 水で顔を洗い立ち上がると、体を解すように動かす。昨日怪我したところも違和感はない。


 そろそろ飽きてきた干し肉を食べきり、皮鎧を着て今空いた袋とポーションを入れた袋を腰に括り、カーディガンを持てば準備はできた。




 一人って暇だな。会話することできないし、そのうち独り言とか増えるのかな。


 やることないからダンジョン進むしかないし、狩りをして食べ物も干し肉とか、どんだけ原始的?


 そんなことを考えてると出てきたスライム。あたしが慣れたタイミングで蹴り上げると、前までよりも壁に大きく広がり地面に魔石を落とした。


 レベルが上がり、攻撃力が上がったってことなのかな。数値が出ているわけじゃないから、今のところ実感はないのだけど。

 ただ次に出てきた鼠で違和感がわかる。鼠の動きが前よりも遅く感じ、カーディガンで捕まえるのが少し簡単になった。


 中で藻掻く抵抗も前ほど強く感じない。これなら二匹でもなんとかなるかな。

 空いている袋に鼠を入れれば、カーディガンもすぐに広げられるし、今日は行けてないとこまで行きたい。



 T字路を左へ進めばスライムが二匹、慌てることなく倒して宝箱のあった部屋を確認しに行く。


 中を窺っても何もない。宝箱すらなくなってる。地図を見てもこの先はまだ行っていないから空白だ。

 この場所で間違いないはずなのになくなっている。


 あたしは首を傾げて、ダンジョンの不思議と思うしかないんだろうな、と納得しておくことにした。



 今日はかなり順調だ。時間を確認してもまだ朝を過ぎたころ。このまま地図をうめて行こう。警戒は忘れずに。


 多少の無理はしても無茶は厳禁、命大事にが合言葉。

 何があっても家に帰る。それがあたしの一番の目標。

 そのために今はただ、ダンジョンに潜り続ける。



 気合を入れて進み続ける。何度かスライムや鼠が出てきたが難なく倒せた。

 二匹ずつ出てくることもあれば、たまにスライムと鼠のセットもあったりと、進むほど一匹で出ることは少なくなる。


 途中数か所に小部屋があったが、中は何もなくがらんとしているだけ。干し肉持ってきたら休憩には丁度いい場所かもしれない。


 すでに腰の袋はいっぱいだ。カーディガンも伸び切って開いたところから、鼠が見えてしまうのを見ないようにしている。

 そろそろお昼だし、右手に見える小部屋を確認したら戻ろうと足を進め、壁から窺うように覗き込む。


 やった、宝箱がある。


 中央に見えた宝箱、地図が大当たりだったため期待してしまう。



 宝箱の開け方は前回と同じ、ちょっと重量が増えたカーディガンを当てると勢いよく箱が開いた。


 どきどきしながら箱を覗き込む。ちょこんと置かれた小さな黒いバックがそこにはあった。


 いや、助かるけどさ。必要だけどさ。

 勝手に期待してたぶん落胆も大きい。


 あたしはそれを取り出し確認する。いわゆるウエストポーチと言うものだ。

 メインとなる後ろ側と、それよりも二回りほど小さなポッケが前についている。どちらもチャック式だ。


 大きいほうならポーションも入りそうだし、入れ替えてしまおうか。このままではカーディガンも使いづらいし。



 あたしは通路への入り口が見えるように座ると、チャックを開け中を見る。中も黒だからわかりにくいけど、なんか違和感がする。


 試しに魔石を一つ取り出して落とすように入れてみた。重力に逆らうことなくそれは落ちると、チャックを超えた辺りで消えたように思える。


「えっ?」


 自然と声が出た。驚きで一瞬止まったけど、すぐにウエストポーチを逆さにし振ってみる。落ちても来ないし音もしない。

 どうゆうこと? なにこれ神隠し? 消えた魔石はどこ行ったのか焦る。

 あたしは恐る恐る、ウエストポーチに指を入れ、その瞬間気づいた。


 これ、マジックバックってやつですわ。


 指がチャックを超えると、すぐに頭の中で魔石があることがわかる。あたしがそれを取り出すと意識すれば、指に当たる魔石の感覚。


 マジですか、落胆なんかしてごめんなさい。誰に誤ってるのかわからないけど、これすごいものだ。そんな当たり前の感想しか出てこない。



 どうしよう、ポーションじゃなくて鼠を入れるべき? でも真っ新に見えるこれに入れるのは躊躇いがある。

 でも持ち歩くのも限界はあるし、カーディガンも使いづらい。それにポイントを考えれば、鼠を置いていくのは考えたくない。


 でもでもと暫く考えて、最後はあっさりと実利を取ることにする。魔石と袋の鼠を移すとき、躊躇いがあったけど勢いで入れた。

 新品を汚すのに罪悪感を感じるタイプです。できれば綺麗に使いたいけど、ダンジョンじゃそれも難しい。


 全部で五匹の鼠と六個の魔石。見た目には入りそうもないのに、全部しっかり入った。

 容量はわからないけどかなり使えそう。ただ前側のポッケは普通のポッケで、見た目通りの容量だ。

 それでも十分有難いけど。


 入れ替えも終わって腰回りがすっきりした。ポーションが入った袋とあまり重さを感じないポーチ。空の袋はポーチに入れておいた。



 そのあと予定通りいったん戻る。動きやすくなったためか、思ってた以上に早く戻ることができた。

 途中復活していたのも倒して、鼠八匹と魔石七個。残ってたポイントも全部合わせて880ポイント。


 え? やばくない?

 あんまり考えないようにしてたけど、めっちゃ倒してる。まだお昼なのに十五匹も倒してるよ?

 これは干し肉から卒業できちゃう? 卒業しちゃう?


 干し肉に飽きすぎて、変なテンションになる。うきうきとステータス画面から購入画面へ進むと、新たに一つ項目が増えていた。驚きから少し冷静になれてよかった。


 念のためステータス画面を確認してもレベルは2のまま、鐘も鳴っていなかったし理由が浮かばない。

 わからないことは。ダンジョン七不思議で片付けて、とりあえず新たな項目を確認することにした。



 『施設』と書かれたそれ。開いてみても項目数は一つしかないうえにポイントはかなり高い。

 でも絶対に欲しい、無理してでも欲しい。



『個人ルーム                 800ポイント

 ワンルーム六畳、トイレ付ユニットバスとミニキッチン付き

                      追加拡張可能』



 ポイント残高が条件だったのか、持っているポイントがほぼ消えてしまう。それでも悩むのは、何よりユニットバスの文字。

 それに食材が手に入っても、火を熾せるようなものはないから料理のしようもない、ミニでもキッチンは有難い。



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