表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
二十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

611/630

ダンジョンクリエイト



「なあ、俺にダンジョン作れると思うか?」


 その言葉はあたしが書き終わり、伸びをした瞬間を狙ったように言われた。


「お兄ちゃんにって、一からってこと?」

「ああ、なんや聞いた話あの種、俺らにも魔力馴染ませることできそうなんやろ? それが無理でもお前の血ではなく俺の血と俺の魔力、それでダンジョンができる可能性は?」


 考えてもいなかった。が、それでも頭はすぐに考え顔が歪む。それだけで察する兄が嫌だ。


「やってやれんことはなさそうやな」

「ただ可能性であって不発もあたしよりあると思う。それに血も魔力の量も必要になる可能性が」

「そこは魔素が多そうな場所とか選んでみたらどうなるかわからんやろ? 最悪俺らのダンジョン増やすことが人類の為になる可能性もある。その時に作れる奴が多いほうがいい」


 あたしが作ったときでさえ、お姉の顔が泣きそうにるほどには血が必要になった。それは繋がりであり供物であり命を吹き込み為に必要なことだ。


 自分がしてしまっているからこそ、止めるための言葉が浮かばずに手を握る。


「それに血はちょこちょこ抜いてストックしとる。それ使えたら、そんなわざわざ切らんでもいけるやろ」

「マッドサイエンティストか!?」


 心配がぶっ飛ぶようなお兄ちゃんの発言に、あたしの感情は一気に持ってかれた。


「何しとん!?」

「インク用なんかもあったし、なんやかんや血はよく使う。媒体として便利やろ。それ考えたらちょこちょこ貯めてるほうがいいやろ? お前もしとけ」

「いや、おかしい。そんな発想、普通する?」

「ざっくり腕と切って、血をぼたぼた流すお前もどうかと思うで?」


 そう言葉にされれば確かに。と納得してしまったあたしのけ《・》なんだけれども。なんだか釈然としない。とりあえずどこから突っ込めばいいのか追い付かない。


「拓斗や智も作れたりするんやろか?」

「魔力問題もあるわ」

「魔力の貯める方法はないからな。ポーション飲んで、ひたすら回復させながらは辛いからな」


 さすがに何させようとしてるんだ。と言いたいが、まだ衝撃の大きさに言葉が上手くまとまりませんことよ。

 家の兄、いつからこんなのでしたっけ? 最初からだったわ。


「それに聖魔の可能性が高い。その場合みんなには無理や」

「その問題があったかあ」


 なんとも残念そうに言わないで頂きたい。本気でやるつもりだったのか。


「ただいま戻りました」

「言われてたの持ってきましたよ」

「とりあえず本はあるだけと、使えそうな迷宮系や迷路の奴、それに罠なんかも資料室から持ってきました」


 本当にできる奴らだな。


 その三人がどこか疲れ切ったあたしを見て、不思議そうにしているのを秀嗣さんが苦笑して見ていた。




「んじゃ、とりあえず十階まではこんな感じでどうや?」

「三階までは比較的簡単で緩く、四階からは採取物を増えるようにできたらしながらも、本当に徐々にですが魔物を少しだけ強くします」

「五階はそれに宝箱を奥に行くほど増やして、六階以降はもうちょい宝箱増やしながら大当たり一割、当り三割、そこそこ使えるハズレ六割。この割合は様子見ながら変更」


 ダンジョンの設計図を広げながら、十階までの様子を見て説明を聞く。

 早い話がどんどんと奥に人が行きたくなるような、誘い込む形のダンジョンだ。


「五階のボスは迷い中やが、そこまで強くなくていいやろ」

「そうですね。ただ現状三十階まで作るべきだと思うんですよね」

「二十階以下は魔物の強さを弱いの強いのをランダム的に徘徊型にして、二十五以降は罠とか作れたら面白いんですけどね」


 楽しそうに語る三人は、本当にゲームか何かの話をしているような気がしてくるから不思議でならない。


 ダンジョン自体は、オーソドックスな迷宮型の小部屋と広間と通路の作りで、十五階までは小部屋は扉もない。

 ポイントになるのは、十五階以下は扉もついた小部屋が出て来ることだろう。今のところそんなダンジョンは聞いたことも見たことも御座いません。罠だってないはずだ。


 それに六階までは基本直線のわかりやすい道が続き、曲線の道はない。マッピングもしやすいし、そこまで道も複雑ではなく、ちゃんとマッピングできていれば帰ることも難しくはないだろう。


 それが六階以降から本当に徐々に難易度が上がり、十階近くなれば気付かない曲線の道もかなり増え、気が付けばかなり複雑な造りになっている。

 ただ出て来るものも良い物が多いから、探索者達も進むべきか悩む鬼畜仕様。


「宝箱から魔法の地図は出す気やし、そこまで鬼ちゃうやろ?」

「あれ、在庫ないから運と言うか、ほぼ今のところ不可能やん」

「ここのダンジョンが栄えたらどうにでもなるわ。最悪、魔晶石で売ってなかったか?」


 凄い切り返しをされたが、三人の中ではほぼ決まってるようだ。


「それで、とりあえず何階まで作るんよ?」

「三十三階ぐらいにダミー部屋作って、四十階までバレたとき用の裏面。四十一階にマスター室ってできるか?」

「鬼か? 種使えばできんこともないけど、結構必要やで?」

「安全には変えられん。裏面は基本気付かれんの前提やし、もし気付いても裏面に行かんでも実入りはいいダンジョンになる。欲に目が眩むか、腕試しか。どっちにしろある程度入ってもらわんことには意味がないからな」


 その結果、命を落とす人がいることが前提で。とは誰も言わない。

 そしてその裏面はあたしの安全のための物で、上階が嘘に思えるほどの魔物が出るんだろう。


 今更そこに何か言う気も、水を差す気もあたしにもない。理解はしてる。


 飲み込めないし納得もまだできていないけど、星がなければ大切な人達も生きてはいけないなら、天秤の傾きを受け止めなくてはいけない。


「とりあえず十階まではこの地図でいいの? それなら作っちゃうけど?」

「とりあえずそれでどんだけエネルギー使うか確認してみてくれ。そっから十階以降も考えて魔物の配置もやな」

「了解。ならさっさとやっちゃいましょか」


 そう言ってさっさとテントを出て、あたしのダンジョンの核の所まで行く。核と言うのか魔晶石と言うのか、何と呼べばいいんだろうか?


 みんなもついてきたからスクリーンに映しながら作業をし始める。いくつか注文を聞きながら仕上げた後、お兄ちゃんにやってもらって、最後に許可出せばよかった、と思いついてなんだか疲れ果てた。


 後ろでああでもない、こうでもない、と言われながらの作業って結構しんどいんですよ。


 そして今はマスター室は四十一階に変わり、各階層の階段は他のダンジョンと同じく、五階毎に踊り場の左右に転移陣があるようになっている。


 各階層の中身ができているのは十階までで、後は階段と通路しかないけど。


「先に十階まで魔物配備?」

「せやな、あと少ないとは言え宝箱もやな」

「少ない言うても他よりは少しはいい物出るやろうし」

「割合は階下より悪くしますが、作った人達が人たちなんで。それに素材を入れるの有りですよね」

「確かに売ればお金になるしねえ」

「一階から五階は魔物はテリトリー型な、徘徊は五階以降やな」

「それだけ聞いてると、かなり緩いダンジョンやねんけどな」


 少し嫌そうに言ってしまうのは、それでは意味がないがそれを指摘したくないからだ。


「上階に人が溜まらんように情報操作はするし、なんなら宝箱の確率を変えればいい。そこは暫く手を入れるしかないやろ」

「私も拓斗も権限いくつか使えるようですし、姫様には確認だけお願いします」


 全てを任せきるのも嫌だけど、あたしには考えるだけの脳はないから任せるしかない部分も多い。

 溜息を飲み込んで、苦い鉛を飲み込むような気持ちで笑う。


 小を取るのか、全を取るのか。


 それで言うならあたしは家族を取った。その時点で答えは出てしまっている。

 それはあたしだけじゃなくて、ここにいる家族みんななんだと思う。


 暇そうなくせして、文句も言わずどこにもいかないお姉も、これが命を奪うための物とわかっているからここにいて、その最後まで見続ける覚悟なんだろう。

 それがこの人の覚悟で決意で、決めた答えなんだろう。


「家のギルドは派遣せんときよ?」

「あほか、一軍行かせてええもん持って帰らせるわ」

「最初は内緒で入らせて、確認にもなりますからね」

「パーティーどう組ませます? 一軍でフルってのもおもろいですね」

「皐月さんの観察眼は優れものやからなあ」


 普通に楽しんでるように見えるのは、あたしだけなんでしょうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ