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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
十九章

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今後の予定



 その後も一軍や話したことのあるメンバー、戸上さんや城崎さんなんかがあたし達が居ると聞いて、わざわざ挨拶に来てくれたりして、広間は騒がしい賑わいになった。


 いくつかの興味深げな目はあったけど、嫌だと感じるほどではなく、他メンバーが上手く説明し、ギルドを回していることを感じることもできた。


 夕食も幸康さんは頑張ってくれて、本当にオムライスと角煮で、オムライスにはオニオングラタンスープがつくと言うからあたしはそれを選んだ。

 美味しくて幸せな時間を過ごさせて頂きました。



 数日は休みでこっちにいるし、家事を考えたら夕食はまたギルドハウスでもいいな、とベットに入る。


 明日も忙しい。少ないとは言え、お兄ちゃん達が使った食器などが台所に出しっぱなしだし、洗濯機は何回、回さないと駄目だろうか。


 それにできていなかった部分も今のうちに掃除して、在庫の確認もしなければ、と考えてるうちに静かにその日は眠ってしまった。




 次の日アラームで目が覚めて、まだぼーっとする頭のままベットの上で上体を起こし目を擦る。


 なんだか夢を見ていたはずなのに、その夢が全く思い出せなくて、寝たはずなのに寝た気になれない。ただなんだか酷く疲れてしまっている。


 最近こんなことが多くて嫌になる。それに夢の正体も見えなくて、本当にただの夢なのか、それとも何かあるのかと気になり始めてる自分がいるが、その答えはやっぱり出ない。


 小さな溜息を吐いて洗面台に行き顔を洗う。あまり情けない顔で行くと気づく人が多すぎる。


 鏡で確認して顔色は悪くないし、大丈夫だと居間に向かえばすでに秀嗣さんが起きていた。


「おはよ」

「おはよう、コーヒーでいいか」

「ありがと、お願いー」


 ついでだからと請け負ってくれる秀嗣さんに感謝しながら、ソファーに座り今日のやることを頭で整理していく。


「片付けなら手伝うぞ」

「そんな量ないし、大丈夫やで?」

「洗濯もあるんだろ?」

「それに在庫確認もやなあ、さすがに色々減ってるやろ?」

「いくつかはギルドの方からも、ポーションなど持って行ったとは言えな」


 ギルドの生産職も腕を上げ、良い物を作れるようになってきてる。それでも持続効果のある物は、ラージュの実がなければ作れないし、他にも様々な物が少なくなってるだろう。


「それに素材が未処理で溜まってそうやし」

「あー、解体してそのままとかか」


 解体してくれてるだけマシだろう。

 お兄ちゃんは物によったらしてくれるし、智さんは基本する。あたし達の場合は外でできるものならしちゃうけど、不器用なお姉とのり君組は、酷い時はマジックバックに入れたまま倉庫いきだ。


 鮮度も落ちないから安心と、満面の笑顔で言ったときはとりあえず殴っておいた。全く効きもしなかったけど。

 横でのり君が申し訳なさそうにしているからそれ以上は何も言えず、不器用だし素材を駄目にされるよりはと諦めた。


「解体と種類を分けるのは俺がやろう」

「秀嗣さん疲れてるやろ? 休んででいいで」

「絵里子は他もあるし、たぶん休みを延長して、ギルドハウスの拡張をする気みたいだぞ」


 それ今初めて聞きましたよ。実働のあたしが聞いてないってどうゆうことよ。


「それに数人を一軍に昇格させてほしいと言われてるらしい」

「そりゃ信也さん達、思い切ったね」

「今の人数だと足りないそうだ」


 すぐに納得して頷くしかできない。今ギルドの探索者と警備部門が何人か知らないけど、大人数なのは間違いない。

 それを全て纏め、指示を出し報告を聞くだけでも時間は足りないだろう。自分達もダンジョンに行くんだし。


 それに信也さん達だけじゃなく、裏方を纏め料理部門と商人部門を纏める皐月さんも、人数も増え幅も広がった紫藤さんも大変だろう。


 裏方は準メンバーが多く補佐を選び辛いけど、他は本人達次第で何とかなるはずだ。


「なら思ったより休みは延長になりそうやね」

「ギルドハウスの拡張中、メンバーをどうするかだろうな」


 そんな話をしていれば丁度良く智さんが起きてきた。


「お早う御座います」

「おはよー」

「おはよう、眠そうだな」

「書類関係なども貯まってましたので」


 眠そうな智さんに、何も言わずにコーヒーを淹れに行ってあげる秀嗣さんは優しさの塊だと思う。


「智さん、休み延長でギルド広げるってほんま?」

「そうなんです、一軍や補佐を増やしたいとも言われましたので、その試験としてダンジョン間引きに行かせ、その間に終わらせてしまおうかと」

「ああ、確かにタイミングとしては良いね」

「何度か私や宏は間引きの方に確認に行きますが、転移陣が近いところを選びますので、すぐ戻って来れますし」

「お姉もどうせ、すぐ暇なるから連れてったら?」


 拡張は別に時間がかかることではないし、その間に片付けや整理が進む。邪魔がなければ何よりも有難い。


 あたしの言葉の意味をすぐに理解しくすくすと笑う智さん。それでも何かあったとき用の保険として、お姉は丁度いいはずだ。


 宏に言っておきます。と言って微笑んでくれ、ぜひともお願いします。と言っておいた。


 その後は朝食を食べて、あたしは片付けを始める。秀嗣さんは手伝ってくれて、智さんは仕事が残っていると申し訳なさそうにギルドハウスに向かって行った。


 他の家族は気にもしてないし、智さんにしかできない仕事なんだから気にせずにしてほしい。



 その後は拓斗やのり君お姉と起きてきて、時間を空けて昼前にお兄ちゃんが起きてきた。



「おはよ、智さんから休み延長って聞いたんやけど」

「おはよーさん。ギルドハウス手狭やし、早めがいいやろ」

「まだ中身、決まってないんやろ?」

「地下を増やして生産と訓練室も増やして、広間も少し広げたいな」

「また図にして見せて。たぶんガーディアンの魔石いらんとは思うけど、そんな在庫もないやろ?」

「かなり減ってるな。氾濫原因の一番は火薬武器って広めてるし、もうそう出ることもないからな」


 各組合が力を入れてそれを拡散してくれたおかげで、新たな氾濫もガーディアンも出ていない。

 場にすることにかなり使ったし、世界から集めたとは言え在庫はもうほとんどない。


「最悪、星の魔晶石を使えるか試してみるかやな」

「んー、あの赤と白の謎植物の実は?」


 お兄ちゃんの顔が怪訝そうになった。


 あの実は結局まだ何も解明できていない。けどかなりの魔力を含んでいるし、聖魔の魔力と特殊な物だし、使えないだろうか?


 あれならかなり数ができているし、何なら庭に収穫前の物もまだできていってる。時間はかかるがあれなら自分で育てることもできるし、使い道がわかれば在庫も減って有難い。


「魔力が凄いのすぐわかるけど、未知数な物やからな。使えそうなんか?」

「たぶんとしか言いようないけど、浮かんだ直感を信じるなら」


 相変わらず適当な直感だけど、腐っても姫巫女の直感としてそう大きく間違ったことはないはず。たぶん今回も大丈夫だとは思うんだけど。


「それにしては不安そうな顔してるで」

「んー、自分でも何に引っ掛かってるんかわからんのよね。できるとは思うけど、なんかって感じで」

「そりゃまた恐ろしいことで」


 面倒そうに言いながらお兄ちゃんも考えているようで、ガーディアンの魔石は場に残しておきたいのが本音なんだろう。


「図案できたらすぐ見せる。必要かどうかの確認が先やな」

「そうやね、それに一軍も増やすんやろ?」

「増やすって言ってもまずは補佐やな、そっから次第ではまた変わるけど」

「なら特に姫巫女のこと言ったりするわけちゃうんや」

「知ってる奴は少ないほうがいいからな」

「わかった、なら洗濯物とか出しといてよ。あたし今日中に家事をある程度終わらしたいし」

「今日は商店街かと思ってたわ」

「さすがに明日か明後日や、それに一宮にも顔出したいし」

「一宮に?」

「うん、今の地上の空気を知っておきたいだけ」


 長いこと一宮にもあたしは顔を出していないし、もうすぐに姫パーティーの姫だと気づく人も少ないだろう。


 それにできたら組合より少し外れた所に自然とできたと言う、探索者通りと言われる場所や、人の生活圏も見ておきたい。


 本音を言えば地上の実家を見に行きたいが、それはきっと駄目だと言われることはわかっている。

 国として何も残っていないのに、それでも権力者はまだ世界に残っている。


 それに魔物や関係のない人なんかも、空き家で勝手に住んだりしているそうだ。

 一応、実家はしっかりと戸締りしたと聞いてはいるが、どうなってるかはあたしは知らない。


「一宮周辺の確認だけなら、拓斗と秀嗣を離さんなら今ならいいぞ。何かしらの予感なら先に言え」

「気になるを予感と捉えるべきか、ただの興味と捉えるべきかやね」

「どっちにしても、なんでかわからんってことやな」


 お兄ちゃんが頭を掻いて面倒そうに溜息を吐いた。


「まあ守り手おったらどうにでもなるか、行く日が決まったら先に言えよ」

「はーい、お兄ちゃんは荷物片付けてよ」


 例え時間停止のマジックバックとはいえ、早めに荷物の片づけは終わらせるべきだ。ここで逃がしたらすぐに細工場かギルドハウスに行ってしまうと、釘を刺しておいた。



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