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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
十六章 ダンジョンアタック

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これから



 ギルドとしては二勝二敗一引き分け、内容的にも結果的にもかなり良かったと思う。特に元隊員さんは上下関係も弁えれているし、大丈夫だろう。


 人数が増えたことで、どこからか増やされたバーベキューコンロ。そこで次々とお肉を焼きながら、みんなが楽しそうに喋っているのを眺める。


 あの戦いを見ていたから他のお試しメンバーも、一軍に対してはそう馬鹿はできないようだ。それでも認めたくない野心的な目をしている人も多いけど。


 そしてあたしに向く目は変わらず、気にして拓斗と秀嗣さんは傍を離れようとしない。


「別にいいのに。どっちかって言うと、準メンバーに無体なことしそうなん止めてくれた方が」

「それは一軍と二軍の仕事、ここの方が肉食いやすいし」

「それにみんなの姿もよく見れるからな」


 メンバーの家族も呼んでいるから、境内はかなりの人でごった返してる。それでも奥様達は楽しそうにお互い会話し、今回は料理を持ち込んだりしてくれた。


 相本さんの奥さんが作ったパンは美味しくて、酵母を手作りして焼いたらしい。パン屋ができたら買いに行くことは決定された。


「けどなんでみんな、信也さんもやけど武雄くんも魔法使わんかったんやろ?」

「手の内を全部、見せたくなかったんやろ?」

「相手の手の内もわからないからな」


 ああそうゆうことかと理解した。今回のこの模擬戦で才木さんは魔武器の能力として魔法を、戸上さんは自分に使うことで速さを上げただけだ。みんな攻撃としての手段では魔法を使っていなかった。


 これから先も色々楽しくなりそうだな、と騒がしく楽しんでいるメンバーを見渡した。


 途中焼くのを交代して、準メンバーの子供四人がいる所に顔を出す。


「ここで食べてもいい?」

「どうぞ」


 嬉しそうな顔をしてくれる美沙希ちゃん達に、あたしも笑みを見せ席につく。さすがに秀嗣さん達は少し離れたところにいるみたいだ。


「千弦君はどない? 上手くやってけそう?」


 三人と違い、この子はまだ三軍として一応はお試し期間中。そうは言っても智さんは、ほぼ準メンバーとして扱ってるからたまに忘れそうになるけど。


「うまく仕事ができているかはわかりませんが、残れるようにしっかり働きたいです」

「千弦なら大丈夫だって」


 満点の返事に無邪気に真翔君が答える。将来的にはいいコンビになりそうだ。


「千弦君は覚えるのも早いし、気づくのも早いです」

「仕事を理解し、上手く時間を使ってやってくれるので助かってます」


 美沙希ちゃんや梓ちゃんからの評価も高く、上手くやれていることがわかりほっとする。千弦君自身、無理している雰囲気はないから、きっとこの子は大丈夫だろう。


「メンバーになんかされたら、一軍かあたしにすぐ言っておいでな。裏方も大事なメンバーやねんから」

「最近は信也さんとか、二軍の皆さんも声かけてくれてますから大丈夫ですよ」

「前みたいなことはそうありません」


 全くないわけではない、けど酷すぎるものはないと言うことか。仕方がない部分だけど、一軍達がどうにかしていく課題でもある。あたしが手を出し過ぎるのは違うと、言葉は飲み込んだ。


「お試し増えたし、大変やと思うけど無理せんようにね?」

「大丈夫です、それに楽しいんで」

「楽しい?」

「色々な人が見れます、不器用で言葉は少ないけど優しい人とか」

「普段みんなの前とあたし達にだけ違う人とか見れて、勉強になるんです」


 強かにしっかりと、見極め力を蓄える。本当に裏方は凄いね、特に準メンバーのこのやる気はいつも頭が下がる。



 その後も何人かと話をしながらバーベキューを楽しみ、奥様達とも少し会話をして料理のことを聞いたり、いい時間になったと思う。


 その間もお試しの探索者からは嫌な視線が向けられていることはわかっていたけど、無視ですよ。


 戸上さんは予想通りで、既存のギルドメンバーと隊の人たちを上手く取り持っているし、あの人は武雄くんとも相性良さそうだから、あそこは安心して大丈夫だろう。あたし達の力を知っている人達だし。



 そうして思った以上に懇親会バーベキューは平和に終わり、片付けはみんなに任せてあたしは裏に帰る。


 先にお風呂を終わらせて居間に行けば、みんなももう集まっていた。


「今後の予定としては短くて一ヶ月、長くても二ヶ月ギルドの様子見て、その間にダンジョン決めるわ」

「仮に核があるとして潰しても困らない、できれば人に有難い場所を考えるつもりです」

「一ヶ月って長ない? 一軍に任せとけばいいやん」

「隊の人らは上下関係わかってるけど、指導には一軍取られるし、他の探索者には二軍がやることなるからな」


 戸上さん達なら二軍とも上手くはやるが、力量が違う。それに二軍が気持ちで負けてたら、指導はしにくくなる。


「人も増えたし裏方は大変やろうからな、その辺りも確認せな後々に絵里子が怖いやろ?」


 上手く行かない憤りや苛立ちは、弱いものに向かいやすい。そして自分が弱いと思っている者に。


「裏方を見てる感じ、上手く躱すとは思うけど確認はしときたい。まだお試しもおるし」

「それに俺もできたら、一軍とか武器を作ってあげたいなあ」

「それは俺も思っていた」


 今回で信也さんと武雄くんの武器は壊れた。元々作る話はあったしいいんだけど、急ぐ必要が出たと言うことだ。


「そうゆうわけで恵子も、暫くは生産かハウスまでな。境内外は一人で行くなよ」

「のりにも止められるやろうし、わかってるわ」

「拓斗と絵里子も生産、絵里子は資料室に行くときは誰かつけろよ」

「はーい」


 御新規でギルドに人が来た。そしてあたしの力を知らない人達だ。さすがに一人で行くのは許してくれないだろう。


「ダンジョンは何階まであるかわからん。できるだけ上層階は無視で行くけど、どうなるかわからん。生産は多めにしといてくれ」


 そうは言われても、あたしの作ったポーションや薬は結構在庫ができている。一番時間があったから、その間にちょこちょこと作ってれば量も貯まる。


 しばらくは料理のストックと庭仕事、それに結界石の改良か。たまに誰かに頼んで気分転換に資料室かな。




 暫く秀嗣さんはのり君と楽しそうに鍛冶に勤しみ、忙しそうだ。お兄ちゃんと智さんはギルドハウスに行ったり、拓斗も入れて魔導具を作ったり。

 あたしは料理を多めにしながらも庭仕事も忘れず、一番はあの赤と白の植物を使った結界石強化に力を入れた。


 拓斗にも意見を聞いたりしながら進めているが、中々に結果は出ず、最近は悩みすぎて、いい案も出ずスランプ状態だ。


 組合やギルドメンバーも調べてるようだけど、結果は似たような物で、本当にあの植物は謎で特殊と言うことだけがわかった。


 ギルドの方も戸上さんが上手く立ち回り、元隊員さん達とは一軍と二軍は上手くやれているようだ。ただ三軍に実力もなく先輩風吹かすやつが少し危なそうと、智さんが言っていた。


 まだぎりぎりお試し期間開けていないことを、わかってくれてたらいいんだけど。


 残りの新規お試しメンバーは様々で、生意気な人もいるそうだが、あの初日を見たからまだ大人しいらしい。それもいつまで持つのか気になるが、一軍が頑張ると信じている。



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