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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
二章 戻っても日常には帰れない

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エビチリって美味しいよね



 少し早めに終わりにしたのでまだみんな戻っていない。あたしは地下の自分の部屋でシャワーを済ませ出ると、丁度三人が戻ってきた。


「おかえりー」

「ただいまー、大丈夫やった?」

「うん、とくに怪我もないし無事やで。みんなは?」

「あたしもお兄ものりも元気、みんなレベルあがったしな」


 お姉とのりくんが3でお兄ちゃんが2になったらしい、かなりいいペースで上げていってる。


「あんまり無理せんようにね。そうそうお兄ちゃん薬草見つけた、四階で採取可能っぽい」


 忘れないうちに言っておかないと、あたしはリュックから今日見つけた薬草と茸を取り出していく。

 あれからも何種類か他の物も見つけることができた。そんなに量はないが、本に載っていた物をこれで作れるはず。できれば早く試してみたいもの。


「おー、これで薬学は作れそうやな。んでもその前に飯にしよか、待てへん奴らがおるから」


 お兄ちゃんはそう言ってお姉とのり君を見ると、のり君が苦笑してた。準備する時間もなさそうだ。

 魔晶石で何か買うか食べに行くかとお兄ちゃんに聞けば、ポイントは節約で外に食べに行くことに。


 三人はこのまま行くわけにもいかず、さっさと支度してくると大浴場に向かった。あたしはその間に地上に上がり昼に返してなかった連絡を返しておく。いつもと違って集合場所をあたしの家にして、できれば汚れてもいい感じでお願いします、と追加で書いておいた。


 有難いことに勝手に遺品や家具の整理だと思ったようで、胡堂さんにも言っておきます。と返事が有り少しほっとした。どうやって説明するか困るから。



 そんなことをしてると三人がさっぱりした顔で上がってきた。どこに食べに行こうかと話しながら、のり君の車に乗り込んで近くの中華系ファミレスへ。

 注文し料理が全て並ぶと出てくると、話題はやっぱりダンジョン。


「んで、四階ってどんな感じ?」

「通路は一緒やけど小部屋が違う、土があってあたしの腿ぐらいの高さの草が生えてたりする」

「なにそれ、面倒臭そうやな」

「面倒やで、魔物が草むらに隠れてるし、そっからゴブリンは弓打ってくるし」

「武器持ちゴブリンは三階からやったか?」

「弓持ちは三階ボス部屋でしか見てない、基本ナイフとか剣とか槍とか、たまに投げてくるしな。みんなはどこまで行ったん?」

「二階やな、三人やし二階でもやってける」

「二階って何出たっけ? ゴブリンと角兎?」

「あと、ウリボアやな。のり君の盾がすごい役立ってる」


 そんなこと聞きながらエビチリに手を伸ばす。確かに真っすぐにくるウリボアには盾は有効だろう。それでも手を痛めてないか気になるけど。


「勢いなかなかやし、手、大丈夫?」

「俺も思ってたけどレベルのおかげか痛くないで、上手く盾使ったら気を失わせることもできるようになったし。なんかあったらポーション(微)飲むし」


 軽い会話の間に最後のエビチリ取られた。あたしはお兄ちゃんを睨みながら早いとこ(微)じゃないポーション作ろうと思った。


「でもさ、この会話知らんと聞いたらただのゲーム好きの集まりやんな?」

「頭いってしまってると思われるよりマシやろ」


 身も蓋もないお兄ちゃんの言葉にあたしは何も返せなかった。




「ただいまー」

「おかえりーただいまー」


 ダンジョンにいるときはあまり気にしていなかったけど、地上に帰ってきてから食べる量が増えた気がする。

 前はどちらかと言えば小食と言われていたのに、今はダンジョンに行っているとはいえ、一人前以上食べてる気がする。


 それは三人も同じようで、会計を持ってくれることになったお兄ちゃんが金額を見て、悲壮感を漂わせてたから申し訳ないが笑った。

 のり君だけ申し訳なさそうにいくらか出そうとしてたけど、兄の威厳か断ってたよ。


「それでお兄ちゃん、地下に部屋、借りんの?」

「地下じゃスマホが使えんからなあ、たぶんパソコンも無理やろ? やから悩んでる」

「たしかにそうなんよね、ダンジョン内でも連絡とれへんし、なんかあったらいいんやけど」

「一応な、考えてはいるんやけど、材料もないしほんまにできるかまだわからん」

「何よそれ? 思わせぶりはあかんと思う」

「ほんまにできるかわからんで? ただ魔道具の本読んでたら行ける気がすんねん?」


 本の中でお兄ちゃんが一番興味を引いていたのは魔道具の本だ。あたしも読んだけど連絡ができるようなものはなかったはず。


「たぶん応用でいけるとは思うんやけど、どうしても材料がな。四階で金属とか取れんか?」

「下は土やけど壁は上と一緒やからな、採掘なんてできへんよ。だったらホームセンターで買ってきたら?」

「確かに試してみる価値はあるか、悪いんやけどのり君、明日の午前中頼んでいい?」


 お兄ちゃんが軽く聞けばいいですよ、と返すのり君。あたしはだったら。と思い明日の午前中は買い出しに行くことにした。

 お肉はいいが野菜は買っておきたいし、冷蔵庫の中は何もない。お兄ちゃんはずっといるし、お姉はどうするかわからないけどのり君含めここでご飯を食べることも増えるだろう。

 あたしはお姉に買い出しの付き合いを頼み、お米はついでにお兄ちゃんとのり君に頼んでおく。重いからね。



 明日の予定が各自決まればあたしは地下に下りて、今日の成果をポイントに変えようとした。なのにそれをお兄ちゃんに止められて嫌な予感しかしないよね。


「せっかくやし、解体しようぜ」


 ご飯食べた後に言うことじゃないよ、妹にやらせようとすんなよ。言いたいことは色々あるが、たぶんこれ、する流れ。それでも抵抗はしっかりするべき。


「薬学したいんやけど」

「そんな量ないんやろ? ポーション(微)でもまだどうにかなってるし」

「いや、ほら経験値は上げていくべきやん?」

「それなら解体もやろ?」

「なんであたしなん?」

「おまえしか料理できんし、魚を捌いた経験があるから」

「やからそれはまったく別物やん?」

「俺も恵子もグロ耐性低い、のり君にこんなんやらせるん悪い」

「待って、あたしもグロ耐性低いから」


 解体の本を持たされ背中を押され、解体場の目の前まで来てしまう。こうゆうとき末っ子の意見はないに等しい気がするよ。

 せめてご飯の前がよかったとか、寝る前は嫌だとか色々言ったけど聞く耳持たない家の長男。あたしは諦めて解体場へと入ってく。



 壁にかけられている様々な刃物、見たことあるようなものからどこの大剣と思うものまで。

 天井からは太い鎖に繋がれたフックもあり、あとは魔物を置くための台が二つに水場も二つ、奥には何用かわからない棚がいくつかあって、奥には熟成室と書かれた扉があった。


 まだ使ったことないからか、血の跡も汚れもなく綺麗なもの。あたしは溜息を吐くと諦めて、台の上に角兎を置いていく。その横にお兄ちゃんがウリボアや角兎、何ならゴブリンまで置いていく。


「ちょ、お兄ちゃん? さすがにゴブリンはいいんちゃうの?」

「本に書いてたやろ? 二足歩行系の基本やって、それに魔石取らなあかんし」


 自分がやらんと思ってめっちゃいい笑顔で言ったよこの人、鬼やと思う。

 その鬼はあたしの無理無理無理、と叫ぶ言葉を無視して、それ全てノルマなと言い放ち解体場から出て行った。




 異世界転生した人みんな尊敬する、冒険者尊敬する。


 かなりの時間をかけ、いくつかの皮をぼろぼろにし、お肉をミンチにしながらなんとか最後はお肉として解体できました。だからって好き好んでこれからもしたいなんて思うわけもない。


 上手くできたのは熟成室に入れておいたから、そこは楽しみだけど、皮ってどうすんの? と思えば薬液につけろと本に書いてあった。

 さすがダンジョンクオリティ、漬けて乾かすだけでいいらしい。ただその薬液は今はない。手持ちの材料で薬学で作れるらしくできることなら明日作ってみるつもりではある。


 あとはあたしが四階で倒した魔物は、今までの魔石より少しだけ大きく全て小魔石となっていて、角兎の角も個体差があることも気づいた。


 四階は強くなってるってことなのか? 明日お兄ちゃんに報告かと思うけど、解体を終わらした後は気力もなくシャワーだけ何とか済ませて地上ですぐに眠った。

 しばらくは何もしたくないです。



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