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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
八章 どちらの命

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そんな簡単な話しでしたっけ?



 智さんが立ち上がり、お茶をみんなに淹れてくれる。それを手伝おうとしたが止められた。


「仕切り直してこっからのことやけど」

「その前に、みんなのレベルの上りと宵闇、それに外のことも気になるんやけど」

「あー、とりあえず追々な、関係することも出てくるし」


 あたしの発言は流されて、お兄ちゃんは話を始める。


「これからは俺ら、神職と隠さずに行こうと思う。どうせやばいところにはばれてるし、探索者には組合で組合職員じゃない神職がおることはでてるんやし。よお考えたら俺ら神職やって言っても民間人やし、国になんかする義務なんかないねん」


 その言葉に目を丸くするのはあたしだけだ。他は聞いていたのか、お姉は元々そうか。


「高遠さんは相変わらず俺ら支持してくれてるし、協力体制取ることで話はついてる。生産は俺ら嫌いやないし。ただ、ダンジョンではもうローブ無しで力も好きに使っていいで」

「そんなんしたら、みんなも奇異な目で」

「それがなんや? 周りが弱いだけやろ?」

「助けろって言われるやん」

「助けたいと思う理由があるならやるやろけど、そうじゃないのになんでやらなあかんねん。そんなん国がどうにかすることやろ」


 いや、確かにそうだしそうなんだけど。あれ? あたしが変なのか? それができる状態なのか?


「俺としては知ってる隊員達に物資を渡したりするんはいいと思ってるが、国に手を出すことはまったくやる気ない」

「それって、いいの?」

「先に手を出して敵意を向けてきたのは国ですし、そんなところに手助けする理由はないと思いますよ」


 智さんの笑顔が怖い。


「この神社があればまあ俺らはなんちゃなるし、拒絶区域は神社前まで広げて、組合の研修や探索者の研修で使ってもらおうと思ってるが絵里子はどう思う?」

「この神社ばらすってこと?」

「隠れんの飽きたやろ? それによく考えたら隠れる理由ないねんよな」


 お兄ちゃんが苦笑した。


「確かに俺らも稀有なもんやけど、国とかが一番欲しいんは神社で、俺ら自身はそんなやろ?」

「けど神社狙いでまた」

「捕まる可能性は高まるわな。それができる奴おるんかが謎やけど」

「やけど絶対はないやん」


 ついあのときの胡堂と智さんが浮かぶ。


「逆にだからこそや。神社の特異性と俺らの神威性を有用活用して、組合も味方につけて探索者にも味方増やせるはずやろ? それに俺らの強さも前に出して、俺らを敵に回したら大変やってわかってもらえばいいねん」


 完全なる暴論な気がするし、意味が分からなくなってきた。


「一応ここを使う人間はお前と俺で識別するつもりではある。後は高遠さんと打ち合わせ次第やな。それと転移陣やな、それも俺らだけしか作れんねんから、俺らと仲良くせな使えんもんになるしな」

「他にも物資もそうですよ、薬もアイテムもここでしかできない物もまだまだありますし」

「拓斗にはこれからも俺のこと手伝ってもらうことも多いと思うが頼むな」

「秀嗣がおるから俺はどっちかって言ったら裏方としての守り手ですし、気にせんでください」

「時間経過無しのマジックバックとか売ってみます? 作れないか解体して確認するほうが先ですかね?」


 すでに生産廃人たちがああじゃないか、こうじゃないか、と話し始めてる。話し合いはどこにいったんですか?


「なあ、秀嗣さん、これってどうゆうこと?」

「もう何も我慢することがないってことだな」


 そういう話でしたっけ?


「えっと、とりあえずみんなのレベルの上がりかたって、どうやったん?」

「お前と秀嗣除く全員で三宮に行って、他の探索者おらん辺りで魔物集め使って本気でやった」

「はぁ!? なにやっとん」

「お前には言われたくないわ。おかげですでに戦う神職の噂は回っとる」

「すでにローブ無しですか。てか、智さんの戦闘あたし知らんけど大変やったんじゃ」

「智はパーティーやと後衛やけど、個人戦闘は多数戦に強いんよな、あだ名までついてたし」


 思い出して面白がるお兄ちゃんと、にこにこ顔が変わらない智さん。


「失礼じゃなかったら、智さんの武器って」

「大鎌みたいなものですね。おかげで魔物集めで来てくれたのでレベル上げも簡単でした」


 意外なようで似合いそうだ。笑顔で言う辺りが怖いわ。


「秀嗣さんはなんでそんな上がってんの?」

「俺はここのダンジョンに行って、下の方で魔物集めを使ってだ」

「みんなやりすぎやろ」

「お前に比べたらなんてことないやろ」


 それを言われると今、何も言い返せないのをわかっててお兄ちゃんは言ってるのがわかるから、少しばかり腹が立つ。

 それでも最初から勝てないのなんてわかってましたけどね。


 そんな風にどこかいつもの空気に戻ってはいるけど、あたしは一番気になっていることを聞かなきゃいけない。知らずつい手を握りしめていた。


「軍人たちは?」


 お兄ちゃんが苦笑しながら、どこか優しい顔になった。


「お前手加減したやろ? たぶん死人はおらんと思うで。器用なことすんな」


 どこか力が抜けて息が漏れた。


「すぐ高遠さんに連絡と秀嗣に頼んで一応、隊の方にも確認してもらったけど、ここを攻めること知ってる奴はおらんかった」

「それは、この国主導ではなく個人主導ってこと?」

「いや、どの国が主導かわからんけど、この国も噛んでるやろ。顔ぶれ見てたら。ただ一部だけにしか言わんと極秘作戦やったんやろな」


 確かに見たことない顔ぶれだったし、他国の人なんて知るわけもないし。


「暫くは高遠さんとかと話し合いもあるし、お前はここのダンジョンで誰かとやったらいいで。その前にポーションとか色々作ってからな。あ、あと作り置きの総菜ほぼなくなったから頼むわ」

「あんなにあったのに?」

「三宮は真横ダンジョンやからな、朝も夜もなく行きまくったらそうなるわ」


 あそこキッチンカーできたはずやのに、それでもしょうがないかと思い、何から手をつけようかと考えていたら、ここ最近の苛立ちは消えていた。



いつも読んでいただき有難う御座います。

ブクマ&☆評価頂けますと作者喜びます、よろしくお願いします。

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