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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
一章 閉じ込められたのダンション

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新たな可能性



 ナイフ投げの練習を始めて五日立った。最初は的に当てることさえ難しくて結構落ち込んだりもした。

 それでも何度も繰り返すうちに的にあたるようになったけど、今度は的に刺さらない。


 力を入れて投げれば的に当たらず、的を狙い集中すれば刺さらず、施設の自動訓練を使い何度も感覚を覚えていく。

 三日も繰り返してたらいくらか的に刺さるようになり、実践でも使ってみたりした。でも動く的だと全然違って簡単に当たるものでもない。


 モンスターの動きを予測しながら、自分も動いてナイフを投げるとか難しすぎる。少し諦めそうになったけど、外れても気を引くことに使えたから意味はあると信じて頑張った。


 練習も毎日頑張れば、動かない的ならかなり高い確率で当たるようになった。実践では半々ってところ。

 やっぱりそう簡単にはいかないよね。それでもでこれなら使えてるほうだろうと自分を慰め使い続ける。弓のほうが相性よく思うよ。



 ただその変わりではないが、地図の埋まりは遅い。まだ半分も埋まってないんだよね。

 投擲の練習のために午後は早めに切り上げていたし、モンスターが徘徊してる分警戒しながら進むから、いつもより時間がかかってる。


 それでも今日からは練習をやめ、ダンジョン探索に専念するから少しは早くなるはず。 



 レベルも上がり9になった。さすがにここまで来ると閉じ込められる前の自分と違いがよくわかる。


 飛び跳ねた高さも走る速さも力すら違う。何より耳と目がよくなった気がするよね。今なら走ってくる鼠も捕まえられそう、素手とか怖いからやらないけど。


 レベル8との差は体感じゃわからないけど、ちゃんとレベルの恩恵があると知れてよかった。




 さあ今日もダンジョンへ、三階の地図を埋めることを頑張る。


 最近は一階と二階のモンスターは、走ってしまえば追い付いてこないので、そのまま走り抜ける。

 ポーションもかなりストックが部屋にあるので、ここでは宝箱も見ない。少しだけ中身に興味があるけど、たぶんポーションだと自分に言い聞かせて進む。


 三階の前で一度休憩。息も切れていないけど念のためのポーション(微)を飲むのが普段道理になっている。だってここからは、武器を持つゴブリンと犬だ。


 武器を持つゴブリンは一匹ならまだいいけど、数が増えればなかなか大変。犬も早いから走って振り切ることは難しいし、牙も爪も鋭く当たれば致命傷も考えられる。


 前も奥も警戒しながら進み、三階では集中力もかなり必要だ。戦闘中に追加でモンスターに来られるとか、本当に嫌だからね。



 ダンジョン自体は変わり映えすることなくて、出てきたモンスターを倒しては進み、たまに小部屋の宝箱でポーションが手に入るぐらい。


 その繰り返しの変化のなさに嫌気がさしてくる。地下一階も二階も三階も、風景に変わり映えが全くしないんだから。

 同じところをぐるぐると回ってるような気がしてしまう。地図がなければ気が狂いそうだ。


 小まめに地図を確認して進み、奥になれば出てくるのは武器持ちのゴブリンとベビウルフ。

 あの黒い犬はベビウルフって名前だったよ、今のところ一番ポイントが高いのはベビウルフとなる。


 素材も一番多くて牙や爪だけでなく骨やお肉もあって驚いた。ついでに言っとくとお肉は食用だったよ。

 悩んだけど食べてみたところ美味しかった、ただウリボアのほうが美味しい。



 ゴブリンの場合は武器も売れるから、ポイントのばらつきが多い。ナイフは一番安いし投擲用に置いている。

 他にも剣や槍なども念のために何本かは置いているけど、残りは売った。そんなにいい物ではなさそうだし、あたしの短剣のほうが切れ味いいし。

 たまにウリボアも出るけど奥になればなるだけそれも稀になってくる。




 何度目かの戦いを終わらせて息を吐く。今日一日で何匹倒したかなんて数えてられない。

 倒した敵をリュックに納めたら、すぐに地図を確認して進む。じゃないと次のモンスターが来てしまうかもしれないから。


 小部屋の中も確認するけど、四度に一度ぐらいで置いてある宝箱はやっぱりポーションで、赤と青と緑。黄色があったら信号だね。


 使い道がわからない青と緑が貯まりすぎてるから赤だけでいいんだけど、そんなことにはならなくて部屋にもポーチにも溢れてる。


 素材もかなり溢れてきてるし、倉庫とか増やしたほうがいいかな? なんて考えてれば、いつも変わり映えしない廊下の奥に変わった壁が見えた気がした。


 気が付いた瞬間に走り出したくなるが、ダンジョンではそれは危険だ。すぐに周囲を確認すれば見えるかぎりモンスターはいない。それがわかれば気が急いてつい走ってしまう。



 辿り着いた通路の奥は左右からも道が伸びていて、少し広間のようになっている空間。その周りの壁は普段と同じ無機質なもの。

 なのに目の前のここ一面だけが大きなレリーフのように紋章が刻まれ、真ん中から割ったように線が入り両開きの扉のように見える。


 巨人でも入るのかと言いたくなる大きさで、真ん中には紅色の半球、魔晶石と思われるものが填まってる。


 経験上簡単には触れないほうがいいよね。それでも今までになかった扉だ、下り階段ではない扉。期待するなってほうが難しいよ。



 さあ、どうしようか?

 このまま扉を開けて中に進むのは簡単、でももし他にも道があったら?

 ダンジョンで扉と言えば定石はボス戦だろうか?


 そう考えれば少し冷静になれた。出口である可能性よりモンスターの可能性を先に考えるべきだ。

 ダンジョンに期待は禁物、警戒と注意は最大限に。命大事にが合言葉。


 地図を見てみれば半分と少し埋まったぐらいか、これならあと三日、余裕を見て四日もあれば埋まるだろう。その間にレベルが上がれば幸運ってことで、地図を埋めることを優先しよう。


 もし他にも階段や扉を見つけたら、そのときはそのときで考える。過度な期待は後のメンタルダメージ考えたらしたくないし。

 時間的にも丁度いいし、ここで休憩をとってまたダンジョン探索を進めよう。



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