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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
七章 愚かさの代償

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新たな旅



 夕方前にはダンジョンを終わらせ、お風呂を済まして先に素材の処理をしてしまう。お姉が帰ってきたら増えてしまうし。


 その後は夕食の支度だ。ぱたぱたと動いていたらお兄ちゃんが台所にやってきた。


「二宮の転移陣は二個出たんやっけ?」

「そうやね、上りと下りと」

「五階のボスなんやった?」

「オークと土人形と火の精霊。水魔法と火魔法あればそうきつくはないよ」

「そうかー」


 そう言いながら冷蔵庫を漁ると、お兄ちゃんは行ってしまった。あたしは首を傾げるが、夕食の時にお兄ちゃんの真意を知る。



「遠征行こか」

「三宮!? みんなで?」

「いや、二手に分かれて二宮と三宮」

「二宮あたしら帰ってきたとこやのに?」


 さすがに早すぎじゃないだろうかと、あたしは秀嗣さんと顔を見合わせた。


「二宮の転移陣はここのと違うっぽいし、それに組合と住民の関係も見ときたい」

「じゃあお兄ちゃんは二宮?」

「そうやな、あと恵子も」

「は? 絵里子は?」

「三宮、地図を使えるん二人やねんからしゃあない」


 お姉が嫌だのなんだのうるさいが、今更気にするような人はすでにいない。


「別に行くんはいいねんけど、なんで三宮も?」

「魔物のわりに探索者集まらんねん、山やしな。あとできれば他の転移陣も確認したい」


 それは五階ボス撃破しろってことですねお兄様。


「メンバーは?」

「とりあえず二宮に俺と恵子とのり君は確定、智と拓斗はどっち行きたい」

「私はまだ弱いので情報のあるほうがいいかと」

「確かにそうやな、三宮のほうが強そうやしなあ。ほな拓斗は絵里子と行くか?」

「レベルも上げたいし三宮で」


 メンバーはこれで決まった、だからって準備は必要だろう。


「絵里子らは秀嗣の車とテント一個でいいか?」

「シャワーのやつ持ってくで」

「あれはあの車に合わせてるからな」

「あ、あれ改良するんで出しといてください。あと不具合とか使いにくいところなかったですか?」

「全然、使いやすいし有難かった。改良とか作るの手伝うよ、あたしも一応器用は高いし」

「有難う御座います」


 こうしてしばらく生産と食事作りに精を出すことになった。お姉は鬱憤を魔物に当たり散らして、レベルを一つ上げてきた。恐ろしい。


 お兄ちゃんは準備をしながらも魔法陣の改良も考えてるようで、少しは生産から離れたほうがいいと思う。


 結局もろもろの準備に数日と時間はかかり、それでもなかなかいい物ができました、と智さんの笑顔は素晴らしかった。

 お兄ちゃん達の荷物にもそれなりに食料は入れたが、最悪向こうではお婆ちゃんたちの売店があるしなんとかなるだろう。


 お兄ちゃん達は献上された車で向かうらしい。あたし達は秀嗣さんの車だ。


「じゃあお互い気をつけて、なんかあったら連絡な」

「行ってらー」

「行ってきまー」


 三宮はここからだいたい四時間らしい。かなり遠いな。おかげであたし達の出発はまだ薄暗い早朝になった。

 助手席に座るのは胡堂だ。一応運転を交代して向かうらしい。あたしは免許持ってませんから、後ろで気楽に座ってる。


「三宮の情報ってなんか出てたっけ?」

「組合から車でだいたい十五分」

「離れすぎやな」

「やからダンジョンの近くに駐車場あんねん。そこで車中泊やテントの人が多いらしいが、魔物が出るからな」

「一応は魔物避けの香を焚いてはいるんだろ?」

「結界石はまだ量産しにくいらしいからな」


 そりゃ人も集まりにくいダンジョンだ。秀嗣さんの車には結界石をしっかりつけれるから安心だけど。


「でもなんで組合がそんな遠くに? 売りに行くの大変やろ?」

「山の開けたところってのと、魔物の多さ、あとは隣県の一番近いダンジョンがそっから一時間ちょいぐらいんとこやねん。おかげでどっちからも魔物来るから地上で狩る探索者も多い」

「隣県のダンジョン付近には組合作りにくいんか」

「今のところはな」


 なかなか厳しい条件だな、それでも地上でも稼げるから探索者は来るってことか。


「今はよくても、ダンジョン間引きできな地上に強いのも増えるなあ」

「組合もそこ気にしてる」

「行ってみて、話を聞いてからだな。二人はまだ早いし寝ててもいいぞ」


 秀嗣さんにそう言われるが、今のところ目はばっちり冴えている。二宮に続き、こんなにも早く遠征になるとは思っていなかった。今度はたっちゃん達のように知り合いがいるわけでもない。組合がオープン前でもないから他の探索者もいる。気を引き締めるべきだろう。


 ミラー越しにそんなあたしに気付いたのか胡堂が口を開く。


「なんとかなるわ」

「そうやな」


 ふと軽くなる心に自然と笑みが浮かぶ。外の景色を見ながら楽しむことも必要だと思い出す。



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