表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
一章 閉じ込められたのダンション

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/630

風呂は命の洗濯派



 変化が起こったけど意味は分からない。唖然と短剣を見てれば、今度は短剣から何かが手に流れてくる感じがしてくる。


 驚いて手を放そうとするのに手が開かない、それどころか勝手に体が動き始めた。なにこれ、とりあえずなんか気持ち悪い。


 姿勢が勝手に低くなり、素早く腕を突き出して短剣を振るう。短剣を左手に持ち替えて突き出す。何かを躱すように体は捻り、払うように短剣を振るう。



 理解より驚きで、覚えることなんてできるわけない。終わって、と強く心で思えば体の自由が戻ってくる。


 乗っ取られる感覚ってあんなのなのかな? 心構えなかったから気持ち悪く感じた。あたしの意思が全くの無関係で、自分の体なのに自分じゃないみたいで、ほんとあのままだったらどうしようって思った。


 でも動いたよ、本当に。


 ああやって動きを覚えることができれば、ダンジョンでも今まで以上に戦いやすくなるだろうし、他の武器も使えるようになるかもしれない。


 あたしはもう一度持っていた短剣に集中し動けと念じる。勝手に動き出した体にまだ慣れないけど、できるだけ覚えられるように短剣だけじゃなく体にも意識を向ける。



 それが終われば他の武器もいくつか試してみる。基本となる片手剣や槍などだけじゃなく、棒に取っ手が付いたようなトンファーや指先のない手袋のナックル。スリングや投擲など様々な武器を試すことができた。


 知らなかった武器もあって、訓練って感じではなく普通に楽しんでしまった。それでもこれからに役立ちそうなものも見つけたし、いい時間になった。



 勝手に動かされてるとはいえ自分の体だ、楽しんだけど長時間体を動かしていたことにかわりなく、かなり汗をかいた。


 一度部屋に戻り、またオブジェの部屋へ出る。まだ開けていない扉の前に立ち、プレートを確認すれば大浴場と書かれてる。


 銭湯とか温泉とか嫌いって人もいるけどあたしは好きなんだよね、あのゆったりとした広さは家では味わえないものだ。



 扉を開け中に入るとすぐに男湯と女湯と書かれた暖簾が目に入った。二つに分かれた入り口の間には、いつもの魔晶石。あたしは近づいて説明を読むと残っていた魔石を全て入れた。


 あたししかいないんだから男湯、女湯って分かれてる意味あるのかな? そんなことを思いながら靴を脱ぎロッカーへ入れ、ちゃんと女湯へ。

 中に入ればまたレトロな雰囲気で、あたしでさえテレビでしか見たことないよ。


 すぐに番台があり、中には男湯との仕切りに壁があり向こうが見えることはない。番台の上には魔晶石が置かれている。


 そこを超えれば脱衣所だ。籐で編んだ椅子や木でできたロッカーが並び、少し気分が上がるのがわかる。あたしは行儀が悪いと思いながらも一人だけだし、とお風呂場を見に行く。


 広々とした空間に洗い場が並び、シャワーも付いているようで少し安心した。奥には広いお風呂がゆったりと湯気を上げて、その奥の壁には見事な赤富士が描かれている。


 確かにこれは圧巻かも。スーパー銭湯しか行ったことないから初めて生で見たよ。


 うきうきとしながら脱衣所に戻るとさっさと脱いでお風呂へ向かう。湯船に浸かる前にはちゃんと洗いましたよ。


「ふあー」


 と、勝手に声が出るのはもう仕様だと思う。


 少し熱めに感じるお湯が気持ちいい。横には水風呂もあるみたいで熱くなったら手だけ入れよう。一人だから自由過ぎる。

 足を延ばしてお湯に浸かるのはやっぱり気持ちいい、たまに大浴場を使うのもいいかもしれない。


 たしか大浴場も拡張があったはずだ、拡張したらお風呂の種類がふえるのかな? それともスーパー銭湯みたいになってく? 温泉に変わるとか?


 それはそれで楽しそうだと考えながら、のぼせる前に今日は上がっておこう。立ち上がり脱衣所に行くと販売用の冷蔵ケースが目に入った。


 ケースの角には赤い小さな魔晶石が付いていて、ここに触れてポイントを支払い中の飲み物を買う仕組みらしい。

 やっぱりここはコーヒー牛乳でしょ?と50ポイントで購入、瓶だよ瓶。初めて飲むよ。


 一口飲めば熱い体にすっと冷たいものが染み渡り、ごくごくと飲んでいく。初めて飲んだけど甘めで結構美味しい。

 瓶を返却箱に返し身支度を済ませ、誰もいない大浴場にありがとうと言い部屋に帰った。



 部屋に帰り髪を乾かしながら今日を振り返る。大浴場は作ってよかった、大満足で幸せだった。


 訓練所も作ってよかった。ただ今のままではなく武器を変えることも考えてしまう。


 元々できれば長柄物がよかったけど、手に入ったのが短剣だったからそのままきてるだけなんだよね。


 重さは変わるけど威力を考えるなら、今日使ってみた剣鉈ってのが威力があったし、動き方的には槍なんかよりまだ変更しやすそう。


 小部屋の中の敵なら気づかれる前に弓で終わらせることもできるかもしれないし。あ、投擲でスリンガーやダガーなんかもあったな。


 ご飯を作りながら考える。今日はいつもより早い時間だから煮物にしようとウリボアの角煮もどきと角兎を茹でて解してから野菜と和えた。


 どうしてもお肉ばかりになるよね。一応野菜もポイントで買ってちゃんと使ってるんだけど。


 机に並んだ食事を見てお肉売っちゃおうかなと思う。普段からそれなりに売ってるのに、追加があるから食べても食べてもなくなることがない。


 考え事しながらの食事は消化に悪いと言われてきたけど、つい考えてしまうのは武器のこと。


 こんなに武器のこと考える日がこようとは、ゲームは某有名RPG系しかしたことないから武器なんて詳しくないよ。使い心地を確認できるからまだよかったと思うしかない。


 すでに二日休んでるし、これ以上休むのは気が引ける。地図もできてるし、できれば地下三階に行きたいところなんだけどな。そんなことを考えながら寝支度を済ませ眠った。


 なんだかんだと色々していたが、いい休日になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ