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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
六章 弱く脆く、そして強いもの

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巻き込まないでは欲しい



 二日目の探索は他の探索者もいないので、ダンジョンに入ったらローブも脱いで動きやすくなったからか、思った以上に順調に進んだ。

 一階にしては強いとは言え、ゴブリンなどに今更後れをとるようなレベルでもなく、ほば駆け足で一階の地図を完成させることができた。


 宝箱からは両刃の片手剣とポーションや丸薬、あとステータスアップ系のネックレスが出た。初めて見た物だし、お兄ちゃんに確認してから寄付するか決めることになった。


 秀嗣さんのレベルが一つ上がり、本人曰く神社よりも上がるのが早いかもしれないと言っていた。

 神社のダンジョンは弱めの設定だからだろうか?



「今日はあたしが解体しときますから、秀嗣さんシャワー先に使っててください」

「いや俺が解体に行くから絵里子が先に」

「昨日より数多いから、慣れてるあたしの方が」

「慣れるためにも俺がやるべきだろう」



 そんなやり取りを数度した後、結局じゃんけんになり、負けたあたしがなぜか先にシャワーになりました。なんか納得いきません。


 そう思いながらも手早く済ませて服を着ていたら、こちらに向かって来る秀嗣さんではない人の気配。まだ距離はあるけど確認は必要だろう。


 あたしはカーテンを少し開けて暗い外を目を凝らして見る。そこで知っている魔力だと気づき誰かと探る。


 ん? 摩央さん?


 確実にこの車に向かってる。さすがに対応しないわけにもいかないだろう、とあたしはドアを開け車から降りた。


「こんばんわ、どうしたんですか?」

「これ晩御飯にでもと思って」


 差し出された大きな紙袋、中を見れば御重が入ってる。


「昨日も野菜とか色々頂いたのに、悪いですよ」

「気にせんで、お世話になってるんはこっちなんやから」


 摩央さんはそう気さくに微笑む。こうしてみると身長も女性にしては高めですらりとし、摩耶を大人っぽくした雰囲気でよく似ているな。


 摩央さんは少しきょろきょろと辺りを確認し、言いにくそうに口を開く。


「ところで、加賀美さんは?」

「今、解体してくれてます。じゃんけんで負けまして」


 どっちがとは言いませんけど。


「そうなんや、ところであたしに敬語なんかじゃなくていいで? 達也君と同い年なんやろ?」

「あー、そこは徐々にで」


 濁して笑っておく。悪い人じゃないんだけど、何かが引っかかるから。そんなあたしを気にすることなく、摩央さんは少し声を潜め聞いてきた。


「ところでさ、か、加賀美さんて恋人おんの?」

「は? いや、聞いたことないですね」

「二人、付き合ってるとかちゃうやんねえ?」

「違いますよ、あたしとなんて」


 慌ててそれを否定すれば、摩央さんは嬉しそうに笑う。


「加賀美さんめっちゃタイプやねん、協力してくれん? お願い!」


 手を前で合わせお願いしてくる摩央さんに戸惑うあたし。


「い、いや、今は仕事で来てますし、協力ったって」

「絵里子? どうした?」


 戸惑い対応に困ってたら、秀嗣さんが解体が終わったようで戻ってきた。


「お疲れ様、ありがとお」

「そちらは確か摩耶さんの」

「姉の摩央です」


 秀嗣さんの目があたしに何があったか聞いてくるから、あたしは紙袋を持ち上げ見せる。


「これ頂いてん、晩御飯にでもって」

「有難う御座います、そんなお気遣いよかったのに」

「いえ、お世話になってますしこれぐらい。お二人はどこに泊まってるんですか?」


 あたし達に聞いてるけど、その顔は秀嗣さんに向いている。摩央さんマジだな。あたしは秀嗣さんに答えをゆだねた。


「俺たちは車ですよ、まだ組合の施設もできてませんし」

「お二人でですか!? そんな、家に泊まって下さい」

「いえ、ここだと早くからダンジョンに行けますから」

「そんなお風呂とか、車中泊やと疲れも取れんでしょうに」

「組合の依頼ですから、試験も兼ねていくつか便利なものも借りられてますからお気遣いなく」


 内緒でお願いします。と言う秀嗣さんに少し照れたように摩央さんが頷いてると、あたしのカフスに通信が入った。


「ごめん、通信や」


 そう言ってその場から離れ車内で答える。



ちょっと嬉しかったので21時にも投稿しようと思います。

これからも頑張りますので応援よろしく御願いします。

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