偽神事
それから数日後には、高遠さん達が来るとお兄ちゃんに言われた。
「また急に言いますね」
「早いほうがいいからな。ただ神職と高遠さん以外は俺らがやるから、お前は少ないで」
「そうなん? でもお兄ちゃんとお姉とのり君と秀嗣さんだけやろ?」
「高遠さんに頼んでのり君達のより薄い紺色の袴の神職服を頼んだから、拓斗と智もできる」
「いつの間によ?」
「あいつらも仲間やし、それに魔力操作も器用さも高いからな」
確かにほぼお兄ちゃんの部下みたいな使われ方してるけど。
「二人にあんま無茶ぶりせんとってよ」
「わかっとるわ。先に俺ら出て、呼んだら秀嗣と出てこい」
作業を切りいいとこで終わらせて、早めに支度しといたほうがいいかもな、とこれからの予定を頭の中で立てながら、どこか喜んでいそうな胡堂が浮かんだ。
言われた通りに留め金に金銀や魔晶石の飾りのついたヴェールを頭につけ、前が見えにくいなか秀嗣さんにエスコトートされて御簾に入る。
前には頭を下げひれ伏す人たち。
「頭をお上げください」
お兄ちゃんの言葉で始まった謁見は、いつも通りの高遠さんの難解な長い挨拶で始まった。
あたしはそれを聞きながらも、つい上から並ぶ人たちを見る。先頭に前回同様に高遠さんが座り、その後ろには前もいた浜西さんと大仲さんと三島さんと月城さんの神職組。
その後ろに見たことない男女がだいたい二十人ぐらいだろうか? 不安そうな顔や興味深そうな顔、嬉しそうな人までいて年齢も様々に思った。
「では、高遠様や神職の方々には深い感謝を込めて、姫巫女様より直接お力をお授けになられます。段近くまでお越しください」
お兄ちゃんの声であたしは意識を切り替える。今はちゃんと姫巫女に徹しないと、後がどうなるかわかったもんじゃない。
後ろの人たちはその場で、高遠さん達は段ぎりぎりのところで頭を下げている。
ゆっくりと秀嗣さんによって御簾が上げられ、手を差し伸べられる。あたしは所作が綺麗に見えるようにゆっくりと手を乗せ、段を下りて高遠さんの目の前、一段高いところまで来ると秀嗣さんの手を離した。
「高遠様、お顔をお上げください。大変なご尽力頂いていると窺って嬉しく思います。これからも苦しいことが続くでしょうが、この力が貴方様のお力に、少しでもなれればと祈っております」
そう言って高遠さんの両手をあたしは包み、ゆっくりと魔力を送っていく。思った以上に簡単に入ってあたしが拍子抜けしそうなほどだ。
高遠さんは感極まって口を震わせ、今にも涙を流しそうで、できるだけその顔を見ないようにしておいた。ヴェールって便利だね。
「この力は使いこなせば危険もあります。高遠様ならばないとは思いますが、力の使い方をお間違えない様にお願いいたします」
「は、この高遠、姫巫女様に頂きました御力を穢すことなく、これからもそのお心のため尽くす所存で御座います」
耐え切れず涙しながら頭を下げる高遠さん。やりすぎたかしら?とお兄ちゃんを確認するけど、平然としてるからいいんだろう。
そのあとはあたしは四人の神職にも同じように声をかけて、魔力を感知させていく。
高遠さんに続いて浜西さんの熱い目と感極まった顔には少し引きかけたけど頑張った。他の三人も表情が完璧な信者で、これあたしの中身ばれたらどうなるんだろうと少し怖くなったのは内緒だ。
そしてそれが終わればあたしはまた御簾に戻り、本日のお仕事終了だ。お兄ちゃん達が頑張ってる間につい御簾の中で息を吐いた。
今動いていないのはあたしと秀嗣さんだけ。秀嗣さんはあたしの守り手として、こうゆうとき離れるわけにはいかないとお兄ちゃんの言だ。
一通り終わったようで上から見ていても、その表情は驚きと楽しさ、嬉しさを滲ませていたりと面白い。
「その力はこれから必要になりますが、鍛錬し使いこなさなければ意味のない物です。また強力な力であるのも事実。与えた我々を裏切るような使い方なさらないようにお願い致します」
その言葉にみんな顔を引き締めて、しっかりと頭を下げた。こうして有難いことに、波乱もなく偽物神事は終わった。
これにて五章終わりです、ここまで長かった、そして説明多すぎた。
明日から更新頻度変わるかと思いますがよろしく御願いします。
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