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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
五章 非日常は突然に

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嫌がらせですか?



 さすが男前な嫁、行ってらっしゃいと手を振ってあたしは待たせていた胡堂と秀嗣さんに向き直る。


「お弁当持った? ならこっちも行こうか」

「宏さんが採取を大量に宜しくやって」

「自分もやれよ」

「智のレベル上げも大事だからな」


 苦笑する秀嗣さんにそうやけど、と返しながらダンジョン内の小部屋へ、転送陣に乗り十一階まで一気に下りる。


「今日はどうすんの? 下まで走るか?」

「そうやね、二人がいけそうなら」

「なら先頭は俺に行かせてくれないか?」


 普段あまり言わない秀嗣さんが言うから少しだけ驚いた。


「いいですけど、地図は大丈夫?」

「この階なら何度か見れば大丈夫だ」


 胡堂を確認しても頷くから、今日の先陣秀嗣さん、胡堂は殿らしい。


 三人で一気に駆け出して、後ろから秀嗣さんの戦い方を見てるとやっぱり綺麗だなと思う。

 力強くかっこよくもあるんだけど、美しいんだ。


 階段付近でだけ倒した魔物から魔石を抜いてリュックに入れておいた。階段で少し休憩すればそのまま十二階だ。


 まだ数えるほどしかこの階は来ていない。わかっている魔物はゴブリンメイジとホブゴブリン、それに豚頭のオークぐらい。これが全てではないと思う。


「探索済んでないから慎重に行こうか」

「次、俺が先頭で行くわ。絵里子は後衛できるやろ?」

「まあそうやけど、秀嗣さんもいいの?」

「ああ、俺はいいぞ」


 なんか胡堂と秀嗣さんが通じ合ってる気もしなくもないが、こうして今日の探索は始まった。


 特に困ることもなく、意外なほどに呆気なく魔物を倒していく二人。あたし要らなくないですか?と思ってしまったのも仕方がない。


「なあ、あそこ宝箱ない?」

「ん? どこ? あ、二個あるわ」

「魔力を感じるんだが」


 三人で顔を見合わせても結果は変わらない。あたしはそれに近づいて箱を開け、中身を取り出して鑑定する。


「今出るんかい!?」


 『結界石:魔物に気付かれにくい、香と共に使うと効果大』


 鑑定内容を読んでついそう言ってしまったのもしょうがない。不思議そうにしている二人にも伝えると、なんとも言えない顔をして励ましてくれた。


「まあ、あっちのダンジョンでいつ出てくるかわからんし」

「絵里子のおかげで供給は安定したんだから気にするな」

「そうやねんけど、たぶんこれ、香もありそうやん?」

「あー、それ詳しく調べて、なんやったら性能上げたらいいやん。今はダンジョン行くぞ」


 胡堂に促されてそれもそうかとあたしは顔を上げる。もう一つはポーションだったみたいだ。


 他にもいくつか採取をして探索に戻る。今は結界石のことなんて気にしては駄目だ。


 胡堂と秀嗣さんも安定して戦えているし、二人とも強くなったななんて思ってしまう。

 今日のあたしは後衛に徹し、ほぼ魔法と弓だけ。あとは鑑定で採取を勧めるだけで楽なものだっだ。




 居間に戻ると智さんが屍のように装備も外さずに転がっていた。


「お兄ちゃん、やりすぎちゃう?」

「本人の望みもあってや。おかげでかなり上がったけどな」

「だ、大丈夫ですよ姫様、お願いしたのは自分ですから」


 帰ってきたのり君にも同情と仲間意識の籠った目で見られてたけど、そっとしておいた。


「今日のご飯どうしよか?」

「一応いつもの焼き肉屋まだやってるらしいから行くか?」

「すごいな、まだやれてるん?」

「ダンジョンからそこそこ離れてるからな、野菜も農家から直接購入してたみたいで普通に営業中」

「人間て強いなあ」


 たっちゃん達も上がって来たし、焼き肉でいいか確認してあたし達はお風呂を手早く済まし、そう遠くない焼き肉屋に歩いて行くことに。


「ガソリンも節約せななあ」

「でも一応外にも魔物出るやろ?」

「探索者入るようなったし、そこまで強いの出てないから大丈夫やろ?」


 お兄ちゃんはそう言って武器の入ったポーチは忘れるなよ。と、歩くことは決定された。

 歩いてみても確かに前よりも体力はついて、特に疲れを感じることなく焼肉屋へ。


 やっぱりお客はかなり減ってるみたいで、かなり食べるあたし達は喜ばれた。いつかこの店で魔物肉を提供する日が来ることがあるんだろうかと一瞬考えてしまった。


 次々に頼んでは焼いていく、サービスでキムチ頂きました。


「そうや、絵里子ら宝箱から結界石が出たんやて?」

「出た。帰ったら鑑定もうちょっとして、精度高いの作れへんか確認するつもり」

「今のでも効くわ効くけどなあ」

「外のダンジョンでも効果は確認してるん?」

「一階とかやけどな」

「宏さん、外のダンジョンどうなってるんですか?」


 胡堂の言葉でみんなの目がお兄ちゃんに向いた。あたしはお肉を焼いてるから見ないけど。


「正式オープンは前倒しになりそうやわ。かなりの数が詰めかけてるし。それにダンジョン内で魔物の取り合いを確認されてるから、早めに組合を他にも作る話は出てる」

「けど物資とか運ぶん大変でしょ?」

「それは研究者たちに任せてやな、それにまだ新しいダンジョン見つかって行ってるみたいやわ」


 お兄ちゃんの言葉にみんなが驚く。


「それって、見つかってなかっただけ? それとも」

「絶対とは言いにくいけど、たぶん新しくできたと思ってほぼ間違いない」

「場所は?」

「俺らんとこと達也君とこの間ぐらい、すでに弱いのやけど魔物が出てるのも確認されとう」


 たっちゃん達三人の顔色が少し悪くなる。



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