反抗ではなく興味です
そして現場での話し合いは進み、必要なものは物資と武器、何より戦い手だと行き詰る。民間人をダンジョンに行かすことは国として推奨するわけがない。それでも戦い手が増えなければ人間の生活圏なんていつかは消えてしまう。
だから高遠さんは腹を括ったらしい。ダンジョン省として探索者組合を作ると。
「確かに上手いこと行けばいいと思うけど、そんな上手いこと行く?」
「建物の建築は始まってる。隊員の賛同と協力、それに智と高遠さんの金策でや。組合のトップは高遠さんではっきりと未知数なことやからどうなるかわからん、死ぬ可能性もあると言って始める」
「んな暴論な」
あたし達、自宅待機組があきれた顔になってしまう。
「そう悪い手じゃないですよ? 実際世界はわけがわからないことになってますし、連絡が取れない国があるほどです。ライフラインもどうなるかわからない中、ぶっちゃけあの感じじゃ国も頼りになりませんし」
はっきり言いましたね元国側、智さんは何事もなく平然と言うからつい納得しかけるけど、大丈夫なんだろうか。
「他の武器を渡した神職も組合側についてもらって、そのうち他の組合の面倒見てもらう話も出てる。それでも軌道に乗るまではある程度は俺らで生産せなあかんけどな。一応今は神職の人らが生産系の人を連れてレベルつけてくれたりしとる」
お兄ちゃんの言葉が気になってあたしは口を開いた。
「生産系って?」
「ガラス職人や刀鍛冶、あと革職人や研究職なんかもやな」
「よく反発なかったな」
「ぶっちゃけあるで。職人に説明してすぐに賛成って人のほうが少ないやろな」
「なら成功せえへんやん」
「そこはほれ、姫巫女様信者の高遠さんが」
「待って、ここの扱いは?」
「古くから、政治の裏には神事有りや」
お兄ちゃんが嫌な笑みを浮かべるから、あたしは頬が引きつる気がした。
「中魔石は手に入ったんやろ? それで一回、人工魔晶石作ってくれ。あと人工極小魔晶石もいるし薬類も大量やな、素材は?」
「一応人工極小魔晶石はそれなりに作ってある。在庫確認してみて。中魔石はそこまで量ないで? あと素材も集めてはいるけど?」
「ならあと魔物避け系作れんか頑張ってくれ。できれば結界的ななんか。のり君と秀嗣は鍛冶やって、できれば属性武器も少し混ぜて。恵子は拓斗と智と本のこと煮詰めといて。素材足らんくなったら一人では行くなよ、足らんもん確認して少数で早く集めるようにしてくれ」
ほな、各自動いて。と早口で言われてすぐに動けるもんでもないだろう。胡堂と智さんは知っていたのか動き始めてるが、あたし達は動けない。
「悪いけど、時間ないから動いてや」
「ちょ、お兄説明」
「さっきしたやん」
「絶対足りんやん、それに地上は行っていいん?」
「あー、一人じゃなかったらいいけど、そんな時間ないで」
それだけ言うとお兄ちゃんはさっさと細工場に入って行く。お姉は胡堂と智さんに引っ張られ連れてかれた。
あたしは残されたのり君と秀嗣さんを見るけど、二人も止まったままだ。あたしの口から大きな溜息が出た。お兄ちゃんらしいっちゃらしいから。
「しょーがないから動きますか」
そう言って二人に苦笑いをするのだった。
中魔石とあたしの血を使ってできたのは人工小魔晶石。お兄ちゃんに見せれば予想していた通りらしく、組合で使うからいくつか作っておけと言われてしまう。
今は何を言っても無駄だと知っているから諦めて、言われたように生産するしかないんだろう。あの人マジで妹の血を素材だと思い始めてる気がしてちょっと怖いよ。
今更だけど魔石と人工魔晶石にある極小や小は、石自体の大きさではない。魔力保有量で変化するようで、大きくても極小となることもある。
魔石よりも人工魔晶石のほうが魔力保有量は高く、それに含んでる魔力が違い、魔晶石は聖と魔の両属性が入ってるような気がする。製作者であってもまだ全部わかっていない。
使い道もまだまだ分かっていないことが多い。たぶんお兄ちゃんのほうがあたしより詳しそう。
途中でちょっとした興味から、人工極小魔晶石を砕いて粉にしてみれば、それはきらきらと輝く粉になった。砕くときにも魔力を使わないと砕けないと言うめんどくさい仕様。
そこから横暴なお兄ちゃんに対する反抗ではなく気まぐれで、魔石の粉でなく人工極小魔晶石を使って基礎のポーション(微)を作ってみた。
不思議なもんで、角度で色が変わる液体ができてしまった。これ飲めるんですか?と、とりあえず鑑定してみよう。
『姫巫女の涙(微):回復継続極小 状態異常小回復 状態異常抵抗力極小 作者:絵里子』
やっちゃったかな?
これ極小じゃなくて作ったばかりの小だとどうなるんだろう? でも人工魔晶石の材料考えると絶対に飲みにくいだろう。
とりあえずそれは後から報告として、言われたように薬類や魔晶石を作って行こうと思う。
本日19時前後また投稿できそうなら投稿します。




