後ろではなく
五日目になった。少し気持ちが重い気はするけど、体は至って健康だ。布団のおかげだけじゃないだろう。
レベルが上がって前以上に動きがよくなってるのに、筋肉痛もないとか素晴らしい。筋肉痛あったらこんな毎日ダンジョンを進めない。
ポイントに余裕ができたおかげで、朝食はショートブレットの胡桃入り。150ポイントと干し肉と比べるとかなり高いが、ずっと干し肉は辛すぎる。
本当は珈琲とかも欲しいけど、あんまり居心地よくしすぎるのも嫌で止めといた。ここで生活するのが目的じゃなく、帰ることが大事だから。
意外に貯まるポイントに、いつまで我慢できるかわからないけど。
今日の目標は、地図を全て繋げて埋めること。出口が見つかればなおよし。地図を埋めても見つからなかったどうしよう。
まだ階段を進む覚悟が決まらないずに、とりあえず地図が埋まってから考えることに。
それにダンジョンの定説では、下に行けば行くだけモンスターが強くなるはずなんだよね。それを考えれば今のままでいいのかとも思ってしまう。
スライムや鼠を倒しながら少し考える事、最初と比べて余裕ができすぎだ。多少の考え事なら怪我することもなく蹴散らしていくなんて。
小部屋も全て確認しながら進む、また奥に通路があっても嫌だし。それにたまに宝箱復活してたりするんだよね、謎なんだけど。
おかげでポーションの貯まりが速いから、気にしないことにしといた。
奥へ進めば進むだけ出てくるのは鼠と兎で、たまにスライムと変わることもなくて。小部屋も通常の行き止まりばかり。
地図を見ればかなり埋まって、覚悟も決まってないのにお昼前には地図が出来上がりそう。
自然と足が遅くなる。この階に出口があると考えるのも、あの階段が家に繋がってると考えるのも、楽観視しすぎだろう。
もしそうならそれこそ幸運だ、とただ喜べばいい。そうじゃない場合は、ほぼほぼダンジョンの続きだ。
強いモンスターが出るかもしれないし、もしかしたら罠があるかもしれない。期待からの転落で、心が折れそうな状態で戦うのは危険すぎる。
本の読みすぎかもしれないけど、こっちは命がかかってるんだ。甘くなんて考えず、最低を考えて安全をできるだけ作りたい。
冒険に憧れる歳でもなければ夢に焦がれる人間でもない。ただ、毎日という日常が今は恋しいだけ。
兎に止めを刺して溜息が出た。兎が二匹出てももうてこずることはないけど、血に汚れたシャツが目に付く。
気になって自分をよく見れば、昨日洗ったジーパンもすでに汚れてるし、靴なんてボロボロだ。
体と足は防具があるけど、あとは生身のまま。この階では戦えてるけど、このまま階段を下りても大丈夫だろうか?
安心安全平和を望むなら、もっと防具を考えるべきじゃない? レベルも上がればきっと、いい武器や防具が出るはずだし。
だったらレベルももっと上げれば戦うのも楽だし、いい防具も手に入って気持ちの余裕もできる。
でもどうやったらレベルが上がる? セオリーなら経験値だけど、そんなもの見えない。他にも数って可能性がある。
低レベルではないと思いたいけど、レベル上限なんて場合も。考えすぎてもわからないからしかたない、とりあえず今は数をやるだけだ。
あとはポイント、できるだけ余裕は欲しい。新しい施設やどんなものが増えるかもわからないんだから。
そう考えると暫くの動きは決まった。最終目標に変更はない。けど、しばらくは出口のことは見つけたらラッキー、ぐらいで暫く考えない。
じゃないと今のままじゃ考えすぎて、いつか大怪我どころじゃない済まないかも。
だからいったん考えをあらためて、このままレベル上げしてポイントも貯める。そして防具を揃えてから階段を下りよう。
RPGでは先行してレベルを上げときたい派です。
そうと決まれば今日はこのまま地図を完成させて、遠回りに戻って体を休めよう。
明日からはレベル上げだ。




